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〜地下の拷問部屋〜
怒り狂った熱闘により凜々愛が幹部に勝利したその頃、康一と瑠花は”まだ”棚の下に入った鍵を取るのに苦戦していた。
核山 康一
早乙女 瑠花
核山 康一
早乙女 瑠花
核山 康一
沈黙をはさんで、瑠花が言った。
早乙女 瑠花
瑠花は床に刺さったままの、2話前に自分の首を切り落とそうとした大きな斧を見て言った。
核山 康一
どう足掻いても絶対に取れない鍵にこだわらなくても、ここは拷問部屋だから切断できる道具なんざいくらでもあるのに……と、思っているコレ読んでる人もいるでしょう。生憎なことに…
ここには馬鹿2人しかいなかった。
核山 康一
早乙女 瑠花
核山 康一
ガシャン!
康一は斧を振りかざし、瑠花の拘束具の鎖を切った。
早乙女 瑠花
核山 康一
核山 康一
核山 康一
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は礼を言って拷問部屋を出た。
…と思ったら忘れ物をしたのか、 何故か戻ってきた。
早乙女 瑠花
核山 康一
ガシャン!
琉芭 大輝
信者…
ちょうど瑠花が康一によって救出された時と同じ時間帯の屋敷の近くにあるビルの屋上。電気ショックを受けた大輝の目の前にはフードを目深く被って顔が見えない、信者”らしき”男がいた。
信者…
男はフェンスに押し付けた大輝の髪を掴んで顔を上げさせて言った。大輝の髪は既にボサボサで、束ねていた長髪もオールバックの前髪も崩れかけていた。
琉芭 大輝
琉芭 大輝
信者…
⚡️⚡️⚡️ バチバチバチ!! ⚡️⚡️⚡️
琉芭 大輝
すると男は大輝の腹に電気ショック棒を当てて感電させた。最初に襲撃された時と同じ出力で、気絶しない程度でただ長い間痺れで苦しめる電流だった。
⚡️⚡️⚡️ バチバチバチ!! ⚡️⚡️⚡️
琉芭 大輝
信者…
⚡️⚡️⚡️ バチバチバチ!! ⚡️⚡️⚡️
琉芭 大輝
男は大輝の腹に電気ショック棒を当てながら言った。大輝はただもがくように悲鳴をあげるだけ。
琉芭 大輝
琉芭 大輝
しばらくして、音は電気ショック棒の電源を切った。長い痺れに耐えた大輝はバタンと倒れ、息を荒くした。
信者…
信者…
信者…
男は大輝の頭を踏んで見下して言った。
琉芭 大輝
大輝は地面に這いつくばる状態。そして彼の青い目が男をキッと睨みつけた。
信者…
信者…
ドガッ!
男は踏みつけた大輝の頭を蹴った。
琉芭 大輝
ドガッ!ドガッ!
ドガッ!ドガッ!
そして男はそのまま何度も足蹴にし、何発か殴った。大輝は全身痺れてまともに動けない上、話すことも困難だった。
琉芭 大輝
信者…
信者…
男はしゃがんで、大輝の顔面を覆うようにして彼の目を指で見開かせた。
琉芭 大輝
信者…
信者…
グサッ
信者…
その時、大輝は今ある力を振り絞って、袖の中に忍ばせていた小型のナイフで男の腕を刺した。
信者…
男は刺さった腕を押さえて唸った。
琉芭 大輝
ジャキッ
信者…
大輝は何とか起き上がり、ジャケットの中に装着しているショルダーホルスターから拳銃を取り出し、男に向けた。
信者…
琉芭 大輝
琉芭 大輝
大輝は痺れで立ち上がることはできないが、辛うじて膝をついて銃を向けながら言った。
信者…
信者…
信者…
信者…
ゾワッ
琉芭 大輝
信者…
大輝は男の笑みから浮かべる余裕と、その中から感じる、他の人間とは違う独特の威圧感に背筋が凍った。
琉芭 大輝
琉芭 大輝
いや…待てよ?何かがおかしい。本拠地が襲われているのに、なぜそっちを優先しない?
…ていうか、なぜ俺を殺さない?さっさと殺せばいいものなに、なぜわざわざ感電だの殴ったり蹴ったりして痛めつけるだけなんだ?
やはり情報を吐かせるためか? いや、それよりなぜ俺の場所がバレた?
まさか…ハッキングか!?
ていうか、まず コイツ何者なんだ!?
大輝はこの5秒の間という僅かな時間でこれらの違和感を覚えた。
琉芭 大輝
琉芭 大輝
バタンッ
先程食らいまくった電気ショック棒によるれでろくに動けない身体に限界があったのか、大輝は銃をじっと構えることができず、再びその場で倒れてしまった。 再び起き上がろうとするが、力が上手く入らない。
信者…
ダァン!
