コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
これは、まだ風の神の使いが風魔ではなかった頃の話
沙羅家が、初代巫女様だった時代の話である
この大陸には、神の使いが存在した
そして、当時の風の神の使いは女性だった
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
そうして、風魔は産まれました
風魔は、なるべくして風の神の使いとなったのです
風魔母
風魔母
風魔母
風魔母
風魔
……なんで、こんなことをしているのだろう
俺が神の使いに選ばれるなんてまだ分からないのに
それでも、お母様は俺を神の使いとして育てる
いずれ、2代目沙羅家巫女様の役に立つ為に
そして、この大陸の象徴になれるように
……でも
あったこともない人に、どういう感情を抱けばいいのだろう?
2代目様に、会いたいと思ったことは無かった
でも、将来お守りすることになるのだろうなと薄々感じていた
……初代様は、もう先が短いらしい
お母様が、苦しそうな顔をしてそう言った
2代目様は、まだ幼い
そして、俺もまだ大人とは言えない
そんな人を、守る理由が
「沙羅家」だからなんて
……なんだか、不思議な感覚だった
だが、時とはたまに残酷だ
2代目様が、こちらに視察に来るらしい
もちろん、お母様である初代様もご一緒に
大陸の者は大騒ぎ
「ついに風魔様が!」
「これで風の大陸は大丈夫だ」
……正直、うるさい期待だった
それでも、答えなさいと
お母様から教わっていた
……答えて、何になるの
そして、残酷に時間は流れ続け
俺はその日、2代目様に初めて会った
桃色の髪に、桃色の目
名前の通り、桃のような方だと思った
初代様にしがみつくことは無く
不思議と、凛とした表情が印象に残った
桃香
風魔
風魔
風魔
桃香
桃香
桃香
桃香
名前で呼ぶのは、親しき者の特権
そう教わった俺が、疑う常識だった
故に、呼ぶのを躊躇った
桃香
風魔
なんて言えばいいのだろう
そんなことを考えていると
桃香
桃香
桃香
風魔
桃香
桃香
風魔
お母様から教わったことが、生きてると信じたい
実際、目の前の2代目様は微笑んでいるから
機嫌を損ねなかったようで安心した
鋭い視線からは想像もできないほど、穏やかな方だった
その人格の差が、なんとなく違和感だったのを今でも鮮明に覚えている
数ヶ月後、2代目様は正式に沙羅の巫女の跡取りとなった
初代様がご存命の間は、まだ沙羅の巫女として正式に動けないが
いつ代替わりが起きても、おかしくなかった
それと同時に、神の使いも揃えたようで
その中に、俺の名前があった
今まで、お母様の名前があった場所に
はっきりと
風の神の使い、風魔
そう、書かれていた
そして、俺はその後
特別な役である、四人神様への顔合わせに呼ばれた
風の大陸の者は大騒ぎである
「あの神の使いに、やはり風魔様は選ばれた!」
「あれほどの才能の持ち主なら、当然だろう」
そうやって、人をあげるのが好きだなと思う
……その地に名前があると、人はその人の努力が見えなくなる
そうして、そこに才能という名前が付くのだ
……最近になって、嫌という程知った
それは、努力の結果なのに
沙羅家に来るのは、これが初めてだった
少しだけ緊張して、襖を叩く
風魔
桃香
そう、襖の奥から聞こえる声に
たった数ヶ月なのに、別人のように聞こえた
凛としていて、幼さを感じさせない声
その声に、少し震えた
本当にこの人は、俺と同じ年齢なのだろうか
本当にこの前と同じ人?
……考えていても、仕方がない
襖を開けて、中に入る
風魔
桃香
そう言われ、顔を上げると
年相応の、少女がいた
桃香
桃香
桃香
そう言って、綺麗なお辞儀をする
年相応ではないその仕草に
俺は、努力を垣間見た
桃香
未門
未門
未門
未門
そう言って、そのまま2代目様の傍に戻る
……なんだろ、2代目様とは違う違和感だ
沙樹
沙樹
沙樹
沙樹
笑顔が特徴的な、好青年という感じだった
いい意味で年相応ではなくて、なんとなくそれが似合っていて
……そこも、違和感だった
美愛
美愛
美愛
美愛
そう言って、にこっと笑う
そこに、何かしらの意図を感じた
……四人神、なんだろう?
この世のものでは無い感覚
拭いきれない違和感
それが、2代目様を中心に存在する
桃香
桃香
桃香
風魔
ここで聞いても、さっきの違和感の正体は分からないだろうな
そう思い
風魔
風魔
それだけ言って、部屋を出た
あの方々が、四人神様
2代目様以外、人間さを全く感じない
ある意味、神の使いの中でも特別な地位に座るだけはある
そんなことを、考えながら帰った