海水浴場
碧江涼太
遅くねーか?
柳ひとみ
碧江涼太
よろしくヤってんのかな?
柳ひとみ
無いと思うよ
柳ひとみ
大切に思ってるみたいだし
柳ひとみ
しないんじゃない?
碧江涼太
柳ひとみ
ひとりだったら
そりゃ心配するけど
柳ひとみ
柳ひとみ
碧江涼太
眞琴杏樹
杏樹は手首を縄で縛られ ナイフを突きつけられて
舗装が行き届いていない 裏路地のぬかるみの上を歩く
眞琴杏樹
眞琴杏樹
言われたけど)
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男A
行くつもりだよ
男B
男B
抱えてんだからよ
男B
洒落になんねーぞ?
男C
偶然に廃墟見つけたんだ
男A
男C
男は古びた一軒家を指差した
男C
ここに連れ込む
眞琴杏樹
男A
男A
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
助けに来てくれる)
眞琴杏樹
置いとこうかな)
杏樹は廃墟に入る寸前に バレないように
自分のビーチサンダルを脱ぎ捨てる
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男B
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
鮎原透
聞いた話が本当で
鮎原透
杏樹ちゃんを抱き抱え
てるんだとしたら
鮎原透
行ってねーはずだ
鮎原透
鮎原透
したら厄介だからな
鮎原透
車に乗ってたら?
鮎原透
鮎原透
鮎原透
結論を急ぐな!
鮎原透
鮎原透
男たちは杏樹を 犯す準備を整える
男C
男B
男A
万端たぜ!
男A
男C
眞琴杏樹
眞琴杏樹
するんですか?
杏樹は怯えながら男たちに尋ねる
男C
眞琴杏樹
初対面ですよね?
眞琴杏樹
こんな事を・・
男A
わからないんだよな
眞琴杏樹
男A
とある女から
男A
依頼されただけで──
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男C
男C
女の名前は知らねーんだ
眞琴杏樹
男C
いきなり声かけられてな
男C
男C
眞琴杏樹
男は杏樹に写真を見せつける
男C
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男A
そういう理由で
恨まれたんじゃね?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
犯してくれって
言われたからって・・
男B
気味悪くて
断ったんだけどな
男B
くれるって言うからさ!
眞琴杏樹
男B
動画撮ればさらに
男B
もらえるんでな
男B
金までもらえるから
男B
引き受けたってわけよ!
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
杏樹はその場から逃げ出そうとするが 男に取り押さえられてしまう
男A
眞琴杏樹
男A
杏樹ちゃんにも
お金あげるからさ
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男B
俺は杏樹に サバイバルナイフを見せつける
眞琴杏樹
男B
したくねーんだよ
眞琴杏樹
男A
ヤってあげるからさ
男A
犯されてくれよ
眞琴杏樹
男B
男B
興奮するじゃん!
男A
男C
男C
男A
男B
男B
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
透は土肥海水浴場周辺の住宅地を 杏樹を探して走り回っていた
鮎原透
鮎原透
鮎原透
透は何度も電柱を拳で殴る
鮎原透
鮎原透
杏樹ちゃんに
ついて行くんだった
鮎原透
こんな事には・・
鮎原透
その時、透の視界が あるものを捉えた
鮎原透
透は裏路地に入り 舗装が行き届いていない ぬかるみの上を歩く
鮎原透
それは泥で汚れた ビーチサンダルだった
鮎原透
鮎原透
ビーサンに似てるな・・
鮎原透
鮎原透
だったとしても・・
鮎原透
鮎原透
鮎原透
透は地面のぬかるみを見つめる
舗装が行き届いていない 道のぬかるみには
数人の人間の足跡があった
鮎原透
鮎原透
地面がぬかるんでんのか!
鮎原透
杏樹ちゃんを攫った
連中の足跡か?
