華
雪菜、最近幸せそうだよね
雪菜
え?そうかな?
華
顔、緩みっぱなし
華
(雪菜が幼馴染の來くんと付き合い始めて)
華
(もうすぐ3か月が経つけど)
華
(楽しそうだし幸せそう)
雪菜
ねー、華は?
華
ん?
雪菜
好きな人いないの?
華
いないよ
華
そもそも恋愛ってあんまり興味ないし
雪菜
楽しいことたくさんあるよ?
華
そりゃそうかもしれないけどさぁ
華
別に気になる人もいないし
雪菜
そっか
放課後
華
(雪菜は來くんとデート)
華
(帰っても暇だしなぁ)
華
(買い物でもしようか…)
一馬
華ちゃん?
華
え?
一馬
久しぶり
華
あ!一馬くん!
華
久しぶり!
華
いつぶりだっけ?
一馬
うーん、3年ぶり、かな?
華
なかなか会う機会ないもんね
一馬
だよね
華
(一馬くんは私のはとこで)
華
(冠婚葬祭くらいでしか会わないけど)
華
(年上で、優しくて、面倒見もよくて)
華
(昔から好きなんだよね)
華
一馬くん、どうしてここに?
華
実家は関西だよね?
一馬
俺、関東の大学に通ってんだ
一馬
今はこっちでひとり暮らし中
華
そうだったんだ!
華
(そっか、最後に会ったのは)
華
(一馬くんが高3の頃だったな)
一馬
華ちゃん、もう帰るところ?
一馬
時間大丈夫だったらお茶でもしない?
華
する!
華
ひとり暮らしいいなぁ
一馬
そうかな?
一馬
家事とか苦手だから結構大変だよ
一馬
飯もコンビニ弁当とか外食ばっかりだし
華
そうなの?
華
(確か、一馬くんには彼女がいたと思うけど)
華
(遠距離なのかな?)
華
作ってくれる人とか…いないの?
一馬
今はいないよ
一馬
高校の頃付き合ってた子とは別れちゃったし
一馬
こっち来てからは忙しくて、出会いもないんだ
華
そうなんだ
華
(そっか、いないんだ)
一馬
華ちゃんは?
華
え?
一馬
彼氏、いないの?
華
いないよ
一馬
そっか
華
(恋愛に興味ないけど)
華
(一馬くんは、初恋の人なんだよね)
華
(年も離れてるし、彼女もいたから)
華
(憧れって感じだったけど)
華
(今なら…チャンス、かも?)
華
(でも、いきなり告白しても無理だよね)
華
(…そうだ!)
華
あのね、一馬くん
一馬
ん?
華
実はね、気になってる人が、いるの
一馬
…そうなんだ?
華
そ、それでね、出来たら…
華
一馬くんに相談に乗ってもらいたいの!
華
ダメ、かな?
一馬
一馬
俺で役に立てるなら喜んで
華
ありがとう!
一馬
夜はバイトで返事遅いかもしれないけど
一馬
いつでも連絡してくれていいからね
華
ありがとう
華
(好きな人っていうのは一馬くんだけどね)
華
(それとなく一馬くんの好みを聞き出して)
華
(タイプに近づけるように頑張ってみよう)
華
今日はありがとう
華
また今度会ってくれる?
一馬
もちろん
一馬
時間が合えばまた会おう
華
うん
一馬
そういえば華ちゃんの好きな人って
一馬
どんな人なの?
華
えっと
華
年上で
華
なかなか会う機会がないんだけど
華
優しくて
華
お兄ちゃん的存在の人
一馬
へぇ
一馬
年上って、大学生?
華
うん
一馬
そっか
一馬
それで、相談っていうのは?
華
えっと
華
大学生から見て
華
高校生は、恋愛対象としてアリかな?
一馬
それは、人にもよると思うけど
一馬
年齢なんて
一馬
大した問題じゃないと思うよ
華
そっか
華
(相談に乗ってほしいって勢いで言っちゃったけど)
華
(気付かれないように聞き出すのって)
華
(結構大変だな)
華
(すぐに想いを伝えられたら楽だけど)
華
(断られたら、もうチャンスすらなくなっちゃうもんね)
華
(ここはじっくりいかないと)
ひと月後
雪菜
ねぇ、華
雪菜
最近何か良い事あった?
華
どうして?
雪菜
何だか嬉しそうだからさ
華
…実はね、今、ちょっと気になってる人がいるの
雪菜
え!?本当!?
