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桜木 壱茶
百峰 桃音
神楽 凜々愛
百峰 桃音
立ち入り禁止の看板と鍵が掛かった スライドゲートを越えて入村した桃音、凜々愛、瑠花、壱茶。
前回のあらすじ。 前回音信不通になった悟朗の行方がわかる手掛かりを探した際、血痕だらけの薄暗い路地裏に、彼の物であろう鼻緒が切れた赤黒く汚れた下駄とバキバキに画面が割れたスマホを見つけた。しかしそんな不吉な予感がする中、凜々愛が悟郎は生きていると断言した後、最も可能性があるのはこの山吹村であるかもしれないと判断した。そして、標的の主格に悟郎の居場所を吐かせることにした。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
ワクワクしている瑠花は辺りを見渡すように回って言った。が、それでも敵の領域内に入ったのでなるべく声は抑えた。
桜木 壱茶
百峰 桃音
すると突然、壱茶が立ち止まった。それに気付いた桃音たちも立ち止まり壱茶の方を振り返った。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
壱茶は真剣な顔で言った。丸いレンズのサングラスで顔半分が見えないが、 なんとなくわかる。
百峰 桃音
百峰 桃音
神楽 凜々愛
桜木 壱茶
カチッ カチッ カチッ
壱茶は遠くを見つめるような素振りで言った。そして何故か折りたたみ式の白杖をたたみ、腰にかけてなおした。
百峰 桃音
壱茶は何も言わず、ゆっくりと桃音たちの元に追いつくように歩き始めた。
百峰 桃音
桜木 壱茶
壱茶は桃音とすれ違うと同時にそう言った。まるで別人のようだった。
桜木 壱茶
この時、サングラスの内側のいつも閉じている彼の瞼が、青緑の瞳をうっすらと覗かせたのを、真横から見えた。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
瑠花が少し心配そうに言った。壱茶の目は光の強弱すら知ることもできない、全く機能していない全盲だ。今現在、暗黒街とはかけ離れた緑に囲まれたこの場所も、彼からしては普段と変わらない真っ暗な世界なのだ。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
壱茶はいつものようなヘラヘラした感じに戻り、愛想笑いをして答えた。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
早乙女 瑠花
普段と違った態度をとった壱茶に桃音たちは目を丸めていた。
しかし彼の言うことはご最もなので気を引き締めた。ただでさえ村なので普段の任務とは全く違う。なんとしても本拠地にたどり着かなければならないのだ。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
桃音と凜々愛が関係が無かった前話の廃城の話をする横で、瑠花が言った。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
※モブの名前付ける気ゼロの作者※
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
すると凜々愛がハッとして口を開いた。その表情は青く、声も震えていた。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
「処刑されかけた場所」
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
凜々愛のその一言に、桃音たちは心臓が止まりかけた感じがした。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
凜々愛の説明を聞いて桃音たちはますます顔が青くなった。それって”IBUKI”で言う本部の地下2階の処理班の仕事場である、死体処理室や拷問部屋のようなものだろうと悟った。
…いや、あれは敵の捕虜対象であって、組員の粛清はわざわざ連れて行かない。
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
百峰 桃音
最悪を考えた4人は慌てるように 一斉に駆け出した。
しばらくして川が見えてきた。ほぼ山なので高速道路や電車から見える大きな川とは違ってゴツゴツした岩が多く、川幅は広くないため普通に渡れる。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
急かして問う桃音と瑠花。 凜々愛は焦りもあって戸惑う。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
百峰 桃音
予想外の答えだった。村長のNo.2という組織の幹部に値する立場である凜々愛なら知っていても当然だと思っていた。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
そう言いながら凜々愛は岩に飛び乗って川を渡り始めた。続いて桃音、瑠花、壱茶の順に1列に並んで渡り始めた。
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桜木 壱茶
お前も失礼だろ。
ユラァ
凜々愛、桃音、川を渡り終え、壱茶が川の真ん中の岩に飛び乗った時だった。黒い影が水面に揺らいで映った。
ドンッ!
