凛太郎は奏星の傘に入り 通学路を歩く
揚羽凛太郎
なってきたなぁ
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
濡れずに帰れるけど
日向奏星
日向奏星
だいぶ先なんだよね?
揚羽凛太郎
濡れずに行けるならいいよ!
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
駆け抜ければなんとか!
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
迷惑じゃないなら
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
何も理由を考えてない)
日向奏星
日向奏星
日向奏星
私の妹の事覚えてる?
揚羽凛太郎
綾星ちゃんだっけ?
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽くんの事を
気に入ったみたいなの
揚羽凛太郎
日向奏星
送って来てくれた日に
日向奏星
約束したでしょ?
揚羽凛太郎
日向奏星
よかったら綾星に
会ってあげてくれないかな?
揚羽凛太郎
日向奏星
そんな事ないよ
日向奏星
綾星も喜ぶと思うんだ
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
日向奏星
ちょっと卑怯だけど)
日向奏星
揚羽くんと居れる)
揚羽凛太郎
日向奏星
出てきた時は
びっくりしたなぁ
揚羽凛太郎
日向奏星
濡れちゃうから
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
日向綾星
日向綾星
揚羽お兄ちゃんだぁ!
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向綾星
もう元通り♫
揚羽凛太郎
日向綾星
遊びに来てくれたよー!
日向志津香
揚羽凛太郎
日向志津香
揚羽凛太郎
傘を忘れちゃって
揚羽凛太郎
ウチで雨宿りすればって
言ってもらったんです
揚羽凛太郎
日向志津香
日向志津香
揚羽凛太郎
日向奏星
スリッ──
日向綾星
スリッパ!
揚羽凛太郎
日向奏星
日向綾星
お姉ちゃん
日向奏星
揚羽凛太郎
日向志津香
日向志津香
張り合っちゃって)
日向志津香
お姉ちゃんね・・・)
日向志津香
ケーキ好き?
揚羽凛太郎
まぁ、好きですけど
日向志津香
食べてってよ
日向志津香
ケーキがあるのよ
揚羽凛太郎
させてもらうだけで
日向綾星
食べていきなよ!ね?
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向奏星
なんか近くない?)
日向綾星
ケーキ!
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
有り難く頂きます!
日向志津香
まだまだあるから
揚羽凛太郎
日向志津香
奏星から聞いたんだけど
日向志津香
今は一人暮らしなんですってね
揚羽凛太郎
日向奏星
余計な事言わないでよ!
日向志津香
日向奏星
日向綾星
寂しくない?
揚羽凛太郎
今はもう慣れたよ!あはは
日向志津香
日向志津香
やってるんでしょ?
揚羽凛太郎
訳じゃないんで
揚羽凛太郎
まとめてとか
やっちゃいますから
日向志津香
いやぁ、感心するわ
揚羽凛太郎
ありがとうございます♫
日向志津香
揚羽凛太郎
日向志津香
もう決めてあるの?
揚羽凛太郎
適当に済ませようかと
日向志津香
準備はしてないのよね?
揚羽凛太郎
帰ってからやる予定で──
日向志津香
ウチで食べていきなさいよ
揚羽凛太郎
日向奏星
食べていきなよ!
揚羽凛太郎
日向綾星
みんなで食べた方が
美味しいよ?
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向志津香
日向志津香
したいって思っていたから
揚羽凛太郎
日向綾星
日向奏星
日向綾星
日向綾星
嬉しくないの?
日向奏星
嬉しくないって言ったら
嘘になるけど・・・
日向志津香
言えばいいのに)
日向志津香
プルルルルル
志津香のスマホから 着信音が鳴る
日向志津香
日向志津香
日向綾星
日向志津香
日向奏星
日向志津香
志津香は疑問に思いながらも 電話に出る
日向志津香
日向志津香
日向志津香
持っていきなさいよね
日向志津香
日向志津香
日向志津香
日向志津香
日向志津香
揚羽凛太郎
日向志津香
というか旦那からね
日向志津香
駅まで持ってきてくれって!
日向志津香
天気予報確認しないから!
揚羽凛太郎
日向志津香
揚羽くんに言ったんじゃ
ないのよ?
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
見てませんでしたから
日向綾星
天気予報見てなかったおかげで
日向綾星
来てくれたんだもん!
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向綾星
日向奏星
日向志津香
私が行くから!
日向志津香
来てくれたんだから
日向志津香
揚羽くんが可哀想よ
揚羽凛太郎
日向志津香
日向志津香
行ってくるから!
日向志津香
日向志津香
揚羽くんを紹介したいし
日向志津香
日向綾星
日向奏星
揚羽凛太郎
日向綾星
何して遊ぼっか?ね?
揚羽凛太郎
日向綾星
鬼ごっこ!ね?ね?
揚羽凛太郎
日向綾星
日向綾星
日向綾星
綾星は楽しそうに 部屋の奥に消えていく
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
揚羽くんと遊びたいって
いつも言ってたから
日向奏星
揚羽凛太郎
言ってくれてたの?
日向奏星
付き合ってあげて
揚羽凛太郎
捕まえちゃうか!
揚羽凛太郎
解き放たれた!行くぞ!
日向奏星
楽しんでる)
日向奏星
ところもあるんだ)
しばらくの間 家の中で鬼ごっこを 楽しむ凛太郎と綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎は小声で 綾星に呼びかけ手招きする
日向綾星
綾星が廊下の奥から 顔だけを出す
揚羽凛太郎
日向綾星
引っかからないよ
揚羽凛太郎
いいから!ちょっと
日向綾星
綾星は凛太郎に 疑いの眼差しを向けながらも ゆっくりと凛太郎に近づく
日向綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
嫌なこと言われてない?
