テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ

第16話 - 二人だけの時間

260

2022年10月01日

#ドラマ

#青春恋愛

#高校生

#一次創作

#第3回テノコン

×××

数十分前

奏星と美咲がスーパーにて食材を選んでいた頃

姫川美咲

ねぇ！奏星！

日向奏星

なに？

姫川美咲

さっき学校で
ママさんに
電話してたよね？

日向奏星

うん・・・

姫川美咲

ちゃんとママさんには

姫川美咲

揚羽くんの家に
泊まるって伝えた？

日向奏星

う、うん・・・

日向奏星

つ、伝えたよ？

姫川美咲

本当に？

日向奏星

・・・・・

日向奏星

ごめん・・・

日向奏星

美咲の家に
泊まるって嘘ついた

姫川美咲

やっぱそっか！
よかったぁ

日向奏星

え？よかった？

姫川美咲

実は私も奏星の家に
泊まるって嘘言ったから

日向奏星

あっ！そうだったの？

姫川美咲

やっぱまだ
付き合ってるって
伝えてないし

姫川美咲

いきなり泊まるって
伝えれなくてさ

日向奏星

だ、だよね・・・

姫川美咲

一応ママには
奏星のママさんには
私からお礼は伝えるから

姫川美咲

言わなくていいって
言ってあるけど

日向奏星

私も同じ・・・

姫川美咲

なら互いに口裏
合わせなきゃだね

日向奏星

う、うん・・・

姫川美咲

じゃあ互いに秘密ね！

日向奏星

うん！秘密！

日向奏星

・・・・・

日向奏星

バレないかな？

姫川美咲

大丈夫だよ！

姫川美咲

・・・・・

姫川美咲

多分・・・

日向奏星

・・・・・

姫川美咲

まぁ、バレた時は
素直に謝ろうよ

日向奏星

う、うん・・・

日向奏星

そうだね・・・

姫川美咲

お邪魔しまーす！

日向奏星

お邪魔します！

揚羽凛太郎

とりあえずテキトーに
くつろいでくれて良いから

和久井龍也

へー！結構綺麗に
片付いてんじゃん！

揚羽凛太郎

まぁ、いつの日かみたいに

揚羽凛太郎

急に母さんが帰ってきた時に
ドヤされたくないからな

日向奏星

あの時はビックリしたなぁ

日向奏星

急に知らない女の人が
入って来るんだもん

揚羽凛太郎

さすがにアレは
俺もビックリしたよ

姫川美咲

え？え？女の人？
何の話？

姫川美咲

揚羽くん・・
まさかの二股？

姫川美咲

わぁー引くわー

揚羽凛太郎

バ、バカ！何
言ってんだよ！

揚羽凛太郎

母さんだよ！母さん！

姫川美咲

母さん？

日向奏星

美咲忘れたの？

日向奏星

美咲に話したじゃん！

日向奏星

揚羽くんの
看病をしてた時に

日向奏星

偶然揚羽くんの
お母さんが帰って来たって

姫川美咲

あ〜なんだぁ！その話か！

姫川美咲

禁断の三角関係を
期待しちゃった

和久井龍也

何バカ言ってんだよ！
ったく・・・

姫川美咲

じゃあそろそろ
作ろっか？奏星！

日向奏星

そうだね！
時間も時間だし！

姫川美咲

てか揚羽くんは？

和久井龍也

なんか、風呂の掃除
するっつってたぞ！

姫川美咲

ああ！お風呂ね！

ガチャ

揚羽凛太郎

みんな・・・

凛太郎が申し訳なさそうな表情をしながら部屋に入って来る。

日向奏星

どうしたの？

揚羽凛太郎

ごめん・・・

和久井龍也

何謝ってんだ？

揚羽凛太郎

給湯器が
壊れたっぽいんだ・・

姫川美咲

え？うっそ！

姫川美咲

じゃあお風呂入れないの？

揚羽凛太郎

