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揚羽凛太郎

あ〜・・キツイ・・・

揚羽凛太郎

ゴホッ!ゴホッ!

揚羽凛太郎

はぁ〜・・死ぬ・・・

揚羽凛太郎

ゴホッ!ゴホッ!

揚羽凛太郎

はぁ〜〜

揚羽凛太郎

誰か助けてくれ〜

揚羽凛太郎

って誰もいねーかぁ

揚羽凛太郎

ゴホッ!ゴホッ!

日向奏星

えっ・・・・と

日向奏星

あっ!ここだ!

日向奏星

揚羽くんの住所!

日向奏星

確か部屋番号は・・・

日向奏星

306だ!

日向奏星

(でも・・・・)

日向奏星

いや、今更何悩んでんの!

日向奏星

みんな協力
してくれたんだから!

奏星は深呼吸をする

日向奏星

よしっ!

奏星は震える指先で インターフォンを押す

ピンポーン

揚羽凛太郎

はぁ?マジかよ・・・

揚羽凛太郎

ゴホッ!ゴホッ!

揚羽凛太郎

人なんか滅多に来ないくせに

揚羽凛太郎

よりにもよって
何で今日なんだよ!ゴホッ!

揚羽凛太郎

ったく・・・

ガチャ

揚羽凛太郎

はい?どちら──

日向奏星

あっ!揚羽くん!

揚羽凛太郎

え?日向?

揚羽凛太郎

何で日向が?学校は?

日向奏星

その・・何と言うか

日向奏星

抜け出して来たというか

揚羽凛太郎

はぁ?抜け出して来た?何で!

日向奏星

だって・・その・・

日向奏星

心配・・だったから・・

揚羽凛太郎

いや、だからって
抜け出してまで──

日向奏星

だって揚羽くん
ひとりでしょ?

揚羽凛太郎

ごめん日向!ゴホッ!

揚羽凛太郎

気持ちは有難いんだけど

揚羽凛太郎

日向に風邪を移す訳
には行かないからさ!

揚羽凛太郎

今日は帰って
くれないかな?

日向奏星

え・・・

揚羽凛太郎

わざわざ
来てもらったのに

揚羽凛太郎

ごめん・・・ゴホッ!

日向奏星

いや、でも・・あげ──

揚羽凛太郎

これは俺の問題だから!

揚羽凛太郎

日向に迷惑かける
訳にはいかないから!

日向奏星

そんな事
気にしなくていいよ

日向奏星

だって私たち

揚羽凛太郎

ごめんけど・・
今日は帰ってくれ

ガチャン

日向奏星

・・・・・

日向奏星

友達・・でしょ?

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

まずい・・・ゴホッ!

揚羽凛太郎

キツく言いすぎたかな・・

揚羽凛太郎

ど、どうしよ・・ゴホッ!

揚羽凛太郎

で、でも、これくらい
言わないと、日向

揚羽凛太郎

帰らないだろ・・

揚羽凛太郎

自分のせいで
風邪ひいたんだし

揚羽凛太郎

そのケツを日向に
拭わせる訳には・・

揚羽凛太郎

(やばい、眩暈がして来た)

揚羽凛太郎

(早く寝よ・・・)

凛太郎が部屋に戻ろうとした瞬間

揚羽凛太郎

いぐ・・・

バタン

急に凛太郎の視界がぐらつき 足がもつれて倒れてしまう

揚羽凛太郎

はぁ・・はぁ・・

揚羽凛太郎

(やばい・・朦朧として来た)

揚羽凛太郎

(はぁ・・はぁ・・)

揚羽凛太郎

(まじでやばい・・・)

日向奏星

ぐすっ・・・

日向奏星

私・・馬鹿みたい

日向奏星

何期待してたの?

日向奏星

私がいくら
揚羽くんの事を
好きになっても

日向奏星

揚羽くんにとっての
私なんて・・・

日向奏星

ただのクラスメイト

日向奏星

それ以上でも
それ以下でもない事なんて

日向奏星

はじめっから
分かってた事じゃん!

