それはまだ幼きころだった

お父様は私のことも褒めてくれることは知っていた

だけどそれは私には膨大な衝撃だった

それは今でも私のコンプレックスで

唯一の双子の弟を、憎むきっかけになった

それからどれだけ努力しようとも

生まれ持った魔力やその使い方で勝てることはなかった

私は弟の私にそっくりな見た目が嫌になった

代々受け継がれる黒く艶やかな髪も、紅く燃える様な瞳も

全てが、コンプレックスだった

ボケッとしていながらも生まれながらの天才的な能力に魔力を持っている弟と

どれだけ頑張ってもそれを超えられない姉

正反対なのに、家族で、双子で、そっくりで━━━━

どうして構うのだろう？

私はもう放っておいて欲しい

だけど、1つに纏められ、ポニーテールになって揺れている弟の髪を見て

私は不覚にも美しいと思ってしまった

私はそれから毎日森へ通い、剣術に励んだ

既に魔力以外にも多くを必要とする二刀流を極めていた私は

…浮かれていたんだと思う

ズッ

この森にこんな穴はなかったはずだ

だけど確かに私は"落ちた"

どうして初めにあんなにも憎んだ相手が思い浮かぶのか

自分でも分からなかったけど、私はその内意識を失った

もういい

全て諦めてしまおう

ああもう

どうでもいい

早く死んでしまえばいい━━━━━

いつまで落ち続けるんだろうか

気づいた私はふわっと魔力で体を支え、停止する

足りない魔力のせいで少しずつ落下していきながらも

私は意識を取り戻した

私が落ちていく先を見たとき

そこには━━━━

国が、あった

落下した先には建物があった

そこに入ってみると、やはり人気がある

冷静に考えれば我が一族は魔力を持ってるんだもん

剣なんて認めてくれないんだろう

反射的に剣を持って振り返る

パッと自分の格好を見る

すると谷に落ちる前のローブ姿ではなく

何故か、本当に冒険者の様な格好をしていた

国民は皆希望に満ちた顔で私を見る

やはり、敵なのか？

分からなくとも剣を向ける

バキッ

そう言うと王は剣を折った

その瞬間、王は私は突き落とした