昨日の夜は大丈夫
だったんだけど・・・

揚羽凛太郎

すまん・・・

姫川美咲

えー！お風呂入りたい！

日向奏星

しょうがないよ！美咲

日向奏星

給湯器が壊れたんなら
水しか出ないんだから

姫川美咲

そうだけど・・・

揚羽凛太郎

あのさ・・・

揚羽凛太郎

この先に銭湯が
あるんだけど

姫川美咲

え？銭湯？

揚羽凛太郎

うん・・・

揚羽凛太郎

悪いけど、そこに
行ってもらえないかな？

揚羽凛太郎

もちろん金は
俺が出すからさ！

和久井龍也

ああ！確かあったな！

和久井龍也

番台にばーさんが
居るトコ！

揚羽凛太郎

近所ならそこしか
ねーんだよな

姫川美咲

じゃあさ！
みんなで行こうよ！銭湯！

日向奏星

みんなで？

姫川美咲

そうそう！みんなで！

姫川美咲

あっ！でも
龍也は大丈夫？

揚羽凛太郎

ああ！そうだよな！
大丈夫なのか？
風呂入っても！

和久井龍也

ああ！そんなヤベェ
骨折じゃねーから

和久井龍也

風呂入るくらいは
訳ねーよ！

揚羽凛太郎

なら決まりだな！

姫川美咲

じゃあみんなで
銭湯にゴー！

姫川美咲

なんか楽しみだね

日向奏星

うん♫

揚羽凛太郎

てかさ・・・

揚羽凛太郎

みんな着替えとか
持って来たのか？

姫川美咲

あっ！すっかり
忘れてた

日向奏星

たしかに・・・

日向奏星

打ち上げの事しか
考えてなかった

揚羽凛太郎

まぁ、龍也には俺の服を
貸せばいいとして

揚羽凛太郎

日向と姫川に
俺の服ってのもなぁ・・

和久井龍也

リンの母さんの服は？

揚羽凛太郎

え？

和久井龍也

別にあげる訳じゃ
ねーんだから

和久井龍也

大丈夫だろ？

揚羽凛太郎

まぁ、それもそっか

揚羽凛太郎

それでもいいかな？

揚羽凛太郎

嫌なら別に──

姫川美咲

貸してもらえるなら
何でもいいよ！

日向奏星

うん！私も──

姫川美咲

《わ、私は揚羽くんの
服が着たいなぁ》

日向奏星

ちょっと！美咲！
アフレコしないで！

日向奏星

揚羽くんのお母さんの
服を借りれるなら
それが有難いなぁ

揚羽凛太郎

ならそれで！

揚羽凛太郎

（一瞬日向が
言ったのかと思って
ちょっと焦ったわ）

和久井龍也

何顔赤くしてんだ？

揚羽凛太郎

なんでもねーよ！

銭湯　女湯

姫川美咲

ふぅー・・・

姫川美咲

あぁぁぁ〜気持ちィィィ

姫川美咲

やっぱおっきいお風呂は
伸び伸び出来ていいね

日向奏星

・・・・・

姫川美咲

ん？どうしたの？

姫川美咲

なんか元気なくない？

日向奏星

なんか自信
なくしちゃった

姫川美咲

はぁ？なんで？

日向奏星

だって・・その・・

日向奏星

美咲・・おっきいんだもん

姫川美咲

何が？

日向奏星

その・・お○ぱい・・

姫川美咲

そうかなぁ？

日向奏星

私・・小さいから

姫川美咲

どれどれ・・

美咲は奏星に回り込み奏星の胸を揉みだす

日向奏星

ちょっと？美咲？

姫川美咲

ふむふむ・・

日向奏星

何してんの！

姫川美咲

美咲は形がいいね！

日向奏星

なにそれ？
慰めのつもり？

日向奏星

さらに自信
なくちゃうよ・・

姫川美咲

胸は大きさ
じゃないじゃん！

日向奏星

それは美咲は
自分が大きいから

日向奏星

そう思うだけじゃん

姫川美咲

でもこのくらいが
揉みやすいんじゃない？

日向奏星

揉みやすいって
誰が揉むのよ！

姫川美咲

それはもちろん──

姫川美咲

