恋を、感情を、教えてください～第1幕～

悠穂がそんなことを泣きながら考えていると、視界が悪くなったせいか、人にぶつかってしまった。

悠穂がどうやって謝罪を伝えようか考えていると…

そこには不登校になっていたはずの菜乃羽がいた。

悠穂はポケットに入れていたメモ帳で菜乃羽に話し掛けた。

菜乃羽は、深刻そうな目で悠穂を見つめて(手話で)言った。

悠穂は、その威圧に負けて承諾した。

菜乃羽は、悠穂の顔に残っていた涙の跡を見て何かを感じたのか、悠穂を部屋に入れた。

悠穂は、これまでの経緯を全て話した。

自分が実は耳が聞こえていること。過去について。そしてすうあを好きになったこと。目の前で告白現場を見てしまい失恋したこと──

菜乃羽は、その名前を聞いた途端、一瞬驚いたような顔をし、その後しばらく考え込んでいた。

菜乃羽は悠穂目を見つめた。

悠穂はどうしたの？とでも言うように真剣な眼差しで見つめ返した。

菜乃羽の目を真剣に見つめながら悠穂は頷いた。

その頃、すうあと春樹は…

サラッと褒め言葉を言う春樹にすうあはしどろもどろしながら答えた。

ｶｼｬ

春樹にリードされていたすうあだが、今まで体験したことのなかった状況に少しワクワクしていた。

その頃、かいあ達のスマホに1着の通知が届いた。

3人が画像を確認すると…

そのアイコンは春樹とすうあがツーショットで撮った写真だった。

同時刻、悠穂達の部屋にて

ﾋﾟﾛﾝ

悠穂はアイコンを見た瞬間、ショックを受けてしまった。

2人は、笑顔でツーショットを撮ったから──

蒼が悠穂のスマホ画面を覗くと、悠穂は蒼にスマホを預け、そのままベッドへ直行してしまった。

その日の深夜、悠穂達と同じ部屋で寝ていた春樹は体を起こすと悠穂の布団をめくった。

悠穂の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。

その様子を見た春樹はニヤリと笑い、その顔を写真に収めた。

ｶｼｬ