ボク
ボクが中へ入ると扉はしめられていました。
ボク
冷たい金属のへやの異様なふんいきにみんなの小刻みに震える振動やドクドクと早く打つ鼓動が伝わってきて、
ボク
ボクは急にこわくなりました。
ボク
扉はいくら開けようとしても開ける事ができなくて…
ボク
でもボクは必死で扉をカリカリしました。
ボク
しばらくすると、なんだか息が苦しくなってきました。
ボク
ボク達は部屋の奥に小さな窓を見つけ、そこから外をのぞきました。
ボク
窓のむこうにおじさんが見えました。ボクは「あけてー」ってさけびました。みんなもさけびました。
ボク
でもおじさんには聞こえないみたいで。
ボク
だからボクはもっともっと大きな声でさけびました。何度も何度も。
ボク
でもおじさんは下を向いたままうごきません。
ボク
ボクたちは立っていることができなくて、次々にたおれていきました。
ボク
だんだん薄れていく意識の中でおじさんの声がきこえました。
「ごめんよ。たすけてあげられなくて… ごめんよ。」
ボク
そしてボクは歩いていました。
ボク
あなたと一緒に歩いた道。
ボク
あなたが教えてくれたたんぽぽの道。
ボク
この先を曲がれば、またあなたに会える。
ボク
きっとあなたもボクに会えるのを待っているはず。そう思うとなんだか嬉しくなって、ボクは走り出しました。
「ただいま」