テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

海水浴場

碧江涼太

てか透のヤツも
遅くねーか?

柳ひとみ

確かに・・・

碧江涼太

もしかして2人で
よろしくヤってんのかな?

柳ひとみ

いや、それは
無いと思うよ

柳ひとみ

透は杏樹ちゃんの事は
大切に思ってるみたいだし

柳ひとみ

軽々しくしたり
しないんじゃない?

碧江涼太

にしては遅いだろ?

柳ひとみ

まぁ、杏樹ちゃん
ひとりだったら
そりゃ心配するけど

柳ひとみ

透くんが一緒なんだし

柳ひとみ

大丈夫じゃない?

碧江涼太

それもそっか

眞琴杏樹

・・・・・

杏樹は手首を縄で縛られ ナイフを突きつけられて

舗装が行き届いていない 裏路地のぬかるみの上を歩く

眞琴杏樹

(殺されたくなかったら)

眞琴杏樹

(言う事聞けって
言われたけど)

眞琴杏樹

(どうなっちゃうの?)

眞琴杏樹

(私・・・)

男A

おい、どこまで
行くつもりだよ

男B

そうだぜ

男B

ただでさえ女
抱えてんだからよ

男B

通報されたりしたら
洒落になんねーぞ?

男C

コンビニに行った時に
偶然に廃墟見つけたんだ

男A

廃墟?

男C

これだ!

男は古びた一軒家を指差した

男C

とりあえず
ここに連れ込む

眞琴杏樹

・・・・・

男A

じゃあ杏樹ちゃん

男A

入ろっか

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

(鮎原さんならきっと
助けに来てくれる)

眞琴杏樹

(なんか目印
置いとこうかな)

杏樹は廃墟に入る寸前に バレないように

自分のビーチサンダルを脱ぎ捨てる

眞琴杏樹

(気づいてくれるかな?)

眞琴杏樹

(鮎原さん・・・)

男B

ほら!さっさと来い

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

クソっ!何処に居んだ!

鮎原透

スマホも繋がらねーしよ!

鮎原透

あの女の子達から
聞いた話が本当で

鮎原透

その男たちってのが
杏樹ちゃんを抱き抱え
てるんだとしたら

鮎原透

あまり遠くに
行ってねーはずだ

鮎原透

下手に動き回って

鮎原透

警察に通報されたり
したら厄介だからな

鮎原透

けど、その男が
車に乗ってたら?

鮎原透

もう遠くに・・・

鮎原透

・・・・・

鮎原透

いいや!まだだ!
結論を急ぐな!

鮎原透

決めつけるのは早い!

鮎原透

虱潰しに行くしかねー

男たちは杏樹を 犯す準備を整える

男C

ゴムは準備したか?

男B

ああ!バッチリだ!

男A

動画撮影の準備も
万端たぜ!

男A

いつでもイケるぜ

男C

なら始めるか

眞琴杏樹

なんで・・・

眞琴杏樹

こんな事
するんですか?

杏樹は怯えながら男たちに尋ねる

男C

あ?

眞琴杏樹

私とお兄さんたちは
初対面ですよね?

眞琴杏樹

なのになんで
こんな事を・・

男A

俺らもイマイチ
わからないんだよな

眞琴杏樹

え!?

男A

俺たちは
とある女から

男A

君を犯してくれって
依頼されただけで──

眞琴杏樹

私を?依頼?なにそれ

眞琴杏樹

一体誰がそんな事・・

男C

さぁな・・・

男C

俺らも依頼してきた
女の名前は知らねーんだ

眞琴杏樹

し、知らない?

男C

連んで呑み歩いてたら
いきなり声かけられてな

男C

君の顔写真を渡してきて

男C

君を犯してほしいってな

眞琴杏樹

なに・・それ・・

男は杏樹に写真を見せつける

男C

ホラ!君だろ?

眞琴杏樹

(本当に私だ・・・)

眞琴杏樹

(でも・・なんで私が?)

男A

どうせ男を奪ったとか
そういう理由で
恨まれたんじゃね?

眞琴杏樹

(一体誰が?)

眞琴杏樹

名前も知らない人から
犯してくれって
言われたからって・・

男B

俺らも最初は
気味悪くて
断ったんだけどな

男B

前金たんまり
くれるって言うからさ!

