テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
夏夜
そんな夫婦喧嘩を聞いたあと、私は再び空を飛びまわる。
BBQをしている親子、温泉帰りの親子。
たくさんの親子がいた。
可哀想に。この子供達は将来幸せになんてなれないのに。
でも今は社会の苦しさを知らずにのびのびと生きてほしい。
私みたいにならないでね。
親子や帰り際のサラリーマン達が歩く中、1組のカップルを見かけた。
いや、カップルじゃないな。父と娘? いや、この歳で腕は組まないだろう。
援交か。
あの女も金がないんだ。私と同じで。
別にいいと思う。犯罪ってことには変わりないけど。
私も似たようなもんだし。
私の初体験は、知らないおっさんだった。
13歳の時だった。
とても痛かった。泣き叫びたくなるような痛み。
でもこれを我慢したら10万円はすぐ目の前だ。
私は我慢した。世間はこれが気持ちいいと言うのだろうけど、私には痛くて痛くてたまらなかった。
携帯は持っていなかったから、街で探すしかなかった。
今も携帯は持っていないけど。
毎日食べる分稼いでいた。
悲しくはなかった。辛くもなかった。
これが犯罪とはわかっていた。
でも、生きるためにはこれしか無かった。
過去の事を話しすぎてしまった。
明日はカラスじゃなくて、金稼ぎにでも行こうかな。
夏夜
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!