早乙女 瑠花
キィン!!
背後から金属音が聞こえた。
百峰 桃音
桃音と凜々愛が何かの気配を感じ振り向くと同時に押された瑠花を支えて見ると、壱茶が岩の上で二刀の刀を分銅鎖で食い止めていた。
神楽 凜々愛
影の正体でありその刀を握る者は浪人笠を被った和服姿の男2人だった。
百峰 桃音
桃音が銃を構えて言うと、 凜々愛と瑠花は加勢しようとした。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
壱茶は渡る前の所まで刀を押し返し、次の攻撃を食い止めながら叫んだ。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
瑠花は岩に飛び乗って戻ろうとした。 しかし壱茶が振り回す分銅鎖のせいで 近寄れない。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は少し考えたが、ここで躊躇している場合ではない。先を急ぐことを判断した。桃音はそう言いながら前に進んだ。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
凜々愛と瑠花がそう言いながら桃音のあとを追うように駆け出した。
カキィン!
パシャア!
弾きあった鎖と刀から鳴る金属音と共に後退りした両者。今度は岩ではなく、川の浅瀬に着地した。水が靴の中に滲みる気持ち悪い感覚は目の前にある敵による”妙な気配”によってかき消された。
桜木 壱茶
村人たちが桃音たちを追おうとする気配がないことに違和感を感じた壱茶は問いかけてみた。
村人達(川)
村人達(川)
桜木 壱茶
壱茶は右手を中心に鎖を回しながら煽るような口調で言った。
村人達(川)
村人達(川)
包帯が巻かれた腕で刀を向ける村人たちは静かに威圧感を出して言った。 この時、場の空気が一変とした。
失われた視力の分…いや、人一倍敏感な感覚を持つ壱茶にとってはこの空気は苦であった。山吹族特有のこの気配と、村に入る途端に現実味がない雰囲気が。
桜木 壱茶
桜木 壱茶
右手で回す鎖の音を聴きながら、壱茶は目以外の全ての感覚を集中させた。
一方その頃、桃音、凜々愛、瑠花は 竹林の中を駆けていた。
※背景画像は竹林と思ってください※
百峰 桃音
百峰 桃音
そう言いながら桃音は時代劇に出てきそうな竹林をすり抜けていった。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
百峰 桃音
凜々愛を先頭にして走る中、桃音がそう問いかけた。さっきからずっと辺りが竹しかないから不信に思ったのだ。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音が横目で辺りを見て言った。この竹林は所々に竹が斬られており、それもどれもこれも不揃いだった。
神楽 凜々愛
凜々愛は静かに答えた。 少し暗い表情をしていた。
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
「……同僚同士で、 殺し合うこと。」
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桃音と瑠花は道中のへし折れた竹や斬られて短くなった鋭い竹を飛び越えながら目を丸めた。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
百峰 桃音
凜々愛の説明を聞いた桃音は恐る恐る尋ねてみた。今いる竹林が10歳以上の子供にさせる過酷な試練を与えたコロシアムであったことに背筋が凍った。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
説明を付け加えて言った。完全に受験の一般試験と指定校推薦だ。学校に行かなかった悟朗は既に表社会で経験する進学と似たようなことをしていた。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
凜々愛の言葉に、 前 (第11話 『狼男の変身』)に 言ったことがフラッシュバックした。
凜々愛「……ボクは10歳の頃、屍の山を積んで殺し屋になった」
百峰 桃音
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
カサッ
百峰 桃音
すると突然、草を掻き分ける時のあの音が聞こえた。それと同時に人の気配と 殺気を感じとった。
バンッ バンッ!
桃音は咄嗟に銃を向け発砲した。見ると彼女の弾丸によって脳天を撃ち抜かれた和服姿の敵が重力に身を任せて倒れた。
早乙女 瑠花
ドゴッ!