眞琴杏樹

・・・・・

男B

さらに君を犯して
動画撮ればさらに

男B

成功報酬
もらえるんでな

男B

俺らは女とヤれて
金までもらえるから

男B

喜んで依頼を
引き受けたってわけよ!

眞琴杏樹

(嫌・・そんな理由で・・)

眞琴杏樹

(嫌だ・・嫌だ・・)

眞琴杏樹

(こんな人たちに・・)

杏樹はその場から逃げ出そうとするが 男に取り押さえられてしまう

男A

ダメだよ杏樹ちゃん

眞琴杏樹

嫌!離して!

男A

成功報酬貰ったら
杏樹ちゃんにも
お金あげるからさ

眞琴杏樹

そんなものいらない!

眞琴杏樹

離してください!

男B

これ・・見えない?

俺は杏樹に サバイバルナイフを見せつける

眞琴杏樹

!!!!!!

男B

俺らもさ乱暴は
したくねーんだよ

眞琴杏樹

・・・・・

男A

やさーしく
ヤってあげるからさ

男A

大人しく俺らに
犯されてくれよ

眞琴杏樹

嫌だ・・ぐずっ・・

男B

おいおい泣くなよ

男B

泣かれたら余計に
興奮するじゃん!

男A

ぎゃはは!お前キモ過ぎ!

男C

さぁ!無駄話は終いだ

男C

さっさとヤるぞ

男A

オッケー!オッケー!

男B

さ!杏樹ちゃん!

男B

俺らと楽しもっか♫

眞琴杏樹

(嫌だ・・・)

眞琴杏樹

(助けて・・・)

眞琴杏樹

(鮎原さん)

透は土肥海水浴場周辺の住宅地を 杏樹を探して走り回っていた

鮎原透

はぁ・・はぁ・・

鮎原透

クソ・・・

鮎原透

クソ!クソ!クソ!

透は何度も電柱を拳で殴る

鮎原透

何処にも居ねー・・・

鮎原透

あん時無理矢理にでも
杏樹ちゃんに
ついて行くんだった

鮎原透

そうしてりゃ・・・
こんな事には・・

鮎原透

もう・・警察に・・

その時、透の視界が あるものを捉えた

鮎原透

ん?あれは・・・

透は裏路地に入り 舗装が行き届いていない ぬかるみの上を歩く

鮎原透

これは・・・

それは泥で汚れた ビーチサンダルだった

鮎原透

このビーサン・・・

鮎原透

杏樹ちゃんが履いてた
ビーサンに似てるな・・

鮎原透

いや・・気のせいか?

鮎原透

仮にこれが杏樹ちゃんの
だったとしても・・

鮎原透

でもどこか分からねー

鮎原透

どうすれば・・・

鮎原透

ん?これは・・・

透は地面のぬかるみを見つめる

舗装が行き届いていない 道のぬかるみには

数人の人間の足跡があった

鮎原透

あ!そうか!

鮎原透

昨日の雨のせいで
地面がぬかるんでんのか!

鮎原透

て事はこの足って
杏樹ちゃんを攫った
連中の足跡か?

透はその足跡を自分の足跡で 上書きしてしまわないように 慎重にその行き先を追う

鮎原透

ここか・・・

そこは古びた一軒家だった

鮎原透

廃墟か?

鮎原透

ドアも少し開いてるな・・・

鮎原透

ここに杏樹ちゃんが
居るかもしれねー

透は慎重にドアを開ける

男A

じゃあ俺から行くわ

男B

はぁ?俺からだろ?

男A

うるせーよ!黙ってろ

男B

大体この女が
1人になったのを
確認したのは

男B

この俺だぞ?

男B

俺がいなかったら
見落としてたろーが

男B

て事はこの状況は
俺のおかげだろー!

男A

たまたまだろーが!

男A

たまたま!

男A

偶然のくせに
調子乗んじゃねーよ

男B

んだと!

男C

てめーら
いい加減にしろ

廃墟の中を歩く透

鮎原透

(男の声か?)

鮎原透

(話し声が聞こえる)

鮎原透

あの部屋からか?

透は階段を登った先にある 部屋のドアを少しだけ開け 中の様子を伺う

鮎原透

(あ、杏樹ちゃんだ!)