透はその足跡を自分の足跡で 上書きしてしまわないように 慎重にその行き先を追う
鮎原透
そこは古びた一軒家だった
鮎原透
鮎原透
鮎原透
居るかもしれねー
透は慎重にドアを開ける
男A
男B
男A
男B
1人になったのを
確認したのは
男B
男B
見落としてたろーが
男B
俺のおかげだろー!
男A
男A
男A
調子乗んじゃねーよ
男B
男C
いい加減にしろ
廃墟の中を歩く透
鮎原透
鮎原透
鮎原透
透は階段を登った先にある 部屋のドアを少しだけ開け 中の様子を伺う
鮎原透
部屋の中には3人の男と 杏樹の姿があった
鮎原透
鮎原透
鮎原透
どう助け出すか・・)
鮎原透
アイツらを──)
眞琴杏樹
杏樹はドアの隙間から 部屋の様子を伺う 透の存在に気づく
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
助けてって言いたい・・)
眞琴杏樹
眞琴杏樹
するとドアの方ばかり見る 杏樹に気づいた男が口を開く
男C
ドアばかり見てる?
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
男C
何かあんのか?
男はドアに向かって歩く
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男C
何だよ
男C
鮎原透
男C
男C
鮎原透
透は男を部屋の外に引き引き摺り出し 階段の下に蹴り落とす
男は階段を転げ落ちる
男C
男は階段の下で 頭を抑えながら 唸り声をあげている
鮎原透
鮎原透
鮎原透
透は部屋の中へ入る
鮎原透
男A
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
悪かったな・・・
鮎原透
大丈夫だからな
眞琴杏樹
眞琴杏樹
男B
男B
一緒にいた男だ
男A
鮎原透
どうだっていいんだよ
鮎原透
鮎原透
随分な真似してくれたな?
鮎原透
男A
男A
男A
っつーんだよ!バァーカ!
鮎原透
男B
男B
自信あっからよ
男B
鮎原透
透は男を手招きで挑発する
男B
鮎原透
鮎原透
来いっつったんだよ!
男B
調子こきやかって・・
男B
俺は透に向かって 拳を振り上げる
眞琴杏樹
鮎原透
透は男の突き出す拳を 身をひるがえして避ける
男の拳は無常にも空を切る
男B
鮎原透
透は男の膝に 重い蹴りを喰らわせる
男B
ガクッ・・
男はたまらず 足から崩れ落ちる
鮎原透
顔が来たな
男B
透は崩れ落ちる男の顎を 右拳で殴る
ボコッ!
男B
男はその場に倒れ込み 唸り声を上げながら 両手で顎を押さえる
男A
眞琴杏樹
鮎原透
痛めつけただけだ
鮎原透
鮎原透
大丈夫だろ
男B
男は顎を押さえながら 言葉にならない唸り声をあげる
男A
男A
かかってんだ!
鮎原透
鮎原透
男A
男A
男はサバイバルナイフを 透に突きつける
鮎原透
眞琴杏樹
男A
男A
鮎原透
男A
喧嘩が強いみてーだな
男A
男A
そう簡単には行かねーだろ
鮎原透
男A
男A
男A
男A
セリフだろ!
男A
死ぬのは俺じゃねー
男A
鮎原透
鮎原透
鮎原透
もってるって事で
いいんだよな?
男A
鮎原透
簡単に殺せる道具を
喧嘩で持ち出すって事は
鮎原透
鮎原透
単なる脅しの道具に
使ってるんなら
鮎原透
男A
鮎原透
殺されても
文句言えねーぞ?
