末羽
海斗
妹が猫を拾ってきた、どうやら足に怪我をしていて上手く歩けないらしい。
海斗
末羽
海斗
末羽
猫は澄んだ瞳で俺を見上げ、懇願するかのように「ニャア」と一声鳴いた。
猫にそんな態度とられたら、もう断る事はできなくなっていた。
海斗
末羽
こうして我が家にしばらくの間、小さなメンバーが加わることになった。
末羽
海斗
猫は家に来てから、ずっと元気が無いように見えた。
実際に食事もあまり取ってはいない。
海斗
猫はきょとんとして俺を見つめた。
海斗
末羽
そう言って、末羽は外に出掛けていった。
俺は、しばらくテレビをつけて暇を潰すことにした。
ちょうどお笑い番組がやっていた。
海斗
すぐに、コンビ芸人の軽快なやり取りがはじまる。
突然、テレビの電源が切れた。
海斗
海斗
こたつの電気はきちんとついたままだ。
海斗
とにかく、テレビの電源をつけなおす。
問題なく番組がまた流れ始めたので、安心する。
海斗
ふと回りに目をやると、猫がいなくなっていた。
海斗
どこを探しても猫の姿はどこにもみあたらなかった。
末羽
海斗
末羽
美羽の足元には、いつのまにやら猫がいた。
末羽
末羽
猫は嬉しそうに一鳴きした。
その日、俺は少し寝坊助した。
仕事の日だったんだが、昨日はよく眠れず、知らない間に目覚ましも止めていたようで、時間がギリギリだった。
海斗
慌てて支度に取りかかる俺。
猫がその様子を黙って見つめている。
いや、起き出してからずっと猫の視線に追われているのだ。
その事に気づくと、俺もついつい猫の視線を気にかけてしまう。
見つめ返しても、目を反らすこともなく俺を眺め続ける猫。
なんだか不気味な物を感じた俺は、無理やり猫の視線を意識の外に追いやろうと試みた。
外に出ると雨だった、 空気も冷たい。 みぞれの少し混じっている雨に打たれながら車に向かう。
俺はエンジンをつけ、車を走らせた。
赤信号の交差点に差し掛かった。
すると、助手席に何か動く物があることに気がつく。
海斗
ーーそこには猫がいた。
少し驚いた。 いつの間に入ってきたというのだろう?
おかしい。 猫が後ろから付いてきたのなら、自分でドアを開けられないのだから、一緒に車に乗り込むしか無いはずなのだ。
だとしたら、いくらなんでも気づくはずだろう。
ーーこちらを向き、猫が笑った。
海斗
俺は恐怖で固まってしまった。
そして、横からきたトラックと衝突した。
俺は、首の骨を折って即死した。
猫は今でも俺の隣にいる。
その近くには、生気の無い目をした人達が何人もいる。
彼らも死んでいるのであろう。
猫はそれを眺めながら満足気に、笑みを浮かべているのだ
お終い。
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