部屋の中には3人の男と 杏樹の姿があった

鮎原透

(よかった・・・)

鮎原透

(なんとか無事みてーだな)

鮎原透

(けどここから
どう助け出すか・・)

鮎原透

(荒療治だけど
アイツらを──)

眞琴杏樹

(あ!鮎原さん・・・)

杏樹はドアの隙間から 部屋の様子を伺う 透の存在に気づく

眞琴杏樹

(よかった・・・)

眞琴杏樹

(助けに来てくれた・・)

眞琴杏樹

(今すぐに声に出して
助けてって言いたい・・)

眞琴杏樹

(けど・・・)

眞琴杏樹

(男の人3人居るし・・)

するとドアの方ばかり見る 杏樹に気づいた男が口を開く

男C

さっきから何で
ドアばかり見てる?

眞琴杏樹

え!?

鮎原透

(やばい・・・)

鮎原透

(気づかれたか?)

男C

ドアの向こうに
何かあんのか?

男はドアに向かって歩く

眞琴杏樹

あ、そっちには──

眞琴杏樹

(鮎原さんが・・・)

男C

そっちには・・
何だよ

男C

いったい何があるって

鮎原透

・・・・・

男C

!!!!!

男C

てめっ、誰──

鮎原透

しばらく寝てろ

透は男を部屋の外に引き引き摺り出し 階段の下に蹴り落とす

男は階段を転げ落ちる

男C

うぐっ・・・

男は階段の下で 頭を抑えながら 唸り声をあげている

鮎原透

(死んでねーよな)

鮎原透

(まぁ、いいい)

鮎原透

(とりあえず杏樹ちゃんだ)

透は部屋の中へ入る

鮎原透

・・・・・

男A

誰だ!てめー!

鮎原透

そりゃこっちのセリフだ!

眞琴杏樹

鮎原さんっ!!!

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

鮎原透

遅くなって
悪かったな・・・

鮎原透

けどもう
大丈夫だからな

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

男B

あっ!この男!

男B

杏樹(こいつ)と
一緒にいた男だ

男A

つけられてたのか?

鮎原透

んな事は
どうだっていいんだよ

鮎原透

てめーら・・・

鮎原透

俺の大事なツレに
随分な真似してくれたな?

鮎原透

容赦しねーぞ!

男A

ぷっ

男A

ぎゃはははは!

男A

1人で何が出来る
っつーんだよ!バァーカ!

鮎原透

・・・・・

男B

俺がやってやるよ!

男B

俺は喧嘩の腕には
自信あっからよ

男B

ひと思いに殺してやんよ

鮎原透

来いよ・・・

透は男を手招きで挑発する

男B

あぁ?

鮎原透

聞こえなかったか?

鮎原透

ゴタクはいいか
来いっつったんだよ!

男B

ちっ!女の前だからって
調子こきやかって・・

男B

死ねクソが!

俺は透に向かって 拳を振り上げる

眞琴杏樹

(鮎原さんが危ない)

鮎原透

(大振りだな・・)

透は男の突き出す拳を 身をひるがえして避ける

男の拳は無常にも空を切る

男B

なっ・・・

鮎原透

てめーが死ね

透は男の膝に 重い蹴りを喰らわせる

男B

う・・・

ガクッ・・

男はたまらず 足から崩れ落ちる

鮎原透

殴り易い位置に
顔が来たな

男B

(あ、辞め──)

透は崩れ落ちる男の顎を 右拳で殴る

ボコッ!

男B

うぐはっ・・・

男はその場に倒れ込み 唸り声を上げながら 両手で顎を押さえる

男A

はぁ?まじかよ・・

眞琴杏樹

(鮎原さん・・強い)

鮎原透

下顎の神経をちょっと
痛めつけただけだ

鮎原透

しばらくは麻痺するだろうが

鮎原透

死ぬほどじゃねーから
大丈夫だろ

男B

うぐ・・ぐが・・・

男は顎を押さえながら 言葉にならない唸り声をあげる

男A

くそが!ナメんなよ!

男A

こっちは生活が
かかってんだ!

鮎原透

は?生活?

鮎原透

てめー、何を言って──

男A

うるせー!

男A

もう退けねーんだよ

男はサバイバルナイフを 透に突きつける

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

(ナ、ナイフ・・・)

男A

殺してやるよ!

男A

死ね!死ねクソが!

鮎原透

てめー・・・

男A

確かにお前は
喧嘩が強いみてーだな

男A

けど・・・

男A

刃(コイツ)相手じゃ
そう簡単には行かねーだろ

鮎原透

死ぬ覚悟出来てんのか?