鮎原透
鮎原透
無駄に使う行為だ
男A
男A
男A
確実に殺しゃ
問題ねーんだろーが
俺はナイフを構えながら 透に向かって走る
鮎原透
眞琴杏樹
男A
男A
キィィン
透はナイフを 男の手ごと蹴り上げる
男A
鮎原透
安心しろ・・・
鮎原透
鮎原透
透は男の後頭部を掴み 地面に叩きつける
男A
男はその場でうずくまる
男A
どうやら顔面を地面に 叩きつけられた衝撃で 鼻骨が砕けたようで
男は大量の鼻血を出しながら 両手で溢れ出る血を押さえる
男A
鮎原透
鮎原透
よかっただろ
男A
男A
眞琴杏樹
杏樹は涙を流しながら 透に抱きつく
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
透は杏樹を抱きしめて 頭を優しく撫でる
鮎原透
鮎原透
ついて行ってれば
鮎原透
眞琴杏樹
せいじゃないです
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
信じてました・・・
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
透はビーチサンダルを 杏樹に見せる
眞琴杏樹
鮎原透
無かったら杏樹ちゃんを
助けれなかった
眞琴杏樹
くれたんですか?
鮎原透
目印置いてくれたんだな
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
男C
男が仲間に 小声で語りかける
男C
男B
男C
たてんじゃねーぞ
男A
男たちは透に気づかれないように 部屋から逃げ出そうとする
鮎原透
男C
男C
鮎原透
聞きたいことがあるんだ
鮎原透
男C
鮎原透
男A
鮎原透
言ってやがったな?
男A
鮎原透
鮎原透
男A
鮎原透
鮎原透
ぶっ殺すぞ
男A
鮎原透
男A
男A
鮎原透
この杏樹ちゃんをか?
男A
鮎原透
間違いねーのか?
男B
男B
依頼してきたんだ
男は透に女から渡された 杏樹の写真を手渡す
鮎原透
鮎原透
間違いねーみてーだな)
男A
前金を30万受け取って
男A
尾行してたんだよ
鮎原透
男A
鮎原透
一体何処の誰なんだ?
鮎原透
鮎原透
ねーだろーな?
男C
男B
男B
鮎原透
てめーらに依頼を?
男B
結構名がそこそこ
売れてる方でな
鮎原透
男B
依頼してきたんだと思う
鮎原透
なんか聞いてる話は
ねーのか?
男B
鮎原透
犯してほしいって)
鮎原透
鮎原透
あった事が理由か?)
鮎原透
鮎原透
奏星ちゃんの両親とも
和解できてるって聞いた)
鮎原透
会った時だって)
鮎原透
素振りは全くなかった)
鮎原透
理由があんのか?)
鮎原透
鮎原透
意味が分からねー!)
男C
透が状況を整理している隙に 男たちは部屋から逃げ出す
鮎原透
鮎原透
透が男たちを 追いかけようとする
しかし杏樹が透の 背中に抱きつく
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
聞き出せる話も
ねーみてーだし・・)
鮎原透
無事だったんだ)
鮎原透
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
しばらくふたりは 部屋の中で寄り添いあっていた
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
いけないんですか?
鮎原透
眞琴杏樹
しちゃったのかな?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
杏樹はうつむき 顔を両手で覆う
鮎原透
透は力一杯 杏樹を抱きしめる
鮎原透
分からねー
鮎原透
鮎原透
俺が護ってやるから!
鮎原透
眞琴杏樹
杏樹は透に抱きつき 大粒の涙をこぼす
警察官
住民
住民
連れ込んでたんです
警察官
ありませんか?
住民
住民
空き家って言うのは
知っていたので
住民
おかしいと思って・・
警察官
警察官
警察官
お任せください
住民
警察官は古びた一軒家に入っていく
鮎原透
鮎原透
心配してるはずだ
眞琴杏樹
透と杏樹が部屋から出ようとしたとき 警察官が部屋の中に入ってきた
警察官
警察官
やっているんだ!
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
警察官
若い女性が数名の男に
警察官
通報があってな
鮎原透
してくれてたのか
眞琴杏樹
警察官
警察官
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
来てくれたんです
警察官
警察官
もらえないか?