揚羽くん♫

日向奏星

ば、ばか！

姫川美咲

きゃはは！
顔が茹蛸みたいに
赤くなってる！

姫川美咲

照れちゃって♫
奏星ったら可愛い♫

日向奏星

からかわないで！

姫川美咲

揉んでほしくない？

日向奏星

それは──

日向奏星

って！変な事
言わせないでよ！

姫川美咲

あ〜惜しいっ！

姫川美咲

奏星の大胆な発言を
聞けると思ったのにぃ！

日向奏星

もう・・バカ！

銭湯　男湯

揚羽凛太郎

こっちまで
丸聞こえなんだけど

揚羽凛太郎

あのふたり・・・

揚羽凛太郎

ボリューム
考えろよな！ったく

和久井龍也

日向の胸は
揉みやすいんだってよ！

和久井龍也

揚羽くぅーん♫

揚羽凛太郎

うるせーよ！

和久井龍也

勃った？

揚羽凛太郎

だ！ま！れ！

揚羽凛太郎

（ったく姫川のヤツ）

揚羽凛太郎

（変な話しやがって）

和久井龍也

何お前手で
隠してんだ？

揚羽凛太郎

あ、いや、それは

和久井龍也

まさか！お前──

揚羽凛太郎

だから
勃ってねーって！

日向奏星

（もう・・揚羽くん）

日向奏星

（声がおっきいよ）

姫川美咲

たってないって

姫川美咲

何がたってないんだろうね？

日向奏星

うるさい！

姫川美咲

きゃはは

姫川美咲

奏星可愛い♫

日向奏星

（もう・・・）

日向奏星

（揚羽くんのバカ！）

姫川美咲

ただいまー！

日向奏星

いや、すっかり
長湯しちゃったね

姫川美咲

ほんとそれ！

和久井龍也

今何時だ？

揚羽凛太郎

げ！もう19時30分じゃん！

姫川美咲

やばっ！

日向奏星

早く準備しなきゃ！

揚羽凛太郎

何か手伝う事ある？

日向奏星

なら揚羽くんは
お米研いでくれる？

揚羽凛太郎

わかった！

日向奏星

あと、炊き込みご飯の素を
入れるの忘れずにね？

揚羽凛太郎

わかった！

日向奏星

和久井くんはコレで
テーブル拭いてくれる？

そういうと奏星は龍也に濡れタオルを手渡す

和久井龍也

おぅ！わかった！

姫川美咲

なんかテキパキ
って感じだね！奏星！

日向奏星

そう？

姫川美咲

将来は良い奥さんに
なれそうだね！

姫川美咲

ね？揚羽くん♫

揚羽凛太郎

なんで俺に言うんだよ

和久井龍也

あれ？リンって前
同じような事日向に
言ってなかったっけ？

揚羽凛太郎

今関係ねーだろ！

それから食事の準備は順調に進んでいき

20時30分を少しすぎた頃にはテーブルに食事が並べられていた

炊き込みご飯に鶏の照り焼きそしてハンバーグに生野菜サラダなど

皆の好物がテーブルを彩っている

姫川美咲

やっぱ奏星
手際いいわぁ！

日向奏星

そんな大袈裟だって

姫川美咲

いやいや、まじ凄いよ

姫川美咲

私が二人いても
この時間に終わってないもん

和久井龍也

なんか主婦って
感じしたわ！

和久井龍也

なぁ？リン！

揚羽凛太郎

ああ！なんか
プロフェッショナル
って感じしたよ！

日向奏星

もう、みんなやめてよ

日向奏星

恥ずかしいから

日向奏星

でもありがと♫

姫川美咲

じゃあみんな！
さぁ！さぁ！

姫川美咲

コップ持って！

美咲の合図で皆が一斉にお茶が注がれたコップを手にする

姫川美咲

文化祭お疲れ様！

姫川美咲

カンパーイっ！

揚羽凛太郎

カンパーイ！

日向奏星

カンパーイ！

和久井龍也

カンパーイ！

それから皆は、食事を終えリビングのテレビで映画を見たり