男A

死ぬ覚悟だぁ?

男A

きゃはははは!

男A

何言ってんだ?

男A

そりゃこっちの
セリフだろ!

男A

このナイフで
死ぬのは俺じゃねー

男A

てめーだよバァーカ!

鮎原透

ナイフを突き出すって事は

鮎原透

殺す覚悟と殺される覚悟

鮎原透

ふたつの覚悟を
もってるって事で
いいんだよな?

男A

はぁ?

鮎原透

人を殺そうと思えば
簡単に殺せる道具を
喧嘩で持ち出すって事は

鮎原透

そういう事だろ!

鮎原透

刃(それ)を
単なる脅しの道具に
使ってるんなら

鮎原透

忠告してやる!やめとけ!

男A

・・・・・

鮎原透

仮にお前が俺に
殺されても
文句言えねーぞ?

鮎原透

いいのか?それで

鮎原透

自分の命を一番
無駄に使う行為だ

男A

・・るせー

男A

うるせー!うるせー!

男A

ようは俺がてめーを
確実に殺しゃ
問題ねーんだろーが

俺はナイフを構えながら 透に向かって走る

鮎原透

(バカが・・)

眞琴杏樹

鮎原さん!逃げて!

男A

もうおせーよ!

男A

死ねクソが!

キィィン

透はナイフを 男の手ごと蹴り上げる

男A

う・・・

鮎原透

殺しゃしねーから
安心しろ・・・

鮎原透

けどな・・・

鮎原透

しばらく死んでろ

透は男の後頭部を掴み 地面に叩きつける

男A

ぶはっ!!!

男はその場でうずくまる

男A

は、鼻が・・・

どうやら顔面を地面に 叩きつけられた衝撃で 鼻骨が砕けたようで

男は大量の鼻血を出しながら 両手で溢れ出る血を押さえる

男A

ういぎぃぃ・・・

鮎原透

鼻が折れたくらいで騒ぐな

鮎原透

死ななかっただけで
よかっただろ

男A

(こいつ・・・)

男A

(クソつぇー・・・)

眞琴杏樹

杏樹さん!!

杏樹は涙を流しながら 透に抱きつく

鮎原透

杏樹ちゃん!

眞琴杏樹

怖かった・・・

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

眞琴杏樹

怖かった!怖かった!怖かった!

鮎原透

まだ何もされてねーか?

眞琴杏樹

う、うん・・・

鮎原透

よかった・・・

透は杏樹を抱きしめて 頭を優しく撫でる

鮎原透

悪かったな・・

鮎原透

俺が一緒に
ついて行ってれば

鮎原透

こんな事には・・・

眞琴杏樹

鮎原さんの
せいじゃないです

眞琴杏樹

でも・・・

眞琴杏樹

鮎原さんならきっと

眞琴杏樹

助けに来てくれるって
信じてました・・・

鮎原透

杏樹ちゃんのおかげだよ

眞琴杏樹

え!?

鮎原透

これだよ!これ!

透はビーチサンダルを 杏樹に見せる

眞琴杏樹

これ・・・

鮎原透

このビーサンが
無かったら杏樹ちゃんを
助けれなかった

眞琴杏樹

気づいて
くれたんですか?

鮎原透

やっぱり杏樹ちゃんが
目印置いてくれたんだな

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

咄嗟の判断、さすがだよ!

眞琴杏樹

あ、ありがとうございます

男C

おい!お前ら

男が仲間に 小声で語りかける

男C

今のうちに逃げるぞ!

男B

あ、ああ・・・

男C

あまり物音
たてんじゃねーぞ

男A

わかってる・・・

男たちは透に気づかれないように 部屋から逃げ出そうとする

鮎原透

コソコソ何やってんだ?

男C

(クソ!)

男C

(やっぱバレたか)

鮎原透

てめーらにはまだ
聞きたいことがあるんだ

鮎原透

まだ帰す訳にはいかねー

男C

な、なんだよ・・

鮎原透

特にそこの金髪!お前だ!

男A

お、俺?

鮎原透

さっき気になる事
言ってやがったな?

男A

はぁ?

鮎原透

生活がかかってるとかって

鮎原透

ありゃどういう意味だ?

男A

・・・・・

鮎原透

正直に言えよ?

