そこは、二車線の道路だった。
電信柱を見ると、衝突の跡が残っていた。
僕は事故現場に来ていた。
美月に場所を聞き出したのだ。
僕はこの場所で、記憶を失った。
そして、車の助手席には、彩乃も乗っていた。
美月の話によれば、僕は美月と交際中に、彩乃へ片思いをしていたようだ。
浮気をしようと、彩乃を連れ出したらしい。
その途中で、事故を起こした。
僕は記憶を失うだけで済んだが、彩乃は死んだ。
美月は「恋人は私だけだ」と言って譲らなかった。
でも写真の中の僕と彩乃は、不純な関係には見えなかった。
美月は、僕との同棲を続けるために、嘘をついたのだろうか。
だが、そんなことはどうでもよかった。
彩乃はもう、この世にいないのだ。
写真の彼女を想ったところで、どうしようもない。
帰ろうとした、その時だった。
?
振り返ると、ショートカットの女性が立っていた。
そこにいたのは、夢にまで見た写真の女―。
「戸田彩乃」だった。
再会した僕達は、カフェに入った。
目の前に、追い求めた女がいる。
彼女は写真と同じビジュアルで、座っていた。
ただ一つ違ったのは、彼女が微笑んでいないことだった。
渡部瑛太
僕は、嬉しさを隠せなかった。
渡部瑛太
彩乃は何も言わず、コーヒーを飲んでいた。
渡部瑛太
渡部瑛太
戸田彩乃
渡部瑛太
戸田彩乃
僕は戸惑った。
渡部瑛太
渡部瑛太
戸田彩乃
渡部瑛太
渡部瑛太
戸田彩乃
彼女は呆れた様子だった。
戸田彩乃
僕は耳を疑った。
渡部瑛太
渡部瑛太
戸田彩乃
渡部瑛太
戸田彩乃
渡部瑛太
戸田彩乃
色々な場所でツーショットを撮ったことを、彼女は忘れてしまったのだろうか。
渡部瑛太
戸田彩乃
戸田彩乃
僕は混乱していた。
彩乃と会話が全くかみ合わない。
彼女の冷淡な態度にも、ショックを受けた。
渡部瑛太
僕は思わず呟いた。
戸田彩乃
渡部瑛太
戸田彩乃
そう言い捨てて、彩乃は出て行った。
僕は頭を抱えた。
彩乃は僕と「交際していない」と言った。
それが本当なら、美月が正しいことになる。
でも美月は「彩乃は死んだ」と嘘をついた。
それに、写真は確実に存在している。
そこに写っているのは、どう見ても僕と彩乃だった。
落胆した僕は、長い間そこにいた。
結局、彼女の笑顔を見ることはできなかった。
コメント
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噛み合わない状況に真実と偽りの混乱…読めば読むほど面白い展開ですね…!