TVゲームなどをして打ち上げを存分に満喫した

そして気がつくと時刻はすでに日付変更後になっていた

姫川美咲

ふわぁ〜〜〜

姫川美咲

なんか眠くなって
来ちゃった〜

日向奏星

私も

揚羽凛太郎

じゃあそろそろ
寝るか？

姫川美咲

そうしようかな？

揚羽凛太郎

じゃあ日向と姫川は
コレ来てくれ！

凛太郎は奏星と美咲それぞれに服を手渡す

揚羽凛太郎

母さんのしかなくて
申し訳ないけどな

姫川美咲

ありがと♫

日向奏星

さすがに制服のまま
寝るのはアレだから

日向奏星

助かった！

揚羽凛太郎

じゃあ部屋に案内するよ

揚羽凛太郎

日向と姫川はこの
部屋で寝てくれ！

揚羽凛太郎

ここは普段は母さんが
寝室に浸かってる部屋だから

日向奏星

ありがとう

日向奏星

ふわぁ〜〜〜

日向奏星

眠い

姫川美咲

有り難く
使わせてもらうね

揚羽凛太郎

じゃあ二人とも！
おやすみ！

日向奏星

うん！おやすみ

姫川美咲

おやすみ！

和久井龍也

おやすみ！

揚羽凛太郎

まぁ、龍也はベッド
使ってくれ

揚羽凛太郎

俺は床に布団
敷いて寝るから

和久井龍也

いや、リンが
ベッド使えよ

和久井龍也

俺が床で──

揚羽凛太郎

怪我人だからな

揚羽凛太郎

ベッドの方が安心だろ

和久井龍也

悪いな！気ぃ遣わせて

揚羽凛太郎

いいって！いいって！
友達なんだし！

揚羽凛太郎

じゃあもう寝るか！

和久井龍也

ああ・・・

和久井龍也

ふわぁ〜〜〜

和久井龍也

まじ眠くなって来た

揚羽凛太郎

じゃあ電気消すぞ

和久井龍也

ああ・・・

揚羽凛太郎

おやすみ！

和久井龍也

ああ！おやすみ！

凛太郎はそういうとベッドの宮に置かれた照明用のリモコンを操作し、電気を消す

深夜

和久井龍也

zzzzzzzzzzz

揚羽凛太郎

う・・

揚羽凛太郎

うー・・・ん

揚羽凛太郎

今・・何時だ？

目を覚ました凛太郎はスマホで時刻を確認する

スマホには３時20分と表示されていた

揚羽凛太郎

まだ３時かよ・・・

揚羽凛太郎

３時間も寝てねーな

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

（なんか喉乾いて来たな）

揚羽凛太郎

（お茶でも飲んでくるか）

凛太郎はベッドで寝ている龍也を起こさないように慎重に抜き足差し足で部屋を出る

姫川美咲

うー・・ん

姫川美咲

ムニャムニャ

姫川美咲

だめ・・龍也

姫川美咲

みんな居るのに・・

姫川美咲

ムニャムニャ

姫川美咲

そんなとこ・・ダメ

同じベッドで寝ている美咲は夢を見ているのだろうか

寝言を呟いている

日向奏星

（どんな夢見てんの？
美咲ったら・・・）

日向奏星

（はぁ〜・・・）

日向奏星

（なんか目が覚め
ちゃったなぁ）

日向奏星

（まだ３時だし・・・）

日向奏星

（もう一眠りしよっかな）

ガチャ

隣の部屋のドアが開く音がする

日向奏星

（隣の部屋？）

日向奏星

（もしかして揚羽くん
だったりしないかな？）

日向奏星

（・・・・・）

日向奏星

（もし揚羽くんなら
二人っきりになれるかな？）

奏星は微かな期待を胸に抱き

美咲を起こさないように慎重に部屋から出る

ガチャ

凛太郎は冷蔵庫から取り出したお茶をコップに注いでいた

揚羽凛太郎

グビグビグビグビ

揚羽凛太郎

ふぅ〜・・・

揚羽凛太郎

はぁ〜生き返る・・・