鮎原透

返答次第によっちゃ
ぶっ殺すぞ

男A

い、依頼されたんだ・・

鮎原透

はぁ?依頼?

男A

偶然出会った女に

男A

その子を犯してくれって

鮎原透

その子って・・・
この杏樹ちゃんをか?

男A

あ、ああ・・・

鮎原透

本当にこの杏樹ちゃんで
間違いねーのか?

男B

間違いねーよ

男B

この写真を渡して
依頼してきたんだ

男は透に女から渡された 杏樹の写真を手渡す

鮎原透

・・・・・・

鮎原透

(確かに杏樹ちゃんで
間違いねーみてーだな)

男A

俺らはその女に
前金を30万受け取って

男A

長野からお前らを
尾行してたんだよ

鮎原透

長野から?ずっとか?

男A

あ、ああ・・・

鮎原透

その女ってのは
一体何処の誰なんだ?

鮎原透

本当に知らねーのか?

鮎原透

嘘ついてんじゃ
ねーだろーな?

男C

ほ、ホントだよ・・

男B

名前しらねーし

男B

初対面の女だった

鮎原透

その女は何で
てめーらに依頼を?

男B

俺ら、地元じゃ
結構名がそこそこ
売れてる方でな

鮎原透

(俺は知らねーけどな)

男B

それを知ってて
依頼してきたんだと思う

鮎原透

その他には?
なんか聞いてる話は
ねーのか?

男B

ね、ねーよ・・・

鮎原透

(杏樹ちゃんを
犯してほしいって)

鮎原透

(だれがそんな依頼を・・)

鮎原透

(過去に揚羽と因縁が
あった事が理由か?)

鮎原透

(その関係者か?)

鮎原透

(けどあれは奏星ちゃんや
奏星ちゃんの両親とも
和解できてるって聞いた)

鮎原透

(この前研修で偶然
会った時だって)

鮎原透

(まだ恨んでるって
素振りは全くなかった)

鮎原透

(ならその他に
理由があんのか?)

鮎原透

(クソ・・全然分からねー)

鮎原透

(何がどうなってんのか
意味が分からねー!)

男C

(今だ!逃げろ)

透が状況を整理している隙に 男たちは部屋から逃げ出す

鮎原透

あ、てめーら!

鮎原透

待ちやがれ!

透が男たちを 追いかけようとする

しかし杏樹が透の 背中に抱きつく

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

ひとりにしないで・・

眞琴杏樹

一緒に居てほしい・・です

鮎原透

・・・・・

鮎原透

(まぁ、アイツらから
聞き出せる話も
ねーみてーだし・・)

鮎原透

(今は杏樹ちゃんが
無事だったんだ)

鮎原透

(それで十分か・・・)

鮎原透

あ、ああ、分かったよ

鮎原透

側に居てやるから!な?

眞琴杏樹

う、うん・・・

しばらくふたりは 部屋の中で寄り添いあっていた

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

鮎原透

どうした?

眞琴杏樹

なんで・・私・・

眞琴杏樹

狙われなきゃ
いけないんですか?

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

私・・何か
しちゃったのかな?

眞琴杏樹

一体誰が私を・・・

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

杏樹はうつむき 顔を両手で覆う

鮎原透

杏樹ちゃん!

透は力一杯 杏樹を抱きしめる

鮎原透

それは俺にも
分からねー

鮎原透

けど・・・

鮎原透

何があっても
俺が護ってやるから!

鮎原透

俺がついてる!な?

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

杏樹は透に抱きつき 大粒の涙をこぼす

警察官

こごですか?

住民

はい!そうなんです

住民

数人の男が女の子を
連れ込んでたんです

警察官

この家で間違い
ありませんか?

住民

はい!間違い無いです

住民

この家は昔から
空き家って言うのは
知っていたので

住民

人が入っていくなんて
おかしいと思って・・

警察官

わかりました!

警察官

ありがとうございます

警察官

ここからは私に
お任せください

住民

はい!お願いします

警察官は古びた一軒家に入っていく

鮎原透

そろそろ出るか

鮎原透

涼太やひとみが
心配してるはずだ

眞琴杏樹

そう・・ですね

透と杏樹が部屋から出ようとしたとき 警察官が部屋の中に入ってきた

警察官

君たち!

警察官

ここで何を
やっているんだ!