日向奏星

それなのに私・・・
学校まで抜け出して

日向奏星

まるでストーカーみたい

日向奏星

本当に・・バカ・・

日向奏星

ぐすっ・・

日向奏星

何が看病よ!ぐすっ
何がチャンスよ!

日向奏星

何夢見てんの?

日向奏星

・・・・・

日向奏星

はぁ〜

日向奏星

今更学校なんて
戻れる訳ないし・・

日向奏星

テキトーどっかで
時間つぶし──

バタン

日向奏星

え?

日向奏星

(今、なんか
すごい音しなかった?)

日向奏星

揚羽くん?

日向奏星

揚羽くん!揚羽くん!

日向奏星

大丈夫?どうかしたの?

奏星はドアに耳を当てて 中の様子を伺う

すると微かに凛太郎の 唸り声のような 言葉にならないような声が聞こえて来た

揚羽凛太郎

う・・うう・・・

日向奏星

まさか・・

日向奏星

倒れてるんじゃ・・

日向奏星

きっとそうだ!

日向奏星

揚羽くん!大丈夫?

奏星はドアノブに手をかけて回す

ガチャ

日向奏星

あっ!開いた!

日向奏星

揚羽くん!

日向奏星

!!!!!!

奏星がドアを開けて 部屋に入ると

目の前では凛太郎が 荒い息遣いで横に倒れていた

揚羽凛太郎

う・・うう・・

日向奏星

大変っ!

日向奏星

揚羽くん?大丈夫?

日向奏星

私の事わかる?大丈夫?

揚羽凛太郎

ヒ・・ナタ・・・?

奏星は自分の手のひらを 凛太郎のおでこに当てる

日向奏星

いっけない!

日向奏星

えっと・・えっと・・

日向奏星

とりあえず、部屋に
連れていかなきゃ!

奏星は凛太郎の体を 抱き抱えようとするが

女の子のひ弱な力では 凛太郎を持ち上げられなかった

日向奏星

ああ・・やっぱダメか

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

ごめん!揚羽くん!

日向奏星

引きずる事!許してね!

奏星は凛太郎を 抱き抱える事は無理だと悟り

凛太郎の脇に腕を入れ 抱きしめるように胸元へと手を回し 部屋まで引きずって連れて行く

揚羽凛太郎

う・・・

揚羽凛太郎

うー・・・ん

揚羽凛太郎

あら?

揚羽凛太郎

オレ・・いつの間に
寝ちゃったんだ?

揚羽凛太郎

しかもリビングで・・

揚羽凛太郎

って、なんだ?
この座布団は?

凛太郎は床に並べられた 座布団の上で眠っていたようだ

また体にはタオルケットが かけられていた

テーブルには水が入った 洗面器が置いてあり 濡れたタオルも横に置いてあった

揚羽凛太郎

いつ準備したんだっけ?

揚羽凛太郎

記憶にねーな・・・・

揚羽凛太郎

ゴホッ!ゴホッ!

揚羽凛太郎

えっ・・と、時間は?

凛太郎が壁にかけてある 針時計を確認すると

時刻は午後13時40分を示していた

揚羽凛太郎

まだそんな時間かぁ

揚羽凛太郎

う・・・

揚羽凛太郎

なんか小便
したくなってきた

凛太郎がリビングから出て トイレの前に立った瞬間

ジャー

揚羽凛太郎

え?

トイレの中から 排水の音が聞こえて来た

揚羽凛太郎

た、誰かいる?

揚羽凛太郎

は?まじで?

凛太郎は自宅に 自分以外の誰かがいる という状況に恐怖し その場で腰を抜かす

揚羽凛太郎

た、誰だよ・・・

ガチャ

揚羽凛太郎

ゴクリ・・・

日向奏星

ふぅ・・・

そこから出てきたのは 奏星だった

揚羽凛太郎

は?日向?

日向奏星

あっ!揚羽くん!
起きた?

日向奏星

ごめんね。勝手に
トイレ借りちゃった

揚羽凛太郎

いや、そんな事より

揚羽凛太郎

何で日向が
ウチに居んの?

日向奏星

え?覚えてないの?

揚羽凛太郎

覚えてないの?

