テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
空詩
#ハッピーエンド
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ざわめく大広間から離れたスペースで、クロエは冊子を山ほど抱えていた。
ユリウス
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
中身のない冊子を、細い腕が床に叩きつける。
バラバラと散らばる白紙の束が、まるで彼女の虚栄心の死骸のように、床を埋め尽くす。
クロエ
クロエ
ユリウス
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
ユリウス
ユリウス
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
クロエ
ユリウス
クロエ
ユリウス
クロエ
クロエ
ユリウス
ユリウス
クロエ
クロエ
クロエ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
クロエ
クロエ
クロエ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
クロエが縋り付こうと、手を伸ばしてくる。
だがそれは、僕の服の裾をかすめることさえできず、静かに終わった。
ユリウス
クロエ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
クロエ
クロエの悲鳴のような叫びが、無機質な展示スペースに虚しく響き渡る。
ユリウス
ユリウス
ユリウス
どれほど叫んでも、どれほど涙を流しても。
彼女が素材として切り刻んだ、僕の作者としての魂は、君のもとへは戻らないと。
観客
観客
観客
観客
ユリウス
メグ
クロエが白紙の束の中に座り込んでいるのも構わず、派手な外套をなびかせた一団が、彼女を避けて突き進んでいく。
ユリウス
メグ
メグ
ユリウス
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク
ユリウス
観客
観客
観客
観客
観客
観客
観客
観客
エヴラールの顔は、もはや土気色を通り越して、どす黒い怒りと恐怖に染まっていた。
ライザの端正な顔も、青を通り越して白い。
ライザ
観客
観客
観客
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク
エヴラール
エヴラール
エヴラール
エヴラール
ライザ
しかし、彼が全幅の信頼を置いていたはずのライザは、動かなかった。
彼女は足元に転がった、ハンスの『白紙』を静かに見つめ、それからゆっくりと私達へと歩み寄った。
ライザ
ライザ
ライザ
ライザ
ライザ
エヴラール
エヴラール
??
エヴラール
エヴラール
エヴラール
子どものような背丈の老人が、人の間を割って、エヴラールの元に歩み寄る。
この場にいる誰よりも小柄で、誰よりも足取りは遅いと言うのに、とてつもない迫力が、その体から溢れていた。
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官
エヴラール
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官の冷徹な宣告が、広間の高い天井に反響した。
手にした銀色の杖を床に突き立て、エヴラールを射抜くような鋭い視線を向けた。
エヴラール
エヴラール
エヴラール
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官の広い手が、白まみれの中に佇む2人を指し示す。
ハンスが縋り付いている真っ白なキャンバスと、クロエが撒き散らした空虚な白紙の束を。
行政監査官
行政監査官
行政監査官
エヴラールが、全身から血の気が引いたように、がくりと膝をついた。
その頬からは、冷や汗が滝のように流れ落ちていく。
行政監査官
行政監査官
行政監査官
エヴラール
行政監査官
ライザ
行政監査官
行政監査官
行政監査官
メグ
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官
行政監査官
エヴラール
エヴラール
エヴラール
エヴラール
役人
役人
メグ
役人
役人
エヴラール
エヴラール
役人
役人
役人
役人
役人
役人
役人
エヴラール
エヴラール
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
エヴラール
エヴラール
エヴラール
メグ
メグ
メグ
かつて彼に従っていた役人達が、今や彼の両脇を力ずくで抱え、屈辱的な姿で引きずり出していく。
その恨み言が遠ざかるにつれ、会場を支配していた重苦しい空気が、霧が晴れるように消えていった。
これは、余談だが。
エヴラールは、管理という名の略奪が『芸術資産の不当占拠』『職権乱用』という罪に変わったことで、かなり重たい刑罰を受けることになる。
執政官の地位を永久剥奪、および王都での全公職追放。
二度と政治に関わることは許されず、公的記録の全てから、彼の名前が消されることになった。
そして何よりも、懲役が20年も課せられたのだ。
華々しい政治の舞台から、鼻に突き刺すような臭いの漂う、肉体労働の現場へと。
効率と管理をもって町民を搾取した彼は、皮肉にも「最も非効率で、個人の自由が一切ない、徹底的に管理された監獄」へ送られる事になったのである。
秘書官ライザもまた、余罪が見つかった。
テルベルの街に出入りする行商人への口封じとして、法的措置をチラつかせ、街悪評を作品にすることを禁じていたのである。
しかし、口封じの意味はなかった。 王都からやってきたミーシャとサーシャが、街の現状を論(あげつら)う作品を、周辺地域に広めたのだ。
2人のせいで大した事にならなかったとはいえ、口封じの手段は悪辣だ。
ライザには官職の剥奪が命じられ、あっという間に王都から追い出された。
そして、クロエとハンスだが。
彼らは作者と著作物の権利侵害で、これまで作品を勝手に使ってきた作者への、慰謝料の支払いが言い渡された。
エヴラールとライザに比べれば、遥かに軽い罪なのだが……
クロエ
クロエ
クロエ
王都民
王都民
王都民
クロエ
王都民
ハンス
ハンス
王都民
王都民
王都民
ハンス
ハンス
ハンス
社会的に受け入れられず、誰からも敵意をもって見られるというのは
時に法に則った刑罰よりも、恐ろしいものとなる。
すっかりやせ細った彼らの相手をする者は、誰もいない。
彼らは明日の暮らしすら見えない中、どんなに悪い条件であったとしても、見えた光明に縋るしかないのだ。