百峰 桃音
瑠花の声に振り向いた時、和服姿の敵が握った短刀の刃が桃音の目の前のスレスレを通っていた。
ドガァァン!!
バキ バキ バキッ !
瑠花によって蹴り飛ばされた敵は竹に叩きつけられた。この時に三本ほどの竹がへし折れ、その敵は折れた竹に挟まれてぐったりとした。彼女の怪力による蹴りの一発を入れた時点で既に骨が何本か折れていたかもしれない。
村人達(竹林)
瑠花の一撃で犠牲となった仲間の末路を目の当たりにした村人は声を震わせて言った。気付いたら村人達の姿があった。
百峰 桃音
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
百峰 桃音
ツッコむように言う桃音。けれども瑠花はやる気に満ちていた。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
2人を庇うように立つ瑠花は口角を上げて言った。彼女のまん丸な大きな赤い目は、三白眼になるようにカッと見開いていた。まるで目の前にいる兎に興奮する虎のようだった。
百峰 桃音
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桃音は敵への殺意を込めつつ、運動部の試合の掛け声のように言って先を急いだ。瑠花は桃音のノリに乗って元気いっぱいに返事をした。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
桃音に続いて駆け出そうとした凜々愛があっと何かを思い出して振り返って 瑠花に声をかけた。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
瑠花は振り向いたままピースサインをして答えた。それを聞いた凜々愛は頷いて何も言わず桃音のあとを追った。
村人達(竹林)
1人の村人が言うと他の村人たちは各々の武器を向けて瑠花を取り囲んだ。
早乙女 瑠花
本日2回目の展開。 先程の壱茶と同様 瑠花も、桃音たちを追わないことに違和感を感じ、村人に問いかけてみた。
村人達(竹林)
早乙女 瑠花
パンっと手を鳴らせて明るい声で言った。これの何が恐ろしいかと言うと、曇りなき眼で発言していることだ。
村人達(竹林)
村人達(竹林)
1人の村人が瑠花を険しい顔をして睨みつけて言った。瑠花を中心とする10人の円に緊張感がました。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
「アンタらのね♡」
……やっぱり、おかしい
……なんでボクを、狙わないんだ?
桃音と共に竹林を走る凜々愛は彼女にしかない違和感を感じていた。
……川を渡る時も、あの2人は壱茶しか狙っていなかったし、先に行ったボクを追おうとは全くしなかった。
……さっきも、桃音を狙って、それで先に進んだのに、またボクたちを追わなかった。10人ぐらいいたのに、誰も目に停めなかった…
……桃音たちが村以外の人間だから?
……それとも、
ガサッ
しばらく走り続けて竹林を抜けた。 目の前には生い茂った草木に覆われた 民家が集う村広がっていた。
百峰 桃音
出たところがまさかの崖だった。だいたい建物の3階の屋根ぐらいの高さだ。 桃音は反射的にギリギリで立ち止まった。凜々愛は知っていたからか何の気なしに立ち止まっていた。
神楽 凜々愛
崩壊以来初めて訪れた凜々愛は変わり果てた村を見て目を丸めた。
長年放置されていた村は廃村となっていた。”あの時”とはほとんど変わらない。ただ生えに生えたツタが廃墟を覆っていて少しはマシだったからか、見るに堪えないことは無かった。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
凜々愛が指を指して言った。その矢先を見ると、古い日本式の屋敷があった。少し手を入れたのか、廃墟が並ぶ中で一際目立って見える。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
すると桃音は廃墟の物陰に潜んでこちらを見ている村人を見つけた。視線を感じたからすぐにわかった。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
凜々愛も気がついた。2人は各々の武器を、いつでも抜けるよう準備した。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
百峰 桃音
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
静かに説明する凜々愛に耳を傾ける桃音。相手が武器有りでは撃つのが難しいと聞いて余程強いのかが伝わった。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
承知した桃音。が、少し気まずさがあった。凜々愛が言う山吹族の弱点は無論、凜々愛も該当するからだ。実際過去に凜々愛と手合わせしたことがあるが、丸腰になった途端、一気に弱くなった。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
すると凜々愛が日本刀を抜きながら崖の縁まで踏み出した。嫌な予感がした。
百峰 桃音
百峰 桃音
この高さで飛び降りたら死ぬということには全くツッコまないが、まさかと思って止めようとする桃音。 しかし凜々愛は聞く耳を持たない。
ダッ!