揚羽凛太郎

それって・・どういう

日向奏星

揚羽くんね!
私が来たとき──

凛太郎の耳には それから先の奏星の言葉は 耳に入って居なかった

揚羽凛太郎

(覚えてないの?)

揚羽凛太郎

(どういう意味だ?)

揚羽凛太郎

(寝て起きたら
女の子が居て)

揚羽凛太郎

(その女の子から
覚えてないのって・・)

揚羽凛太郎

(え?まさか・・・)

揚羽凛太郎

(俺ってヤツは・・・)

揚羽凛太郎

(無意識に日向と?)

揚羽凛太郎

(いや!いや!まさか!)

揚羽凛太郎

(そんな訳ねーよ)

揚羽凛太郎

(でも・・・)

揚羽凛太郎

(無いって言い切れるか?)

揚羽凛太郎

(だって記憶にねーんだぞ?)

揚羽凛太郎

(もしかして俺・・
本当に日向と?)

日向奏星

だからね!

日向奏星

そのまま
放っておくのは

日向奏星

どうかなぁ
って思ったから

日向奏星

勝手に家に上がるのは
マズイって思ったけど

揚羽凛太郎

すいませんでしたぁ!

揚羽凛太郎

本当にごめんなさいっ!

凛太郎は奏星の言葉を遮るようやな その場で土下座をする

日向奏星

え?なんで謝るの?

揚羽凛太郎

こんな事言ったら
日向に怒られるかも
しれないんだけどさ

揚羽凛太郎

俺・・覚えてなくてさ

揚羽凛太郎

その・・記憶が
無いんだよ・・

揚羽凛太郎

何というか
曖昧でさ・・・

日向奏星

いいの!いいの!

揚羽凛太郎

ちゃんと着けてたか
それさえも
記憶が全くなくて

揚羽凛太郎

そもそも持ってないし

日向奏星

(ん?着けてた?)

日向奏星

(持ってない?)

日向奏星

ま、まぁ、私がしたくて
やったんだから!別に

揚羽凛太郎

え?したくて
ヤったの?

日向奏星

ん?

日向奏星

さっきから揚羽くんは
何の話してるの?

揚羽凛太郎

いや・・だから・・その・・

揚羽凛太郎

俺と・・日向がさ・・

揚羽凛太郎

しちゃったんだよね?

日向奏星

何を?

揚羽凛太郎

その・・なんというか

揚羽凛太郎

エ○チ的な・・・

日向奏星

バ・・バカ!

日向奏星

何でそんな話になるの!

揚羽凛太郎

あれ?違うの?

日向奏星

私の話の何処を聞いたら
そんな勘違いするの!

揚羽凛太郎

だってさっき・・・
覚えてないの?って

日向奏星

だから!
私が言いたいのは──

奏星から経緯を聞かされた凛太郎は 安心したように胸を撫で下ろす

揚羽凛太郎

なんだよ!

揚羽凛太郎

そういう事かよー!

日向奏星

変な勘違いしないっ!

揚羽凛太郎

いや、日向の言い方が
おかしいんだって!

揚羽凛太郎

あんな言い方されたら
勘違いしちゃうよ!

日向奏星

もう・・バカ・・

揚羽凛太郎

でもよかったぁ・・

揚羽凛太郎

自分が風邪で弱ってる
事を利用して

揚羽凛太郎

日向としちゃった
のかと思ったから

日向奏星

私なんかと
したくなかった?

揚羽凛太郎

いや、そういう
意味じゃなくて

揚羽凛太郎

というか、したいって
意味でもなくて

揚羽凛太郎

あー、なんて
言ったらいいか

日向奏星

ふふふ

揚羽凛太郎

でも結果的に日向に
看病させちゃったなぁ

揚羽凛太郎

ごめんね・・・

日向奏星

いいの・・・

日向奏星

私のせいだから・・・

揚羽凛太郎

え?どういう意味?

日向奏星

だって昨日・・・

揚羽凛太郎

だから言ったじゃん!

揚羽凛太郎

あれは気にして無いから!

揚羽凛太郎

娘を大切に思う
父親の気持ちは分かるから!

揚羽凛太郎

俺、恨んだり
してないからな?

日向奏星

う、うん・・・

揚羽凛太郎

日向?