揚羽凛太郎
日向綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
初めて会った公園で!
日向綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
してない?大丈夫?
日向綾星
言ってくる子は居るけど
日向綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎は安心したように 笑みをこぼす
日向綾星
日向綾星
してくれてたの?
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
投げるような連中だしな
日向綾星
優しいんだね♫
揚羽凛太郎
凛太郎は照れたように 目線を逸らす
日向綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
黙ってるからさ
日向綾星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
いいかなぁと思って
揚羽凛太郎
誰も笑顔にならないしね
日向綾星
揚羽お兄ちゃん
綾星は凛太郎に抱きつく
揚羽凛太郎
凛太郎は顔を真っ赤にして 両手をバタつかせる
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
今がチャンスじゃね?)
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎は綾星を捕まえようとするが その手は無常にも空を切る
揚羽凛太郎
日向綾星
日向綾星
揚羽凛太郎
チャンスを逃した!
日向綾星
綾星はキッチンに向かって走り出す
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎は荒い息遣いで 床に倒れ込む
日向綾星
ヘナチョコー!
綾星は両手の指先で 凛太郎の腹をツンツンと突っつく
揚羽凛太郎
辛辣すぎるって・・
揚羽凛太郎
パワフルさには負けるわ
日向奏星
日向志津香
日向綾星
志津香の声に反応し 綾星は玄関先に走っていく
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
あんのかよ
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
揚羽凛太郎
かなり体力持ってかれたわ
日向奏星
揚羽凛太郎
なったよ(笑)
揚羽凛太郎
だったけどね
日向奏星
日向綾星
お帰り!
日向志津香
日向康文
奏星の父、康文(やすふみ)が 綾星の頭を優しく撫でる
日向綾星
日向綾星
日向綾星
お腹空かせてるよ
日向志津香
日向志津香
引っ張らないの!
日向康文
日向康文
日向志津香
日向志津香
家に来てるって
日向康文
男の子か?
日向志津香
日向康文
日向康文
男の子に預けたのか!
日向志津香
日向康文
日向康文
どうするんだよ
日向綾星
そんな事しないよっ!
日向康文
分からないだけだ!
日向志津香
考えすぎじゃない?
日向康文
男の子なんか──
揚羽凛太郎
言い争ってない?
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
日向奏星
日向康文
凛太郎は康文から話しかけられ すぐさま立ち上がる
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
高校に通ってる
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
ありがとうございます
凛太郎は丁寧にお辞儀する
日向康文
揚羽凛太郎
日向奏星
何言ってるのよ!
日向康文
あまり信用できない
揚羽凛太郎
日向康文
女の子の家に押しかける
なんて絶対にしなかった
日向奏星
押しかけた訳じゃなくて
ウチに雨宿りを──
日向康文
日向奏星
揚羽凛太郎
日向康文
分かるかな?
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
娘さんと会った事のない
男の子が一緒にいたら
揚羽凛太郎
からしたらやっぱり
娘さんの事が心配でしょうし
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
悪い事してないのに!
日向康文
ならいいんだ
日向康文
揚羽凛太郎
日向綾星
揚羽凛太郎
帰らなくちゃいけなくなって
日向奏星
揚羽凛太郎
日向志津香
話を聞いて!
日向志津香
日向康文
日向奏星
私の友達なんだよ?
揚羽凛太郎
お父さんは日向の事が
心配なだけなんだから
日向奏星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
悪くしちゃったみたいで
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
変な空気になっちゃったな
揚羽凛太郎
日向奏星
謝る事ないよ・・
揚羽凛太郎
責めないであげてね?
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
ガチャ
日向奏星
せめて傘を──
日向奏星
日向奏星
日向奏星
あんな事言ったの?
日向康文
日向志津香
聞けって言ったのに!
日向康文
日向志津香
日向志津香
送って来てくれた
男の子が居たって!
日向康文
なんの関係があるんだ?
日向志津香
送ってくれた男の子が
日向志津香
追い返した
揚羽くんなのよっ!
日向康文
日向康文
先に言ってくれよ!
日向志津香
日向志津香
主張ばかりして
日向志津香
聞かないからでしょ?
日向康文
話してる揚羽くんってのも
日向志津香
日向康文
日向志津香
日向奏星
日向康文
日向康文
揚羽くんだったなんて
日向康文
日向康文
日向奏星
日向康文
日向奏星
友達だったのに
日向奏星
教室登校ができるように
なったなのに!
日向奏星
どう責任とってくれるのよ!
日向奏星
日向奏星
奏星は涙を流しながら 自分の部屋に走っていく
日向康文
日向志津香
嫌われちゃったわね
日向綾星
日向康文
日向綾星
お姉ちゃんの大切な
友達の揚羽お兄ちゃんに
日向綾星
なんか私も大っ嫌い!
日向康文
日向綾星
綾星は自分の部屋まで走っていく
日向志津香
娘二人に嫌われたわね
日向康文
日向康文
日向康文
うつむく康文は 志津香の方を見る
日向志津香
したって無駄よ
日向康文
日向志津香
謝る事ね
日向康文
日向志津香
日向志津香
大雨の中、走って 自宅までやってきた凛太郎は
全身ずぶ濡れになっていた
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
乾くのかなぁ?
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
悪くなっちゃったり
してないといいけどなぁ
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
日向奏星
日向奏星
日向奏星
嫌われちゃったかなぁ
日向奏星