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去華就実の風

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去華就実の風

14 - 掴みかけた風がすり抜けて

♥

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2024年07月16日

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仁詠

美愛様は……帰ってきますか?

風魔

……そうですね…

風魔

俺からは何も言えないのが正直なところです…

風魔

向こうの大陸で何かあった時

風魔

しっかり皆をまとめあげられるのは美愛様だけでしょうし

風魔

少ない時間とはいえ、組織のトップも経験してますし

仁詠

……懐かしいですね

仁詠

あの時が、今となっては

風魔

……ですね

風魔

…こんなことに、なると思っていませんでしたか?

仁詠

……え?

風魔

……後悔などは、ありませんか?

仁詠

…へ?

風魔

……あの時は、無理やりやりすぎたと美愛様と反省しまして…

仁詠

そんなこと、思ってないですよ

風魔

……本当ですか?

仁詠

えぇ、もちろん本当です

仁詠

あの時は、ただ他人事のように生きてましたから

仁詠

今となっては、大陸の人々と約束したことを守れていてほっとしてますよ

仁詠

どれだけ大きくても背負うつもりでしたが

仁詠

……思ったより大きくて、苦戦しましたけどね

風魔

今となっては、名声は巫女様と並びますから

風魔

……

風魔

(誰も……初代様のことを……)

仁詠

……美愛様、大丈夫でしょうか?

仁詠

最後にお会いしたのはだいぶ前ですし

仁詠

美愛様の強さは知っていますが

仁詠

どうしても……どうしても……

風魔

大丈夫ですよ、仁詠様

風魔

美愛様も、十分強い方ですから

風魔

ただ、覚悟は決まりすぎてますけど

仁詠

……昔から、そういう方だったのですか?

風魔

……そう、ですね

風魔

誰よりも、仲間想いですよ

風魔

巫女様に並ぶくらいには

風魔

そして、大胆さを持ってましたね

仁詠

なんとなく…分かりますね

仁詠

速戦即決!みたいな…?

風魔

……ふふ、そうですね

風魔

美愛様は優しい1面もありながら

風魔

取捨選択が得意な方ですし

風魔

……とても、いい人ですから

風魔

なによりも、強いですから

風魔

そう簡単に殺されはしません

風魔

そして、岩永の目的はあくまで「夜桜」と「白刀・白雪」です

風魔

妖魔の国の最後の国王、「氷桜」とさえバレなければ…

仁詠

……そう、ですね

仁詠

……やはり、2代目様の代は羨ましいですね

風魔

……え?

仁詠

皆、信頼している仲間が居ますから

仁詠

話を聞く限り、皆様本当に2代目様のことが大好きなのだなと

仁詠

……特に、風魔様を見てると思いますね

風魔

…そ、そうですか……?

風魔

(そんなに顔に出ていたのか……)

仁詠

2代目様やその代の神の使いの話をする時は

仁詠

……いつもより、ずっといい笑顔です

仁詠

……少し、羨ましいくらいですね

仁詠

風魔様から、そんな笑顔を引き出すなんて

風魔

……そんな、顔に出てましたか…?

風魔

(恥ずかしい……)

仁詠

えぇ、それはもう、わかりやすく

風魔

…………

仁詠

ふふっ…

仁詠

……こほん

仁詠

話が逸れてしまいましたが、最後にもう1つ質問を追加してもいいですか?

仁詠

時間的にも、これで最後にしますから

風魔

……?

風魔

えぇ、もちろんいいですが…

仁詠

……1つ、分からないことがあって

仁詠

クルト様に出会い

仁詠

ほぼ確信を持って言えるのですが

仁詠

……皆様、2代目様を心の底から信じているのだなと

仁詠

……その忠誠心は、どこから来るのですか?

仁詠

なにか、きっかけなどは…

風魔

……

「なぁ、聞いたか?初代様が2代目の沙羅の巫女を選んだらしい」

「まじか!?じゃあ、神の使い様も変化すると…?」

「そうなったら、風魔様は確実に選ばれるだろうな」

「だな、風魔様のお母様も初代様の神の使いだしな」

「むしろ、ならない方が難しい」

「俺達の、希望だ」

「風の大陸が、栄え続ける理由だ」

「風魔様は、才能にも恵まれた」

「きっと、この大陸をよりよくしてくれる」

うるさい、黙って

「おい〜聞いた?」

「風魔様が正式に2代目風の神の使いに選ばれたらしいぞ」

「まぁ、そりゃそうだよな」

「なんなら1度2代目巫女様はこちらに視察に来ているしな」

「風魔様ならやってくれると思い選んでくれたのだろうな」

「それにしても、あの巫女様」

「初代様とは違う雰囲気で、ぞっとするよな」

「あ〜分かる、なんだろ」

「逆らったら刺されそう」

「いや、その気持ちわかる」

「なんだろうな、人間じゃないみたいだ」

「風魔様が上手く話をまとめてくれるといいんだけどな…」

「次の代があれで、本当に大丈夫なのか…」

……

期待、裏切り、また期待

違う誰かを、蔑んで

「風魔はさ、もっと自由に生きてもいいんだよ」

「嫌だったら辞めてくれても大丈夫」

「なにか言われたら私の名前を出していいよ」

「君達を守れるのなら名誉毀損なんてどんと来いだよ」

「君達は、私が選んだ神の使いだから」

「私の大切な、仲間なの」

「……だからさ、風魔」

「もう体を張って私を守らないで」

「私はそんなに弱くないし」

「……仲間が傷つくのは見たくないよ」

……

薄情なのか、臆病なのか

どっちなのか、分からなかった

だから、黙ることしか、出来なかった

目の前で倒れる、2代目様

咄嗟に抱えた太陽の神の使い

四人神様が2代目様を抱える

他の神の使いは、おろおろしているだけ

その中の1人に、なっていた

……仲間はずれ感が、否めなかった

そんな中、一言呟いた

「私は大丈夫」

なんて言葉が

……酷く、惨めに見えた

目の前で、倒れそうになる巫女様

やっぱりまた無理を…

そんなことを思いつつ、倒れそうな巫女様を支えようとして

………ビックリした

ぞっと、した

人間じゃないのだと、改めて知った

これが、選ばれた力?

こんな有様になるまで修行しないといけないものが

世界からの、祝福?

全てを疑いたくなった

嫌いになれるならなりたかった

なれる訳が無かった

そこまで、行ってしまった

いずれきっと後悔する

そう分かっていても、無理だった

あぁ、惨めだ

自分がたまらなく、惨めに見えた

風魔

……

仁詠

…風魔様?

風魔

内緒、です

風魔

またいずれお話しますよ

風魔

では、行ってきます

仁詠

……はい、分かりました

仁詠

また美愛様について分かったことがあれば共有をお願いします

風魔

……えぇ、勿論です

風魔

……仁詠様も、美愛様のことになるといい笑顔になりますね

仁詠

……へっ?

風魔

いいと思います

風魔

では、行ってきます

仁詠

……

仁詠

……

仁詠

……恥ずかしい………………

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

風魔さんと仁詠様は似た者同士、だね😌✨大切な人の話をすると笑顔になる……とっても素敵だね!! 風魔さんの桃香さんに対する忠誠心……本人の口から直接聞いたわけじゃないからあれだけど、きっと神の使いとして背負うのに重みを感じていた時の桃香さんの言葉に救われてそこから忠誠心が強くなっていったのかな……??いつか風魔さんの口から勝たられる日を楽しみにしてる👀✨

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