凛太郎は奏星の頬を 両手で抑える

日向奏星

なにするの

揚羽凛太郎

自分を責めちゃ
ダメだって!

日向奏星

ぷっ

揚羽凛太郎

何がおかしいんだよ!

揚羽凛太郎

俺は真剣なんだぞ!

日向奏星

いや、ごめん

日向奏星

ただ・・・

揚羽凛太郎

ただ?

日向奏星

和久井くんの
言った通りだって思って

揚羽凛太郎

龍也?

日向奏星

和久井くんがね?

日向奏星

揚羽くんなら絶対に
自分を責めちゃダメだって
言うから心配するなったって

揚羽凛太郎

ああ、そういう事か

揚羽凛太郎

はぁ〜なんか
腹減って来たなぁ

揚羽凛太郎

何かあったかなぁ

日向奏星

あっ!そうだった!

揚羽凛太郎

なに?

日向奏星

お粥作ったんだぁ!

日向奏星

持ってくるね

揚羽凛太郎

お粥?まじで?

日向奏星

冷蔵庫勝手に
使っちゃったら

日向奏星

マズイか持って
思ったんだけど

揚羽凛太郎

いやぁ、助かる

日向奏星

でも、揚羽くんって
きちんと自炊
してるんだね!

揚羽凛太郎

え?

日向奏星

肉やらお野菜やら
たっくさん入ってたから

揚羽凛太郎

あれ?そうだったかなぁ

揚羽凛太郎

そんなに買った記憶
ないんだけどなぁ

日向奏星

はい!お粥!

揚羽凛太郎

ありがとう

揚羽凛太郎

って、日向?

日向奏星

ふー、ふー・・

奏星はスプーンですくったお粥を フーフーしだした

揚羽凛太郎

いや、いいから!
自分で食べれるから!

日向奏星

ダメっ!

日向奏星

揚羽くんは
病人なんだから!

揚羽凛太郎

いや、でも・・

日向奏星

はい!あーん!

揚羽凛太郎

あ、ああ・・

日向奏星

熱い?大丈夫?

揚羽凛太郎

う、うん・・・

揚羽凛太郎

ちょうど良いよ

日向奏星

良かったぁ

日向奏星

ふー、ふー・・・

揚羽凛太郎

(あれ?)

揚羽凛太郎

(日向ってこんな
可愛かったっけ?)

日向奏星

ふー、ふー・・・

揚羽凛太郎

(なんか変な感じだ)

揚羽凛太郎

(熱のせいで体が
熱いだけなのに)

揚羽凛太郎

(なんだろ・・なんか)

揚羽凛太郎

(火照ってるように感じる)

日向奏星

はい!あーん!

揚羽凛太郎

あ、う、うん・・・

揚羽凛太郎

(なんか・・・)

揚羽凛太郎

(可愛いな・・日向って)

揚羽凛太郎

(あれ?俺ってもしかして)

揚羽凛太郎

(日向の事・・・)

揚羽凛太郎

(好きになってる?)

日向奏星

揚羽くん?

日向奏星

食べないの?

日向奏星

もしかして
不味かった?

揚羽凛太郎

あ、いや、そんな事ないよ

揚羽凛太郎

すげー美味いよ、うん

日向奏星

なんだぁ
よかった・・・

揚羽凛太郎

(やばい・・・)

揚羽凛太郎

(意識しだすと
日向の事がさらに
可愛く見えてくる)

日向奏星

はい!あ〜ん

揚羽凛太郎

あ、う、うん

凛太郎は顔を 赤く染めながら口を開く

ガチャ

凛太郎が奏星にお粥を 食べさせてもらっていると

ドアが開き ひとりの女性がリビングに入ってくる

女性

ただいまぁ・・・

女性

って

女性

あんた何やってんの?

揚羽凛太郎

はぁ?何で居るんだよ!

日向奏星

え?

日向奏星

揚羽くん・・・
誰?この人・・・

揚羽凛太郎

俺の・・母さん

日向奏星

あれ?外国に
居るんじゃなかったの?

揚羽凛太郎

その筈なんだけど

女性

はじめまして!
揚羽凛太郎の母!