鮎原透
透と杏樹は全てを警察に打ち明けた
杏樹が数名の男に拉致され この室内に監禁されていた事
その男たちの杏樹は 面識がなかった事
その男たちは見ず知らずの 女性からの依頼により 杏樹を犯そうとしていた事
間一髪のところで 透が部屋に入り助け出せた事
男たちはすでに逃げでしまった事
全てを話した
最後に男たちの 背格好についても付け加えた
警察官
警察官
我々が捕まえる!
眞琴杏樹
警察官
鮎原透
警察官
無茶な真似をするな
鮎原透
警察官
言われたからと言って
警察官
拉致監禁する連中なんだ
警察官
殺されていたかも
しれないんだ!
警察官
鮎原透
警察官
眞琴杏樹
透と杏樹は数10分の 職務質問の末に解放された
男達は近くの廃ビルに 逃げ込んでいた
男A
男A
強かったなんて
聞いてねーぞ!
男A
男B
聞くんじゃねーよ!
男A
どうすんだよ!
男A
拉致するにしても
男B
男B
男B
してるみてーだしよ
男C
女に電話するぞ!
男A
男A
隠してやがった事を
問い詰めねーとな
男は事前に女から手渡された 連絡用のプリカを手に取り 電話をかける
男A
男A
一体誰だ!あ?
意味がわからない
男A
何が言いたい訳?
男A
一緒にいたヤサ男だよ
男A
失敗しちまったじゃねーか
ひとりの男に
やられたって言うの?
男A
男A
本当の事でしょ?
払ってあげたのよ?
かける言葉が
見つからないわ・・
男A
考えてあげるから
男A
何処にいる訳?
男A
場所を見つけてな!
男A
身を隠してる
男A
男A
ウロウロしてやがんだ!
通報されたの?
男A
動かないで!
絶対に動かないで
男A
男A
話だったから・・
レベルって訳か・・・
結構イタいけど
女はうんざりした様子で スマホ何かを検索している
どうやら何処かの 番号を調べていたようで
検索してヒットした番号を ガラケーで入力し電話をかける
男A
男A
男B
男B
いるかもしれねーだろ
男A
待ってろってのか?あ?
男B
男C
男は黙って何かを考えている
男A
何か言ったらどうなんだよ
男C
男A
男C
動くなって言ったんだよな?
男A
男A
警察にバレたら
やべーだろ?
男C
男C
いずれ見つかっちまう
男B
男C
警察から遠ざけようと
するのが普通じゃね?
男A
男C
ご丁寧に「廃ビル」って
言ってやがった
男C
男C
男C
男A
男B
男C
男は女の子から渡された 連絡用のプリカを不審に思い
プリカを地面に叩き付ける
男A
男B
連絡つかねーだろ
男C
男は険しい顔で 携帯の部品を漁っている
男C
男C
男A
男C
男の手には 小さな部品が握られていた
男B
男C
男A
男C
男C
仕込んでやがったんだ!
男A
男B
廃ビルに居るって
知ってやがったのか!
男C
男C
警察官
警察官
そこに2人の警察官が 突入してきた
男A
男B
男C
男C
俺たちの位置を調べて
男C
しやがったんだよ!
男A
男C
絶対に動くなって言ったんだ
男B
男B
男C
男C
警察官
男C
男A
男C
俺ら終わりだぞ
男C
これ使って高跳びだ!
男B
ドラマみたいじゃん!
警察官
男C
男たちは床に落ちている 瓦礫を警官に投げつけ その場から逃げ出す
警察官
男C
捕まってたまるか!)
男C
男たちは外へ逃げ出すが
男C
警察官
外にはすでに 数名の警察官が待機していた
男A
男B
男C
男C
警察官
男たちは生命身体加害略取と 公務執行妨害の現行犯で逮捕された
してなかったけど
失敗ちゃうなんてね
終わったとしても
ダメージは与えれたはず
女はガラケーを手に取る
もう用済みね
女は何の躊躇いもなく ガラケーを逆に折り曲げ ゴミ箱へと投げ捨てる