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短編

第23話 - 【百鬼夜行の華特別短編】岩永と夜桜

200

2023年06月08日

#短編

#一次創作

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むかしむかしある所に

自然の神の使いと呼ばれていた巫女様がいらっしゃいました

巫女様は自分の大陸である｢八大陸｣で悪さをしている人が許せなかったので

ある日信頼出来る仲間全員でその人を討伐しに行きました

ですが、結果は惨敗でした

巫女様方はやがて神話として語り継がれることになりました

その巫女様神話が世に浸透してきたある日

八大陸に最も近い大陸に、王様が誕生しました

そんな王様の大事な姫は、この世の中にうんざりしていました

召使いもたった1人を除き全員解雇させました

ある日、召使いは姫と共に海へと出かけました

姫は生きることすら意味を感じず

いい息抜きになればいいなと思い召使いは連れてきました

ですが、結果とは残酷です

召使いが目を離した隙に姫は海に飛び込みました

慌てて召使いも海へ飛び込み、姫を助け出そうとしますが

手が届かず、召使いも意識を失ってしまいました

召使いは起きたら、知らないところに居ました

何があったのか訳が分からずに居ると、部屋を誰かがノックします

その瞬間、召使いは耳を疑いました

なんと、自分は王族だと言われてしまいます

召使いは考えました

そして、あることを思い出します

姫は、神話に語り継がれる｢白刀･白雪｣という刀を持っていたことを

｢白刀･白雪｣とは神話の中で巫女様が使ったとされている刀であり国の宝でした

(結局の所、巫女は刀など使っていないのでこれはデマなのですが)

召使いはそれを手に入れれば、姫ともう一度再会できると考えました

やることが決まればあとはそれを実行するだけです

王族の権力という権力を使い刀を探しました

ですが、見つからないまま何十年という年月が流れました

刀が見つからないことも深刻な悩みでしたが、召使いにはまだ悩みがありました

それは、後継者問題でした

召使いには息子がひとり居たのですが王族の証である｢黒刀･蓬莱｣を使いこなせておらず後継者リストから除外されていました

そんなある日、気分転換に森へ息子と出かけたところにある2人の姉弟を見つけます

姉弟が見つめる先には｢白刀･白雪｣の調査を拒んだから燃やした国、｢妖魔の国｣がありました

確か召使いの記憶によれば姉の方は｢夜桜家｣と呼ばれる妖魔の国の王族だったはずです

ふと、視線を弟の方に移すと召使いはとても驚きました

自分の中の血が、｢黒刀･蓬莱｣をあの子に渡せと言ってくるのです

あの子こそ、我が人間の国の、｢岩永家｣の頂点に立つべき人間だと確信しました

丁度ここには、あの弟と同じくらいの歳の子が居ます

姉が燃える国の中に戻っていくのを見届けて召使いは自分の息子とその弟を交換して帰りました

あんな餓鬼1匹くらい簡単に騙せるだろうと思い息子も気絶させ暴れないようにしてから帰りました

帰ってからは後継者教育に全ての時間を費やしました

しばらくしてもう1人息子を拾って育てたりもしました

そんなある日、部下からこんな情報が入ってきます

｢妖魔の国の生き残り、夜桜家の長女こそが例の刀の持ち主｣だと

召使いはとても喜びました

ですが、自分はもう長くありません

死期を悟った召使いは次期当主を呼びこう言います

｢夜桜家の白刀･白雪をなんとしても奪い返せ｣

それが使命だったのか、伝えてすぐ召使いは死にました

この様な歴史の中、岩永家と夜桜家の当主達は成長しました

そう、この歴史こそが

｢岩永家｣現当主である岩永未門と

｢夜桜家｣現当主である夜桜桃香の

記憶を巡り、使命を果たす物語へと変わったのでした

｢人間の国｣、王族に伝わる秩序

1.岩永家当主に選ばれる人間は妖魔を滅する力を持っていること

2.妖魔を滅する力を持っていたとしても｢黒刀･蓬莱｣に選ばれなかったら当主にはなれない

3.妖魔と人間の国境の境目を、数ヶ月に1度見に行くこと

4.岩永家当主にはごく稀に以下のような特性が発現することがある･黒刀･蓬莱の力を全て使っても大丈夫なほど屈強な体を持つこと･術の類いに恐ろしく強くあること･妖魔の国、｢夜桜家｣を封印出来る力を持つこと

｢妖魔の国｣、王族に伝わる秩序

1.妖魔の国において1番強いのは時期によりバラバラであるが、天皇は揺るがない

2.力が強い者が、確定で天皇になるということはありえない

3.力が強い者の選び方は王族に伝わる｢白刀･白雪｣に選ばれるかどうかである

4.王族と天皇は別物である。天皇の方が位は高く、王族の方が刀に選ばれる確率は高い

5.天皇、王族関係なく｢九尾の狐｣は並外れた力を持っている

6.人間の国に行く時は細心の注意を払うこと

7.天皇に許しを得れば人間を連れてきても良い。だが、永住する場合は王族と天皇、両方に許可を、得なければならない

8.白刀･白雪に選ばれた九尾の狐が現れた場合、天皇に報告すること

9.もし白い九尾の狐が白刀･白雪に選ばれた場合その者はなにか特別な運命を背負っている場合が多い

10.例え絶滅したとしても、｢白刀･白雪｣を守り抜くこと