揚羽渚沙

揚羽渚沙です

日向奏星

あっ!は、はじめまして

日向奏星

あの・・その・・えっと

日向奏星

揚羽くんと同じ
高校に通ってる

日向奏星

日向奏星って言います

日向奏星

不束者ですけど

日向奏星

よろしくお願い致します

揚羽凛太郎

いや、結婚の挨拶か!

日向奏星

あ、ごめんなさい

揚羽渚沙

あはははは

揚羽渚沙

面白い子ね

揚羽凛太郎

つーか、いつ帰ってだんだ?

揚羽渚沙

今日の朝よ

揚羽凛太郎

そうだったのか

揚羽渚沙

あんたは寝てたから
気がつかなかった
みたいだけどね

揚羽渚沙

というかアンタ!

揚羽凛太郎

な、なんだよ

揚羽渚沙

見慣れない
ローファーが
あったから

揚羽渚沙

もしかしてとは
思ってたけど

揚羽凛太郎

何がもしかして
なんだよ・・・

揚羽渚沙

母親が居ないからって
女の子連れ込むとは

揚羽渚沙

随分と大人になったわね

揚羽凛太郎

はぁ!?

揚羽渚沙

しかもこんなに
可愛い子を!

揚羽渚沙

どうやって
落としたのよ!え?

渚沙は凛太郎を からかうように 脇腹をつっつく

揚羽凛太郎

ば!馬鹿!ちげぇよ!

揚羽凛太郎

この子は・・
その・・友達で・・

揚羽凛太郎

俺が一人暮らしって
知ってるから

揚羽凛太郎

様子見に来てくれた
だけだっつーのっ!

揚羽凛太郎

何意味分かんねー事
言ってんだよ!

揚羽渚沙

鼻の下
伸ばしてたくせに

揚羽渚沙

よく言うわねぇ〜

揚羽凛太郎

日向の前で
変な事言うなよ!

日向奏星

あ、あの!

揚羽渚沙

なぁに?

日向奏星

私・・・

日向奏星

か、帰りますね・・・

揚羽凛太郎

(え?帰る?)

揚羽渚沙

え?

日向奏星

揚羽くんも
お母さんが居るなら
安心だと思いますし

日向奏星

私は・・・

揚羽凛太郎

(ま、まぁ
そう・・なるよな)

揚羽凛太郎

(もう少し一緒に
居たかったけど)

揚羽凛太郎

(仕方ないか・・・)

揚羽凛太郎

あぁ、悪いな日向

揚羽凛太郎

せっかく来てくれたのに

日向奏星

ううん。いいの

揚羽渚沙

(ふー・・ん)

揚羽渚沙

(はい!はい!
そういう事ね!)

2人の反応から 何かを察する渚沙

日向奏星

なら私は──

揚羽渚沙

あっ!そうだった!
すっかり忘れてたぁ!

揚羽凛太郎

何だよ急に
大声出して!

日向奏星

揚羽渚沙

私まだ会社で
やらなきゃいけない
仕事があるんだったわぁ

日向奏星

え?

揚羽渚沙

あー!どうしよー!

揚羽渚沙

これじゃ凛太郎の
看病できないわー!

揚羽渚沙

困ったっちゃったなぁ

渚沙はバレバレな 三文芝居をしながら チラチラと奏星を見る

日向奏星

(お母さん・・・)

揚羽渚沙

どこかに馬鹿息子の
看病してくれる

揚羽渚沙

可愛くて優しくて
メガネ姿が似合う
女の子いないかなぁ?

日向奏星

あ、あのっ!

渚沙の意図を理解した奏星は 手を天高く突き上げる

揚羽渚沙

ん?なに?どうしたの?

日向奏星

私・・やりますっ!

揚羽凛太郎

ちょ!日向?

揚羽渚沙

(ふふふ、伝わったみたいね)

揚羽渚沙

え?まさか凛太郎の
看病やってくれるの?

日向奏星

はいっ!
私で良かったら

揚羽渚沙

やだぁ!ありがとう!
助かったわぁ!

揚羽凛太郎

ちょ、母さん!

揚羽渚沙

こんなオバさんに
看病されるより

揚羽渚沙

可愛い女の子にお粥ふーふー
されるほうが好きでしょ?

