1ヶ月前から住んでるアパートは
正直言って古くてボロい
それに1階 2階合わせて
全部で6部屋しかない
102号と103号室が空室で
俺は103号室に入居した
入居数日後
俺と同い年ぐらいだろうか
隣に若い女性が入居してきた
ふんわりとした笑顔が特徴だ
何回か顔を合わす程度で
特に親しみはなかったのだが
数日前から夜になると
トン…トン…
と壁を叩く音が
聞こえるようになった
無理もない
こんなアパートだ
恐怖を和らげるために
毎晩トントンと叩いて
俺がいるか確認しているんだと
俺はそう思っていた
翌日、大学から帰宅すると
女性もどこからか帰ってきた
102号の女性
俺
102号の女性
俺
102号の女性
102号の女性
102号の女性
俺
102号の女性
俺
何か言いたげな様子だった
その夜
当然ながら壁を叩く音が聞こえる
トントントン…
トントントン…
俺
それだけじゃない
俺
俺に訴えかけているかのような
そんな気がした
その日から俺は
どことなく違和感を感じ始めた
次の日の夜
トントン…
トントン…
俺
今まで俺は
返事をしなかったのだ
壁を叩き返さず
テレビの音量を少し上げたり
咳払いをするなどして
俺がいるアピールをしていた
叩き返した方がいいのか
俺はそう思い
手を壁に近づけようとした…
ドンッドンッ!!!!
俺
今までにない強い音だ
俺は咄嗟に壁から離れた
俺
俺
ドンッ…!!!
ドンッ…!!!
俺
ドンッ…!!!
俺
ドンッ…!!
トンッ…!
トントン…
トントントン…
俺
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
俺
俺
叫んだ後 叩く音が消えた
俺
俺
あの女性がここまでするとは
当然思えなかったが
俺の足は玄関へ向かっていた
怖い気持ちもあったが
声に出して言えない何かが
彼女にはあるのではないか
そんなバカなことを考えながら
ノブに手をかけドアを開けた
俺
102号の女性
女性も部屋から出てきていた
すごく怯えた表情だった…
102号の女性
102号の女性
102号の女性
俺
俺
俺
102号の女性
俺
俺
102号の女性
102号の女性
102号の女性
俺
俺
俺
俺は彼女に荷物をまとめるように言い
翌日早朝に2人でアパートを出た
アパートを出たあと
あの音のことについて
改めて彼女から話を聞いた
俺に聞こえていた音が
彼女も同じように聞いていたこと
お互い隣人が叩いていると
勘違いをしていたこと
何か言いたげな顔をしていたあの日
なんで壁を叩くのか
俺に聞こうとしていたこと
そして昨夜だ
ドンドンと激しくなる音
彼女は怖くて耳を塞いでいた
音が消えたあと
耐えきれなくなり
俺の部屋に行こうとしていたこと
この出来事から数ヶ月後
あのアパートは取り壊された
俺たちがいた部屋の間の
壁から出てきたもの…
腐敗しているが
確かに人間だったという
ここから出してくれ と
助けを求めていたのだろうか……
コメント
1件
ヒッ怖わい。゚(゚´ω`゚)゚。