華
うん
華
親戚のお兄ちゃんなんだけど
華
ひと月くらい前に偶然会ったの
雪菜
そうなんだ?
雪菜
すごいかっこよくなってたとか?
華
いや、元から恰好良いよ
華
実を言うと、私の初恋の人なんだ
雪菜
そうだったの!?
雪菜
好きな人いないって言ってたのに
華
関西に住んでて、なかなか会う機会なくて
華
当時は彼女もいたから諦めてたんだけど
華
今はこっちの大学に通ってて
華
彼女もいないことが分かったから
華
チャンスあるかもって思ってさ
雪菜
そっかぁ
雪菜
上手くいくといいね!
華
ありがとう、頑張るよ
華
一馬くん、今大丈夫?
一馬
うん、どうしたの?
華
あのね、来週の日曜日、予定ある?
一馬
いや、特にないけど
華
映画、一緒に行かない?
一馬
俺と?
一馬
好きな人と行かなくていいの?
華
男の子とふたりで出かけたことないから
華
その…
一馬
ああ、予行練習的な感じ?
華
…嫌、かな?
一馬
ううん、嫌じゃないよ
一馬
映画行こうか
華
ありがとう!
数日後
華
(雪菜と話してたら遅くなっちゃった)
華
(早く帰らないと!)
華
(…あれ?あそこにいるの)
華
(一馬くん、だよね)
華
(隣にいる女の人、誰?)
華
(何だか、仲良さそう)
華
(歳も、同じくらいだよね)
日曜日
一馬
映画、面白かったね
華
う、うん!
一馬
ご飯でも食べに行く?
華
(せっかく楽しみにしてたのに)
華
(この前のことがずっと気になって)
華
(映画の内容、全然頭に入らなかった)
一馬
華ちゃん?
華
え?
一馬
どうしたの?具合でも悪い?
華
あ、ううん、大丈夫
華
(ダメだ、このままじゃ楽しめない)
華
あ、あのね
華
ちょっと、行きたいところがあるんだけど
華
いいかな?
一馬
いいよ
華
…あのね、この前偶然…
華
一馬くんが女の人と歩いてるところ
華
見たんだ
華
繁華街で、夜に
一馬
それは多分バイトの帰りだよ
一馬
一緒に居たのは同じバイトの子
華
そう、なんだ?
華
その子のこと、気になってたり?
一馬
いや、そういう感情はないけど
一馬
同じ歳だから仲はいいかも
華
(今は何とも思ってなくても)
華
(これからどうなるかなんてわからない)
華
(相手の子だって、一馬くんのこと好きかもしれないし)
華
(言わなきゃ!)
華
(今言わなかったら、後悔するかも!)
華
あ、あのさ!
華
私、好きな人がいるって言ったでしょ?
一馬
うん
華
それね、実は…一馬くんのことなの!
一馬
え?
華
好きなの!一馬くんのことが!
華
一馬くんは、私の初恋の人なの!
華
だけど、なかなか会えないし
華
歳もちょっと離れてるし
華
昔は一馬くんに彼女もいたから、諦めてた
華
でも、今はフリーだって聞いたとき
華
チャンスかもって思ったの
華
だけどいきなり告白しても無理だと思って
華
それとなく一馬くんの好みを知ろうと
華
あんなこと言っちゃったの
一馬
…ご、ごめん
一馬
何だか突然すぎて言葉が出て来なかった
一馬
えっと…
一馬
ありがとう、気持ちを伝えてくれて
一馬
すごく、嬉しいよ
華
…………
一馬
…実を言うとね
一馬
俺も華ちゃんのこと
一馬
気になってたんだ
華
え!?
一馬
会うたび懐いてくれてたし
一馬
妹みたいに思ってた
華
妹…
一馬
そう思ってたんだけど
一馬
華ちゃんに好きな人がいるって聞いて
一馬
何だか複雑な気持ちになって
一馬
協力してって言われた時は
一馬
一瞬迷った
一馬
でも、頼りにしてくれてる華ちゃんを見たら
一馬
断れないし
一馬
兄的ポジションでもいいから
一馬
繋がってたいなって思って引き受けたんだ
華
そう、だったんだ
一馬
だから、華ちゃんからの告白は
一馬
本当に驚いたよ
一馬
まかさ俺のことだったなんて
華
…返事、聞かせてくれる?
一馬
俺で良かったら喜んで!
一馬
仕切り直しでデートしようか
一馬
今からは彼氏彼女として…ね






