コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
20XX年、8月1日(土)、13:00
鳳仙(ほうせん)県、蒼海市の □□アパートの一室にて
高森 金星
高森 金星
高森 金星
暖房(27度)がついている部屋の中
まだ寝足りないというのに、重い瞼をゆっくりと開けて目を覚ます。
高森 金星
炬燵の中に体全体をすっぽりと入れた汗だくの彼は...
名前:高森 金星(まあず) 年齢:21歳 身分:大学生
Fucking Hot!!
高森 金星
涼しさを求め、炬燵の外へと飛び出す。
今世紀最悪の目覚めといってもいい。
高森 金星
炬燵の上にあるエアコンのリモコンを手に取り、冷房に切り替える。
高森 金星
...と床に散らかった使用済みのティッシュ、皺だらけの衣服類、カップ焼きそばの空容器、空の注射器を踏みしめ...
コンセントを力任せに引っこ抜く。
高森 金星
荒れた床にドッと座り込み、全身を駆け巡るような気持ち悪い疲れが襲ってきてしまい...
たまらず溜息が出てしまう。
高森 金星
そのまま俺はしばらくの間、魂が抜けたかのように、ただ呆然と天井を見上げていた。
高森 金星
高森 金星
頭皮をボリボリと掻き毟りながら昨日の事を思い出そうとするも....
その時だった
ザワザワ...
窓から見た景色で最初に目に入ったものに向かいなさい
向かう為に必要な物は全て机の引き出しの中にある
頭を下敷きの角でバゴンッ!と殴られたかの様な衝撃と共に
他の事が考えられない程にこれらの言葉が頭を埋め尽くした。
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
あまりにも抽象的すぎる内容なので、もっと具体的に思い出すことにしてみる。
事の起こりを1つずつ順序立てて確認するように...
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
時は遡り
7月30日、17:30 呆居酒屋にて
ガヤガヤと活気づいている音、店員の足音、元気溌剌とした掛け声
そして、俺と◯◯とその他4匹の猿
乾杯!
ハマっているゲーム、大学の講義とかゼミ、就職活動とかの他愛も無いただの雑談を繰り広げていた。
金星(まあず)
金星(まあず)
ただの雑談と云えど、俺含めた全員が盛り上がって...
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
飲んで...
金星(まあず)
とにかく飲んで...
酔って...
金星(まあず)
2ヶ月振りに皆と会えて交わすこういう付き合いが、この上なく楽しいんだ。
そして時間は過ぎ去り、化粧したお月様が''こんにちは''をした頃
金星(まあず)
◯◯
サルB
サルC
俺は少しの寂しさを身に染めながら1人と4匹のサルと''さようなら''をして
△△駅に酔い潰れた状態でフッラフラと覚束無い足取りで向かった。
金星(まあず)
コツコッコココツコッ(歩く音)
来てる...来てるぞ
すごく近くなってきてる!
あの時の記憶がこっちに全力ダッシュで向かってきてるぞおお!
駅まであと目と鼻の先の距離といったところで
俺は''あの人''に声を掛けられたんだ。
金星(まあず)
爺
機械に弄くられたような抑揚の無い不協和音。
質素なパイプ椅子に座って全身を黒で包み込んだジジイから発せられたその声。
金星(まあず)
不協和音に聞こえたが、どことなくミステリアスな雰囲気が俺を魅了した。
怖いもの見たさという奴なのだろう。心が踊る。
爺
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
テレビとかYoutubeに出てる占い師とか催眠術師だとか...
カードに水晶玉...
あんな馬鹿げた物を信じるのは頭がお花畑のガキと女と猿だけだ。
何しろ、あんなの非科学的じゃねえか。
爺
爺
爺
先程の感じとは打って変わって声の整った真面目さを感じさせる声。
金星(まあず)
金星(まあず)
別に急いでる訳でもないし
ほんの数分間だけ縛られるだけだ。なんてことはない。
そんな考えの元、パイプ椅子にドシッと腰掛ける。
爺
俺が座るやいなや、ジジイはズバッとそう言い放つ。
金星(まあず)
確かに俺の好きな食物の中にレモンは含まれている。
物心がつく小さい頃から好き好んで食べていたくらいだ。
でも、好きな食べ物には他にも梅干し、グレープフルーツとかシークヮーサーなんかも含まれている。
こんなのただのまぐれに過ぎない
爺
爺
闇に埋もれた電撃がビリリと走り、酔いが少し覚める。
爺
爺
爺
バンッ!
俺は机を叩き、シジイの言葉を強制終了させる。
金星(まあず)
これ以上、誰にも言えないようなドス黒い話を聞きたくなかった。
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
このジジイの事がますます気になっていく自分がいた。
気づいた頃には、もう酔いはすっかり覚めていた。
金星(まあず)
金星(まあず)
深々と頭を下げ、そう言う。
爺
モワン...サッ...ギギギ...
ジジイは手の平を水晶玉の上空で撫でる様な、祓う様な、殺や取りをするかの様な...
言葉にし難い摩訶不思議な動きをしていた。
爺
爺
少し経ってから...
眉間に皺を寄せながらジジイが口を開く...
金星(まあず)
無意識に前屈みの姿勢になってしまう。
爺
爺
爺
爺
爺
金星(まあず)
思わずポロッとそう口に出てしまった。
幸が降ることが無いって...それ程までに俺の人生はお先真っ暗だというのか
何かの間違いであってほしい
だってそんなの...あんまりじゃないか
背凭れに寄りかかり、目線を下げた。
金星(まあず)
心に出来たそんな思いを潰す為に、俺は無理やり口角を上げて笑ってみせる。
爺
おいおいおいおいおい
まだ何かあるっていうのか?
爺
顔を上げた
金星(まあず)
淡い期待を胸に、それと若干の疑いもかけながらそう聞いてみる
爺
金星(まあず)
爺
爺
窓から見た景色で最初に目に入ったものに向かいなさい
向かう為に必要な物は全て机の引き出しの中にある
現実に戻る。
金星(まあず)
金星(まあず)
金星(まあず)
炬燵の上にある6本のビール缶に視線を移す。
金星(まあず)
金星(まあず)
そう思考を放棄して、いい加減な推理で自分を納得させた俺は...
窓を凝視してた。
金星(まあず)
荒れた床から立ち上がり、縦縞模様のカーテンを開けて
埃がかかった汚ならしい窓を横にスライドさせる。
外のジメッとした暑苦しい空気が顔面に突き刺さる。
窓から見える景色には田んぼ、風に当たって揺れる葉、大小様々な山々が見られ、自然の雄大さを感じさせてくれる。
だが、俺に最初に目に入ったのは
山の中にポツンとある蒼色の屋根、壁が白く塗装された''家''だった。
回りが碧色のせいで、一際その家が目立っており
隠れられそうで、隠れられていなかった。
金星(まあず)
あれこそが俺の...
向かうべき場所!!
行かなくては...
この命が尽きる前に何としてでも行かなくては!