すると男は嘲笑い、ナイフが刺さった腕で大輝の頭を鷲掴みにして地面に思いっきり叩きつけた。
琉芭 大輝
痛みと共に心臓が鼓動する度に血がドクドクと流れる出る感覚がした。衝撃で声を上げることもできない。
信者…
信者…
信者…
信者…
「お前は所詮”負け犬”なんだよ!!」
信者…
信者…
信者…
意識が朦朧とする… 目の前がだんだん暗くなっていく。
”負け犬”という言葉からの後は男の声が聞こえない。何を言っているかは分からないが罵詈雑言を叩きつけているのは何となく分かる。
痛いのは身体だけのはずなのに、 なぜか心臓の方がもっと痛い… …というか苦しい。
あぁ、そうか。
未だにこびりついていたのか。
〜11年前〜
チンピラ達
大輝・少年時代
チンピラ達
ドカッ ドカッ ドカッ ドカッ
大輝・少年時代
ドカッ ドカッ ドカッ ドカッ
この暗黒街の路地裏で、 齢15の俺はスリに失敗した。
チンピラ達
抵抗する俺を容赦なく殴り足蹴にするチンピラ達は気が済んだのか、それだけを言い残して立ち去った。
大輝・少年時代
大輝・少年時代
〜過ぎ行く日の隣町〜
俺は親の顔を知らない、苗字すらない孤児だった。広い敷地内から1歩も外へ出ることを許されない、男子だけの孤児院で義務教育を受け、不自由なく育った。
孤児達
大輝・少年時代
孤児達
大輝・少年時代
孤児達
孤児院での暮らしは楽しかった。院長先生も母親のように優しかったし、他の孤児達はみんな兄弟、家族だった。
俺もあの頃は無邪気で活発で、 年下の面倒を見ることも慣れていて、
桃音たちと違って、裏の世界も、後に自分の手を汚すことすら、まだ何も知らない表社会出身のガキだった。
けど俺が15になった頃、昔からよく一緒に遊んでた年下の孤児たちも、兄貴のような年上の孤児たちも、どんどん里親に引き取られていって、気づけば俺が最年長になっていた。
1人…また1人といなくなっていく。 里親に引き取られることは皆が待ち望んでいた嬉しいことだとは分かっている。けど何故か赤ん坊の頃からずっとここにいる自分だけが迎えに来なかったのが納得いかなかった。
きっと実の親が迎えに来てくれる。 15年間そう信じ続けた。 けど来ない。
ならいっそのこと、ここを出て親を探しに行くか。
どれだけ待っても向こうから来ないということに確信がついた俺はその夜、窓からこっそり抜け出した。
親に会いたいという一心で孤児院を脱走した俺はよくよく考えたら15年間一度も孤児院の敷地から出たことがなかった。そして、後の人生を考えると運が良かったのか悪かったのか…気付いたらここ、暗黒街に迷い込んでいた。
金すら持ったこともなかった俺はもちろん所持金はゼロ。それでどこで道を踏み間違えたのか、気づけば途方に暮れるチンピラへと化していた。
何も無い俺が生きるにはこの方法しかなかった。くじ引きのように”成功”という当たりを引けばメシが食える。”失敗”というハズレを引くと今のように殴られ蹴られる。
大輝・少年時代
大輝・少年時代
かと言って今更孤児院に戻っても、俺は既にチンピラ。悪行が嫌いな院長先生に合わす顔がない。
辛い。もう嫌だ。死にたい。 生きている気がしない。 あそこが羨ましい。
こればかり考えてた、あの時までは…
🌧ザアアアアア🌧
雨の日だった。俺はまたスリに失敗してチンピラ達にリンチされた後、雨に打たれながら座り込んでいた。
誰も俺を人間として見てくれず、負け犬呼ばわりされてきた。こんな日々にうんざりした。死ぬことを考えてた時…
「どうしたの?」
大輝・少年時代
顔を上げたら”金のダイヤが付いたチョーカー”が目に止まった。目の前にいたのは薄茶色の髪のセーラー服姿の…
桃音・少女時代
当時14の桃音だった。
大輝・少年時代
大輝・少年時代
桃音・少女時代
桃音・少女時代
大輝・少年時代
桃音・少女時代
大輝・少年時代
桃音・少女時代
大輝・少年時代
大輝・少年時代
桃音・少女時代
桃音・少女時代
桃音・少女時代
女子中学生「██〜何してんの〜?」
桃音・少女時代
桃音・少女時代
大輝・少年時代
待ってと言おうとしたが、下校中だったのか、桃音は背を向け友達の元へ駆けて行ってしまった。「またね」と聞いて、また会う前提なのかと思った。
いや、それより……