眞琴杏樹

あっ・・・

鮎原透

警察・・・

鮎原透

まじかよ・・・

警察官

先ほどこの空き家に
若い女性が数名の男に

警察官

連れ込まれていると
通報があってな

鮎原透

あ、誰がが通報
してくれてたのか

眞琴杏樹

そうみたいですね

警察官

男性は君1人か?

警察官

他の仲間はどうした?

鮎原透

な、仲間!?

眞琴杏樹

ち、違います!

眞琴杏樹

この人は私を助けに
来てくれたんです

警察官

助けに?

警察官

詳しく話を聞かせて
もらえないか?

鮎原透

は、はい・・・

透と杏樹は全てを警察に打ち明けた

杏樹が数名の男に拉致され この室内に監禁されていた事

その男たちの杏樹は 面識がなかった事

その男たちは見ず知らずの 女性からの依頼により 杏樹を犯そうとしていた事

間一髪のところで 透が部屋に入り助け出せた事

男たちはすでに逃げでしまった事

全てを話した

最後に男たちの 背格好についても付け加えた

警察官

話してくれてありがとう

警察官

その男たちは必ず
我々が捕まえる!

眞琴杏樹

お、お願いします

警察官

しかし!君!

鮎原透

は、はい・・・

警察官

1人で突入するなんて
無茶な真似をするな

鮎原透

・・・・・

警察官

見ず知らずの女性に
言われたからと言って

警察官

ひとりの女の子を
拉致監禁する連中なんだ

警察官

下手したら君が
殺されていたかも
しれないんだ!

警察官

わかったね?

鮎原透

はい・・すいません

警察官

じゃあもう行きなさい

眞琴杏樹

はい・・・

透と杏樹は数10分の 職務質問の末に解放された

男達は近くの廃ビルに 逃げ込んでいた

男A

クソ・・・

男A

あの男があんな
強かったなんて
聞いてねーぞ!

男A

あいつは何モンだよ!

男B

知るかよ!俺に
聞くんじゃねーよ!

男A

てかこっから
どうすんだよ!

男A

後からまた
拉致するにしても

男B

いや、もう無理だろ

男B

ぜってー警戒されてるし

男B

警察だってウロウロ
してるみてーだしよ

男C

まぁ、とりあえず
女に電話するぞ!

男A

まぁ、だな・・・

男A

大事な情報を
隠してやがった事を
問い詰めねーとな

男は事前に女から手渡された 連絡用のプリカを手に取り 電話をかける

 

なに?

男A

なに?じゃねーよ!

男A

あのつえーヤツは
一体誰だ!あ?

 

待って・・・

 

何を言っているのか
意味がわからない

男A

あぁ?

 

たから!
何が言いたい訳?

 

要件を簡潔に!

男A

あの眞琴杏樹と
一緒にいたヤサ男だよ

男A

アイツに邪魔されて
失敗しちまったじゃねーか

 

はぁ?

 

アンタらもしかして

 

男が3人も居て
ひとりの男に
やられたって言うの?

男A

あ、いや・・・

 

はぁ〜・・・

 

ほんと使えないわね

男A

はぁ?んだとコラァ!

 

いや、だって
本当の事でしょ?

 

私は前金まで
払ってあげたのよ?

 

30万よ!30万!

 

それで失敗するって

 

使えない以外に
かける言葉が
見つからないわ・・

男A

くっ・・・

 

わかった!わかった!

 

私がまた別の方法を
考えてあげるから

男A

あ、ああ、頼む

 

ところで今アンタらは
何処にいる訳?

男A

近所の隠れやすい
場所を見つけてな!

男A

今はそこに
身を隠してる

 

・・・・・

男A

早くしてくれよ

男A

警察も近くを
ウロウロしてやがんだ!

 

警察にまで
通報されたの?

男A

う・・・

 

まぁ、いいわ

 

私が考えてあげるから

 

その場から絶対に
動かないで!

 

いい?

 

”その廃ビル”から
絶対に動かないで

 

わかった?

男A

わ、わかったよ・・・

 

じゃあ一旦切るわね

男A

ああ・・・

 

はぁ〜・・・

 

やっぱ失敗したか

 

たしか”アイツ”

 

極真空手やってるって
話だったから・・

 

まさかとは思ったけど

 

所詮チンピラ
レベルって訳か・・・

 

30万をドブに捨てたのは
結構イタいけど

 

まぁ、いいっか

女はうんざりした様子で スマホ何かを検索している

 

えー・・・っと

 

あった!あった!