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

もう一眠りかな？

凛太郎は背後に向き直り部屋に戻ろうとする

日向奏星

あの・・揚羽くん？

するとそこには先程はいなかった奏星の姿があった

揚羽凛太郎

はっ！！！！！！！

揚羽凛太郎

ビックリした・・・

揚羽凛太郎

なんだ！日向かよ・・・

揚羽凛太郎

出たかと思ったわ・・・

揚羽凛太郎

脅かすなよな・・・

日向奏星

あ、ごめん・・・

日向奏星

脅かすつもりは
なかったんだけど

揚羽凛太郎

あっ！もしかして
起こしちゃったかな？

日向奏星

ううん、そうじゃないの

日向奏星

なんか目が覚めちゃって

揚羽凛太郎

ああ、そっか・・・

揚羽凛太郎

あっ！お茶飲む？

揚羽凛太郎

注ぐよ？

日向奏星

あ、そうだなぁ・・

日向奏星

じゃあ貰おっかな

揚羽凛太郎

ちょっと待ってて！
すぐ注ぐから

日向奏星

うん・・・

揚羽凛太郎

氷いる？

日向奏星

いや、そのままでいいよ

揚羽凛太郎

わかった！

凛太郎はコップにお茶を注ぎ奏星に手渡す

揚羽凛太郎

はい！お茶！

日向奏星

ありがとう・・

日向奏星

グビグビグビグビ

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

ん？どうしたの？

揚羽凛太郎

もう寝る？

日向奏星

うー・・・ん
どうかなぁ・・

日向奏星

どうかしたの？

揚羽凛太郎

今すぐ寝ないんならさ
ちょっと話さない？

揚羽凛太郎

せっかく
二人っきりだし

日向奏星

う、うん・・・

日向奏星

私も・・話したい

凛太郎と奏星は薄暗いリビングのソファに両隣で腰を下ろす

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

（やばい・・・）

揚羽凛太郎

（いざ二人きりになったら）

揚羽凛太郎

（何話せばいいか
分かんなくなってきた）

揚羽凛太郎

（何か・・話題を）

日向奏星

なんか不思議な
感じだね

揚羽凛太郎

不思議？

日向奏星

こんな夜遅い
時間なのに

日向奏星

まだ揚羽くんと
一緒に居れるって
なんか不思議な感じ

揚羽凛太郎

日向・・・

日向奏星

なんか二人だけの
秘密の時間って感じ

揚羽凛太郎

あはは・・そうだな

揚羽凛太郎

（ヤバい・・・）

揚羽凛太郎

（今になって
銭湯での話を思い出す）

揚羽凛太郎

（いやいや、何か
別の事を考えるんだ）

揚羽凛太郎

（何か別の事を・・・）

日向奏星

揚羽くんってさ

揚羽凛太郎

ん？なに？

日向奏星

やっぱり・・その

日向奏星

大きい方が好き？

揚羽凛太郎

え？大きい？

日向奏星

その・・お○ぱい

揚羽凛太郎

ふんぐっ！ゴホッ！

揚羽凛太郎

ゴホッ！ゴホッ！

予想外の奏星の発言にお茶が気管に入ってしまいむせてしまう凛太郎

日向奏星

大丈夫？揚羽くん

揚羽凛太郎

あ、ごめん！ごめん！
大丈夫だから！

揚羽凛太郎

でも、どうしたんだよ

揚羽凛太郎

いきなり・・・

日向奏星

いやぁ、その・・・

日向奏星

私が・・小さいからさ・・

揚羽凛太郎

そ、そうかな？

揚羽凛太郎

俺はそうは思わないけど

凛太郎は頬を赤らめ横目でチラチラと奏星の胸を見る

日向奏星

あんま見ないでよ・・

日向奏星

恥ずかしいから・・

揚羽凛太郎

いや・・自分から
話振ったんだろ・・

揚羽凛太郎