揚羽渚沙

アンタwww

揚羽凛太郎

笑ってんなよ!

揚羽渚沙

じゃあ奏星ちゃん!

揚羽渚沙

申し訳ないけど
凛太郎をお願いね?

日向奏星

はいっ!

揚羽渚沙

あと凛太郎!

揚羽凛太郎

なんだよ!

揚羽渚沙

ちゃんと自炊してるの?

揚羽渚沙

冷蔵庫の中に
もやししかなかったけど

揚羽凛太郎

いいじゃねーかよ!
もやし!最高じゃん!

揚羽渚沙

ったく・・・

揚羽渚沙

色々買っといたから

揚羽渚沙

ちゃんとやりなさいよ?

揚羽凛太郎

わーってるよ!

揚羽渚沙

じゃあ行ってくるわね!

揚羽凛太郎

ああ!行ってらっしゃい!

日向奏星

あっ、行ってらっしゃい

日向奏星

なんか・・・

日向奏星

気を遣って
くれたみたいだね

日向奏星

お母さん・・・

揚羽凛太郎

まぁ、どうだろうなぁ

揚羽凛太郎

(ったく、余計な事を)

揚羽凛太郎

(でもこれでもう少し
だけ日向と居れる)

日向奏星

あ!

揚羽凛太郎

どうした?

日向奏星

お粥冷めちゃった

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

(日向・・・)

揚羽凛太郎

はい!日向!

凛太郎は口を開ける

日向奏星

え?

揚羽凛太郎

何驚いてんだよ!

揚羽凛太郎

食べさせて
くれるんだろ?

日向奏星

揚羽くん!

日向奏星

はい!あーん!

日向奏星

どう?冷めてても
美味しいかなぁ?

揚羽凛太郎

すげぇ美味いよ!

揚羽凛太郎

やっぱ日向は
天才だなぁ

揚羽凛太郎

これなら今すぐに
風邪なんて治っちゃうよ

日向奏星

またまたぁ!

日向奏星

あと、パパの話なんだけど

揚羽凛太郎

日向の?

日向奏星

勘違いだったって
謝ってた!

揚羽凛太郎

勘違い?

日向奏星

実はパパはね
揚羽くんの名前だけは
知ってたんだよ

揚羽凛太郎

ああ!そうだったの?

日向奏星

ホラ!綾星を
送ってくれた時

揚羽凛太郎

ああ!あの時ね!

日向奏星

その時に揚羽くんの名前
教えてあったんだよね

日向奏星

その後に私の友達
だっていう事も
伝えてあったの

揚羽凛太郎

あー!はい!はい!
そういう事か!

日向奏星

だから昨日は
揚羽くんが

日向奏星

まさかあの揚羽くん
だとは思って
なかったみたいで

揚羽凛太郎

それで勘違いね!

日向奏星

あの・・パパの事
許してくれるかな?

揚羽凛太郎

あはははは

揚羽凛太郎

許すも何も
恨んで無いから!

揚羽凛太郎

それに俺がお父さんの
立場でも同じ勘違い
したと思うからさ!

日向奏星

パパが聞いたら
安心すると思う

揚羽凛太郎

今日はわざわざ
ごめんなぁ!日向!

揚羽凛太郎

おかげで、すげー
楽になったよ

日向奏星

いいんだよ!
友達なんだし!

揚羽凛太郎

今度キチンと
お礼させてもらうから

日向奏星

いいのに!お礼なんて!

揚羽凛太郎

ダメだよ!

揚羽凛太郎

ホラ!親しき中にも
礼儀ありって言うだろ?

日向奏星

そうだけど・・・

揚羽凛太郎

だからお礼は
させてもらう!

日向奏星

わかった!

揚羽凛太郎

なら明日学校でな!

揚羽凛太郎

もう明日からは普通に
登校できると思うからさ!

日向奏星

ならよかった!安心した!

日向奏星

なら明日学校でね!

揚羽凛太郎

うん!また明日!

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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コメント

4

ユーザー
ユーザー

めっちゃキュンキュンだぁ!! 凛太郎くんのお母さん、面白い😂

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