 

どれどれ・・番号は

どうやら何処かの 番号を調べていたようで

検索してヒットした番号を ガラケーで入力し電話をかける

 

もしもし?警察ですか?

 

実は──

男A

あー!イライラする

男A

電話遅くねーか?

男B

黙ってろ!騒ぐな

男B

まだ近くに警察が
いるかもしれねーだろ

男A

ならこのまま黙って
待ってろってのか?あ?

男B

俺にキレてんじゃねーよ

男C

・・・・・

男は黙って何かを考えている

男A

てめーも黙ってねーで
何か言ったらどうなんだよ

男C

おかしくねーか?

男A

は?なにがだよ

男C

だってよ、女は廃ビルを絶対に
動くなって言ったんだよな?

男A

ああ・・・

男A

下手に動いて
警察にバレたら
やべーだろ?

男C

近くに警察が居るんだぞ?

男C

この場にずっと居たら
いずれ見つかっちまう

男B

た、確かに・・・

男C

普通なら俺らを
警察から遠ざけようと
するのが普通じゃね?

男A

い、言われてみれば・・

男C

しかもあの女
ご丁寧に「廃ビル」って
言ってやがった

男C

俺たちは一回も

男C

「廃ビルに逃げ込んだ」

男C

なんて言ってねー

男A

あ、確かに!

男B

どういう意味だ?

男C

もしかして・・・

男は女の子から渡された 連絡用のプリカを不審に思い

プリカを地面に叩き付ける

男A

おい!何やってんだ!

男B

それ壊したら
連絡つかねーだろ

男C

うるせー!黙ってろ

男は険しい顔で 携帯の部品を漁っている

男C

!!!!!!!

男C

あった・・・

男A

あった?

男C

これだよ・・・

男の手には 小さな部品が握られていた

男B

なんだ?それ

男C

マイクロチップだよ

男A

マ、マイクロチップ?

男C

アイツ・・・

男C

この携帯に発信機を
仕込んでやがったんだ!

男A

ま、まじかよ・・・

男B

だから俺らが
廃ビルに居るって
知ってやがったのか!

男C

お前ら!逃げるぞ!

男C

このままだと警──

警察官

そこまでだ!

警察官

大人しくしろ!

そこに2人の警察官が 突入してきた

男A

け、警察?

男B

なんでバレたんだ?

男C

簡単な話だよ!

男C

マイクロチップで
俺たちの位置を調べて

男C

警察に通報
しやがったんだよ!

男A

ま、まじ?

男C

だから俺たちにここを
絶対に動くなって言ったんだ

男B

クソ・・・

男B

あのアマ!!

男C

(けど警察は2人)

男C

(その気になれば・・)

警察官

さぁ!大人しく捕まるんだ

男C

てめーら!いくぞ!

男A

まじで?警察だぞ?

男C

ここで捕まったら
俺ら終わりだぞ

男C

金はまだ残ってる!
これ使って高跳びだ!

男B

ひょー!いいねー!
ドラマみたいじゃん!

警察官

無駄な抵抗はやめろ

男C

うるせー!

男たちは床に落ちている 瓦礫を警官に投げつけ その場から逃げ出す

警察官

待て!お前ら!

男C

(こんなとこで
捕まってたまるか!)

男C

(逃げ延びてやるよ)

男たちは外へ逃げ出すが

男C

な・・・

警察官

大人しくしろ!

外にはすでに 数名の警察官が待機していた

男A

うそ・・・

男B

終わった・・・

男C

クソ・・・・

男C

くそがぁぁぁ!

警察官

君達を逮捕する!

男たちは生命身体加害略取と 公務執行妨害の現行犯で逮捕された

 

はぁ〜・・・

 

あまり期待
してなかったけど

 

まさか本当に
失敗ちゃうなんてね

 

まぁ、でも未遂で
終わったとしても

 

結構な精神的
ダメージは与えれたはず

 

また別の方法考えなきゃね

 

あっそうだ!

女はガラケーを手に取る

 

このプリカも
もう用済みね

女は何の躊躇いもなく ガラケーを逆に折り曲げ ゴミ箱へと投げ捨てる

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

222

コメント

4

ユーザー

わお、! 鮎原さん強い、!

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