その船は暗い沖を漂っていた
月もなく、雲で星もない夜
聞こえるのは エンジンと波の音だけだ
港町
振り向いた男の顔は
大きな目がやけに離れ
鼻が極端に低く
そして
分厚い唇が耳下まで裂けた
とても異様な姿をしていた
まるで蛙、それか魚だ
戸惑いを飲み込み
とにかく修理工を探そうと
目を泳がせたときだった
まるで深海から湧く泡のように
闇の中からぞるりと
男たちが姿を見せる
ただその面相が
どれも人とかけ離れていることに
全員が言葉を失った
背筋をなでるような声だった
男たちはみな 怖気立つような笑みを浮かべる
男たちが腕をつかむ
その感触はやはり
魚の肌のようにぬめっていた
じっとりと笑うそれは 絶望をつきつける
商人や役人ですら 一度入れば帰れない場所
その町の名はインスマス
邪神の手で踊る港
コメント
9件
想像したら鳥肌たちました…😱
想像すると最悪ですよねー!😫