大輝・少年時代
初めて見た女の子に火照ったこと、心臓がドキドキと鼓動してることに自覚した。孤児院にいた時は院長先生が女性だったが、それ以外で女性と話したことは一度もなかった。増しては同世代…
大輝・少年時代
めちゃくちゃ可愛かった。美少女だった。さっきの言葉通り、もう一度会いたいと思った。ただ可愛いからだけじゃない。こんな俺を人間として見てくれた。
あの時の桃音は天から舞い降りてきた女神のように見えた。いや、そのものだった。俺の救いの手だった。
でもそれも一瞬だった。
桃音と出会って救われた気になってたとしても、この日々が変わることは一切なかった。今思えば俺はただ自惚れていただけかもしれない。「またね」と聞いてまた会えると思い込んでいたが、実際それ以来彼女とは、後に再会する時までは一度も会えなかった。
俺ももう限界が来た。暗くなった時間帯、人気の無い場所にあった歩道橋の上。ここで俺は自殺しようとした。
全てに絶望した俺は柵に足を掛けて這い上がろうとした……その時だった。
「何やってんだお前!!」
大輝・少年時代
その言葉と同時に、俺は剥がすように柵から引きずり降ろされた。
情報屋
情報屋
それが俺が”IBUKI”に入るちょっと前までいた、情報屋やハッカーの集まりの1人との出会いだった。
あの情報屋が心優しかったからか俺は仲間に入れてもらい、そこでハッキングを覚え、情報屋兼ハッカーになった。
情報屋
情報屋
大輝・少年時代
大輝・少年時代
情報屋
大輝・少年時代
情報屋
情報屋
最初は何言ってるかは分からなかったが、その言葉で俺はハッとした。路地裏でボロボロになって人生終わるかと思っていた俺が、ここで新しい人生が始まる。俺は生きてていいんだと実感した。
情報屋
大輝・少年時代
脳内が桃音だらけになった。 てか俺この時点でヤバいな……
情報屋
大輝・少年時代
情報屋
情報屋
「好きな女が居たらそいつの全てを愛するのが男だ」
情報屋
この時は桃音がまさかのくっそ強い殺し屋一族の娘(なんならお嬢様)で、あの頃も現役だったのはまだ知らなかった。
大輝・少年時代
情報屋
「死ぬ気で護れ」
琉芭 大輝
その瞬間、急速に意識がはっきりした。 視界が戻り、周りの音が聞こえてきた。
そして、意識が飛んでる間と今現在、自分が男に首を掴んで絞められていることにも気付いた。フェンスに押し付けられ、地面に足が着いていなかった。
⚡️⚡️⚡️ バチィ! ⚡️⚡️⚡️
信者…
大輝は咄嗟にズボンの裾からスタンガンを取り出し、男腹部に当てた。
ドサッ
琉芭 大輝
首を絞めた手が離れると、大輝は地面に足が付き、座り込む状態になって咳払いをした。結構苦しかった。
信者…
琉芭 大輝
男は立ち上がって大輝を睨みつけた。大輝は今ので電池切れにスタンガンを地面に置きフェンスを掴んで立ち上がった。
信者…
琉芭 大輝
大輝は崩れた前髪をかきあげて言った。 頭や身体はまだ痛いが痺れが治まったのか、先程よりは動ける。
琉芭 大輝
信者…
琉芭 大輝
琉芭 大輝
琉芭 大輝
スッ…
信者…
「それでも俺は護らなきゃならねぇのがあんだよ!!」
そう言いながら大輝はジャケットの襟足に手を伸ばし、背中から鉄パイプを取り出した。
信者…
琉芭 大輝
信者…
信者…
信者…
走馬灯を見るさっきまで完全に諦めていた。この任務で俺が死ぬって。
あの頃の負け犬呼ばわりで生きた屍そのものだったように結局死ぬのもあの頃のように痛めつけられて終わるのかって
けど全部思い出した。
俺がなんでこのハッカー名にしたのか、 なんでこの苗字にしたのか、
”アウイナイト”は昔孤児院にいた年下が宝石図鑑見せて来た時に、俺の瞳に似ているって言ってた。だから俺は情報屋になった時、そのまま名ハッカー名とにしたんだ。
意味は「高貴」と「情熱」 そして「過去との決別」
それと俺、ちゃんと自分の意志を込めてつけたぜ。俺が生涯を誓って愛する女が今近くにいる。
琉芭の「琉」は俺の目の「青」から。 「芭」は水芭蕉から。
花言葉は「変わらぬ美しさ」
再会出来たら死ぬ気で護れ って言ってたよな。
だったら俺は死ぬ気で桃音を護る。
その為に俺は今回参加したんだ。この教団の教祖及び あるマフィアの幹部は、 彼女と関係があるはず。