そりゃそんな話されたら
見ちゃうだろ・・・

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

（会話が止まった・・）

揚羽凛太郎

（どうしよ・・・）

日向奏星

そういえば揚羽くん？

揚羽凛太郎

ん？どうした？

日向奏星

お料理どうだった？

日向奏星

美味しかったかな？

揚羽凛太郎

うん！すげー
美味かったよ

揚羽凛太郎

特に鶏の照り焼き！

揚羽凛太郎

あれはもう
絶品だったよ！

揚羽凛太郎

まじ店に出せる
レベルの美味さだった！

日向奏星

よかった・・・

揚羽凛太郎

いやぁ、俺もさ
照り焼き好きだから

揚羽凛太郎

何度か自分で挑戦
した事あったんだけどさ

揚羽凛太郎

なんて言うかなぁ
「ベチャ」って
なっちゃうんだよな

日向奏星

ベチャ？

揚羽凛太郎

ホラ！日向が作って
くれた照り焼きはさ

揚羽凛太郎

皮パリッ！

揚羽凛太郎

中ジュワッ！

揚羽凛太郎

って感じだったじゃん！

揚羽凛太郎

あれを自分で
やろうとしても
上手くいかないんだよ

日向奏星

いつもどうやって
作ってるの？

揚羽凛太郎

まぁ、まずアレだよ

揚羽凛太郎

鶏もも肉をさ

揚羽凛太郎

食べ易くブツ切り
にするじゃん？

日向奏星

うん・・・

揚羽凛太郎

それから油をひいた
フライパンに
その肉を入れて

揚羽凛太郎

ある程度火を通したら
市販の照り焼きソースを
ドバドバっとかけて

揚羽凛太郎

ある程度焼いたら完成！

揚羽凛太郎

って感じかな？

日向奏星

それじゃ皮は
パリッとはならないよ

日向奏星

水溶き片栗粉
使わなきゃ！

揚羽凛太郎

ミズトキカタクリコ？

揚羽凛太郎

ソレハ・・ナニ？

日向奏星

ぷっ

揚羽凛太郎

あ！今バカにしたろ！

日向奏星

あ、ごめん
そういうつもりじゃ──

揚羽凛太郎

しょうがねーじゃん

揚羽凛太郎

自炊なんて最近
始めたばっかなんだからー

日向奏星

ごめん・・・

揚羽凛太郎

じゃあさ！
今度教えてよ！

揚羽凛太郎

日向流の作り方！

日向奏星

うん！まかせて！

日向奏星

あとさ・・揚羽くん？

揚羽凛太郎

な、なに？

日向奏星

私たち・・その

日向奏星

付き合って
るんだよね？

揚羽凛太郎

ま、まぁ、そうだな

日向奏星

ならさ・・・

日向奏星

未だに苗字で
呼び合ってるのって

日向奏星

おかしいよね・・・

揚羽凛太郎

あ、そ、そうだよな

揚羽凛太郎

確かに・・・

日向奏星

・・・・

日向奏星

凛太郎くんって
呼んでも良いかな？

日向奏星

あ、凛くんの方が
いいかな？

揚羽凛太郎

そ、そうだなぁ・・・

揚羽凛太郎

個人的には凛くん
の方が好き・・かな？

日向奏星

じゃあ
凛くんって呼ぶね

揚羽凛太郎

あ、ああ・・・

揚羽凛太郎

じゃ、じゃあ俺は──

日向奏星

奏星って呼んでほしい

揚羽凛太郎

え？

日向奏星

嫌・・かな？

揚羽凛太郎

ううん。嫌じゃないよ

揚羽凛太郎

奏星って呼ぶよ

二人は薄暗いリビングで向き合う

日向奏星

凛くん・・・

揚羽凛太郎

奏星・・・

日向奏星

ぷっ

揚羽凛太郎

ぷっ

揚羽凛太郎

あははは

揚羽凛太郎

なんだか
ぎこちないなぁ

揚羽凛太郎

俺たち・・・

日向奏星

うん・・なんか
まだ慣れないね

揚羽凛太郎

ずっと苗字呼び
だったからな（笑）

日向奏星

凛くん・・・

揚羽凛太郎

