きゃろ。
あの時、俺はたしかに死んだ
でも、その間際つよく願ったんだ
どうか
どうか、君を
せめて君を…
見守らせてくださいって
死んじゃうかもしれないけど、どうか君だけは…
だって、俺は君が…
____
…
次に目が覚めた、俺はそこにいた
見慣れた部屋。
優しい匂いがするこの場所。
助かったんだろうか
俺は心の底からほっとする
体を動かして君を探そうとする
…
動けない
体が全く
後遺症か何かか…?
そう思った
でも、視界だけは動かせる
と、君が俺の目に映った
君は_
泣いていた
綺麗な君の瞳には何も映っていなかった
俺はそんな君の名前を呼ぼうとする
だけど…
声も出ない。
大事な人が目の前にいるのに。
悔しかった。
君の目には俺なんかが見えていないようで
俺はここにいる。
そう叫びたかった
出ない声。動かないからだ。
ここにいるのに悔しくて悲しくて。
泣きそうなのに、涙すら出てこなくて。
俺の体はこんなにもおかしくなってしまったんだろうか。
…!
いきなり君と目が合う
気づいてくれた…!
君がこっちにやってくる。
ちゃんとわかったんだ。俺はいるんだ。
そう安心した。
でもそれもつかの間だった。
君は俺にハサミを向けた。
泣きながら。
…は?
わけがわからなかった。
使い物にならない俺などもういらないのだろうか。
そういう考えが頭によぎる。
ああ、そうなんだ
きっと。
君が望むのならこれでいいんだ。
そう思ったのに。
君は今度はハサミを下ろす。
…!
俺の事をぎゅっと抱きしめる。
良かった、良かった
俺はまだ君にとって必要な存在なんだ
そう思った。
でも同時に君の手にすっぽり入る自分の体に違和感を覚える
大きな君。
わけがわからなくなった。
❤
❤
❤
❤
❤
❤
こいつ…?
確実に俺を指して言っている。
だが、君は俺をそんなふうに呼ばない
それに…俺はもういない…?
どういうこと…?
なんで莉犬は泣いているんだろう。
❤
❤
君の言葉を聞いて俺は瞬時に理解する
俺は今ぬいぐるみなんだ
信じられないけど…
俺はあのぬいぐるみに転生したんだ
俺が君を見守りたいって言ったから。
でも君にとって今の俺は邪魔な存在なんだ
なんて皮肉なんだろう
でもそれでも良かった。
君が俺を手放せるその日まで俺は君を見守る。
そう決めたから。
毎日、毎日、ハサミを向けてくる君。
目に光がない君。
泣いてばかりで目が腫れている君。
俺にって手紙を書いている君。
今すぐぎゅっと抱きしめたくて、
でも、やっぱり俺のことは忘れて欲しくて。
なのに何も出来ない自分が嫌で。
わがままかもしれないけど、
もう一度やり直せたら…
また、そう強く願った。
その時だった…
きゃろ。
きゃろ。
きゃろ。
コメント
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ワクチンの副作用で微熱が出ちゃったから見るのが遅くなった…( ´・ω・`) 続き待ってるよぉ((o(。>ω<。)o))ワクワク (続き待ってるよって毎回言ってて草)