飛び降りた。 無言で、なんの躊躇もなく。
ザッ
見事着地した。しかし凜々愛はそのしゃがんだ体勢から微動だにしない。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は呆れて頭を掻きながら 凜々愛の様子を見ていた。
百峰 桃音
ふと視界の端に映った何かに気がついて、顔を向けた。
それは下に通づる階段だった。
百峰 桃音
桃音は全く仕方がないと言わんばかりの表情で階段の方へ歩いた。さすがにこの高さから飛び降りるのは無理だと判断したからだ。
………約1名 既に飛び降りたが。
百峰 桃音
崖に引っ付くように設置された、安全性に欠けている階段を慎重に下る桃音。ちょうどそこから凜々愛が数人の敵と交戦しているのが見えた。
百峰 桃音
百峰 桃音
少し降りてみると、目の前にはもう階段が崩壊して無くなっていた。
百峰 桃音
思わず声を上げてツッコんだ。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は凜々愛の方を見ながら心の中で呟いた。凜々愛は今1人で交戦している。早く加勢しなければならない。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は恐る恐る下を見下ろして、少し考えてから仕方ないとため息をついた。今でだいたい建物の2階ぐらいの高さ。 ここからの高さなら飛び降りても、 まだ負荷はかからない気がしてきた。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は気持ちを切り替えて快活な口調で言った。そして太もものガンホルダーの銃を抜き取り……
百峰 桃音
ダッ
飛び降りた。
バンッバンッ バンッバンッ バンッ!
村人達(村)
村人達(村)
村人達(村)
村人達(村)
村人達(村)
桃音は飛び降りる最中、空中で狙いを定めて凜々愛と交戦している村人の手元を撃った。
神楽 凜々愛
ザシュッ! ザシュッ!
銃声で桃音の攻撃とすぐに察した凜々愛は、武器を弾かれて丸腰になった村人を、隙を与えずまとめて斬り捨てた。
ザッ
敵がその場で倒れた後に、桃音が着地した。凜々愛が着地したところと少しズレた位置だった。
百峰 桃音
百峰 桃音
足を痛める覚悟で着地したが、何かによって衝撃を抑えられたのか、思った以上に負荷がかからなかった。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
パチンッ
桃音はそう言いながら、凜々愛とすれ違うようにハイタッチした。
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は辺りを見渡して凜々愛に言った。 ここへ来てだんだん山吹族の気配が分かるようになってきた。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
ヒュン!
すると突然、弓矢が飛んできた。刺さる直前に殺気を感じたので避けれた。
神楽 凜々愛
ヒュン!ヒュン!
百峰 桃音
神楽 凜々愛
次から次へと矢が桃音達を目掛けて地面に突き刺さってくる。桃音と凛々愛は慌てて廃墟の影に身を隠した。
※背景画像は廃墟(民家)と……以下略※
百峰 桃音
神楽 凜々愛
桃音は廃墟の影から恐る恐る本拠地の方を覗いてみた。見るとそこには3人の和服姿の敵が弓を構えていた。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
少し落ち着いてから、桃音は崖の上での会話を思い出しながら凛々愛に尋ねた。 すると凛々愛があっと、何か思い出したような表情をした。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
百峰 桃音
ツッコミを挟みつつ凜々愛の説明に耳を傾けた。要するに、全員ではないが 奴らは弓矢も扱えるということだ。
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
神楽 凜々愛
グサッ!!