ん？

日向奏星

私・・・

日向奏星

キス・・したい

揚羽凛太郎

奏星・・・

日向奏星

だってあの日以来
してないじゃん・・・

日向奏星

凛くんは嫌？

日向奏星

私と・・その・・
キスするの・・・

揚羽凛太郎

ううん！嫌じゃないよ！

揚羽凛太郎

俺も・・その・・

揚羽凛太郎

奏星とキスしたい

日向奏星

凛くん・・来て

奏星はゆっくりと目を閉じる

揚羽凛太郎

奏星・・・

凛太郎は奏星を自らの体に抱き寄せ唇を重ね合わせる

日向奏星

んっ///

これからの愛を誓うように

激しく舌を絡ませる

日向奏星

凛くん！！

奏星も自らの腕を凛太郎の首元に回す

凛太郎と奏星は互いに胸の鼓動を感じながら愛を確かめ合う

すると奏星は凛太郎をソファに押し倒す

揚羽凛太郎

ちょ！奏星！

日向奏星

今日・・・

日向奏星

いっぱいキスしたい

揚羽凛太郎

奏星・・・

日向奏星

和久井くんも美咲も
寝てるんだし・・・

日向奏星

いいでしょ？

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

うん・・・

揚羽凛太郎

いっぱいキスしよう

日向奏星

凛くん・・・

日向奏星

大好き

揚羽凛太郎

俺も・・大好きだよ

翌日

姫川美咲

う、うー・・・ん

姫川美咲

もう、朝かぁ・・・

美咲は瞼を指で擦りながらスマホで現在の時刻を確認する

姫川美咲

8時かぁ・・・

姫川美咲

顔でも洗ってこよ

姫川美咲

あれ？

姫川美咲

てか奏星は？

美咲は昨夜同じベッドで寝ていたはずの奏星がいない事に首をかしげる

姫川美咲

もう起きてるのかな？

姫川美咲

あっ！龍也！

和久井龍也

おぅ！美咲！おはよ！

姫川美咲

おはよ！

和久井龍也

・・・・・

姫川美咲

どうしたの？
私の顔じっと見たりして

和久井龍也

いや、なんか、その

和久井龍也

すっぴん初めて
見たと思ってさ

姫川美咲

可愛いでしょ？

和久井龍也

その・・・

和久井龍也

どちら様──

姫川美咲

あ゛！？

美咲は龍也の腹を殴る

和久井龍也

うぐっ・・・

和久井龍也

冗談だよ・・冗談

和久井龍也

すっぴんも・・その
可愛いって・・

姫川美咲

もう！何言ってんのよ

和久井龍也

つーかリン知らね？

姫川美咲

あれ？揚羽くんも
居ないの？

和久井龍也

も？もって何だよ

姫川美咲

奏星も居ないのよ

和久井龍也

はぁ？

姫川美咲

二人でどっか
行ったのかな？

和久井龍也

さぁ・・・

龍也はリビングに足を踏み入れる

和久井龍也

ふっ・・・

和久井龍也

こいつら、昨日二人で
何やってたんだ？

姫川美咲

どうかしたの？

和久井龍也

ホレ！ホレ！

龍也はソファを指差す

姫川美咲

どうかしたの？

美咲は龍也に促されソファを見る

姫川美咲

わぁ！！！

和久井龍也

そっとしといてやろうぜ

姫川美咲

そうだね

そう言うと龍也と美咲はリビングを後にする

リビングのソファでは

凛太郎と奏星が互いに体を預け合いながら寄り添って眠っていた

そんな二人をカーテンの隙間から差し込む朝日が優しく照らしていた

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ

第16話 - 二人だけの時間

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