百峰 桃音
神楽 凜々愛
しまったと沈黙を挟んでいると突然、彼女たちを我に返らせるように、2人の間を廃墟の壁から刃がいて出てきた。
ダァン!!
バキバキバキッ!
刃は一旦引っこ抜かれ、廃墟の内側から足蹴で刺した箇所を破壊した。すると中から刀を握った和服姿の男が不敵な笑みを浮かべて現れた。まるで某有名なホラー映画のあのシーンのようだ。
百峰 桃音
心臓バックバクの桃音は思わず声を上げて飛ぶように後退りした。
神楽 凜々愛
凜々愛が叫んだ。 その、後退りした所は……
百峰 桃音
5、6本の矢がズラリと並んでいるのが視界の隅に入って横目で見た瞬間、スローモーションのような感覚になった。
百峰 桃音
グサグサグサッ!
咄嗟に身体を正面に向けたが遅かった。気付いたら正午の太陽が目の前から眩しく照らされてていた。
何が起きたのか。スローモーションから早送りに切り替わるように一瞬だった。正面を向こうとした瞬間、それらの矢は桃音に当たるギリギリを狙い、彼女の赤いジャケットを利用して地面に仰向けで磔にされていた。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
村人達(村)
神楽 凜々愛
焦っている凜々愛と先程のホラー映画のような男の声が聞こえる。しかし仰向けで磔にされているからどんな状況なのかがわからない。
ザッ…
百峰 桃音
すると近くで足音がした。弓矢を射った敵すぐ側まで来ていることを察した。桃音の背筋が凍った。気配が全くしなくて近くに来るまで気が付かなかった。
百峰 桃音
桃音は焦り感じ、起き上がろうとするがかすり傷がいくつも出来て血が流れているほど多くの箇所を矢で固定されているせいで上手く動けない。
百峰 桃音
村人達(弓矢)
バンッバンッ! バンッ!
村人達(弓矢)
桃音が何かに気が付いた直後たった。敵たちがトドメをさそうと桃音を狙いを定め弓を引いた瞬間、彼らの身体から血が流れ、武器なんかを手放して地面に蹲るように倒れた。
百峰 桃音
百峰 桃音
空を見上げたまま、桃音はそう呟いた。寝転がる彼女のブーツのヒールから白い煙を吹かせた銃口を覗かせていた。
任務前に武器職人の恵留が改造した仕込み銃だった。拒否はしたものの無理やり改造されたものだったが、結局はおかげで命拾いをした。
村人達(弓矢)
百峰 桃音
安心したと思いきや、殺気と共に唸るような声が聞こえた。首だけ起きあげて見ると、撃ったはずの敵たちが傷口を押さえながら立ち上がるの姿が見えた。
百峰 桃音
村人達(弓矢)
百峰 桃音
プチンッ
矢を振りかざしたが桃音は咄嗟にブラウスの肩のボタンを外して足を上げ腹筋を利用して後転するように避けた。
ザクザクザクッ!
百峰 桃音
抜け殻になった桃音の赤いジャケットは矢を含め、刀に滅多刺しになった。
!説明しよう! 桃音の赤いジャケットは羽織っているだけで袖は通していないのに、なぜか激しく動いているのに落ちないという漫画・アニメあるあるを感じたことは多分いるであろう。
しかしコレ書いてる作者も ちゃんとした設定はしています。
!説明しよう(2回目)! 実は桃音のジャケットは戦闘中でも落ちないよう、ブラウスの肩に付いたボタンでジャケットが固定されているからだ!
百峰 桃音
村人達(弓矢)
険しい顔をした敵たちは弓を引き直しながら後退りした桃音を追った。この時、地面に貼り付けられたままの彼女のジャケットを堂々と踏んだ。
百峰 桃音