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あの夏をもう一度

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あの夏をもう一度

1 - あの夏をもう一度 第1話

♥

1,230

2019年12月10日

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ユウタ

おはよう!今日から夏休みだけど、だらけてない?

ナツミ

ユウタってば私にそれ言うんだ!笑

ナツミ

いつもより早起きして、先におはようって言ったからって

ナツミ

そんなのえらくもなんともないんだよ?

ユウタ

いやあ、夏休みだって思ったらさ、なんかうきうきして

ユウタ

逆に早く目が覚めちゃったよ

ナツミ

私は宿題が想像よりもいっぱい出ちゃったから

ナツミ

夏休みの嬉しいテンションそっちに取られちゃったなぁ

ユウタ

宿題…

ユウタ

いきなりその2文字を出すなよ…

ユウタ

僕の方までテンション下がっちゃったよ

ナツミ

私はちゃーんと現実を見てるの

ナツミ

ねっ、ユウタよりもしっかりしてるんだから

ナツミ

それよりもさ、ユウタってば夏だよ、夏!

ナツミ

どこかに遊びに行ったりしないの?

ユウタ

行くよ。スケジュール詰まってるし!

ナツミ

やっぱり、だよね!

ナツミ

私もね、今度友達とショッピング行くんだー

ナツミ

新しい帽子も買おうかなって思ってるよ!

ユウタ

帽子かぁ

ユウタ

ナツミは顔が小さいから、上半分が隠れちゃって

ユウタ

帽子お化けにならないように注意するんだぞ

ナツミ

ならないよーだ!

ナツミ

ユウタも帽子、かぶれば?

ナツミ

今年の夏もすごく暑いよ!

ユウタ

僕はアレだ、自然派でナチュラリストだから、うん

ナツミ

それ、絶対難しい言葉使いたかっただけだよね?

ユウタ

いやいやいや、そんなことないですよナツミさん!

ナツミ

ホントかなぁ?

ユウタ

当たり前だよ!僕は地球に優しいんだから!

ナツミ

ナチュラルでもフローラルでもいいけど、本当に最近はお日様がすっごくつよいからさ

ナツミ

ユウタも帽子買おうよ

ナツミ

私が選んであげるから、ね!

ユウタ

いやいや、いいよ

ナツミ

遠慮は体に良くないぞ、少年!

ナツミ

それとも、かわいいかわいいナツミさんに選んでもらうのは、照れくさくて恥ずかしいかな?

ユウタ

あのさ、母さんがパンが焼けたって言ってるから、またね!

ナツミ

えーっ、大切な話だったのにー…

ナツミ

しょうがないな、またね!

ユウタ

…………

ユウタ

はあ…

ユウタ

何やってるんだ、僕は…

勉強は普通だけども、誰よりも明るくて元気

それがナツミの思う僕、ユウタ

以前の僕はそうだったし、今だってそうありたいと思っている

ユウタ

(ナツミは昔、引っ込み思案で人見知り)

ユウタ

(おどおどとして、友達も少なそうな感じだったなぁ)

まだ幼稚園の頃、公園のブランコで寂しそうにしているナツミを見つけて、声を掛けたのがきっかけだった

ユウタ

(最初はびくびくしてたけど)

ユウタ

(だんだん元気で明るい今のナツミになったんだよな)

お年寄りにも動物にも好かれる、明るくて元気で優しい、それに頭もいい女の子

ナツミがほめられたり、ご近所でも評判になっていくのは、僕も自分のことのように嬉しかった

中学生になる頃には、男友達にからかわれたりしたけれど

僕もナツミもそれを特に否定したりはしなかった

ユウタ

(いつかは僕の方から告白して、ナツミとは本当の恋人同士になって、それで…)

なんて想像するだけで、顔を真っ赤にして布団を抱えてじたばたしたものだ

けれど、あれは中学も終わりの夏のことだった

中学を卒業する前に、ナツミに告白する

そう決意した僕は、勇気を振り絞って、ナツミを海に誘ったんだ…

ナツミ

すっごく楽しかったよ、誘ってくれてありがとう!

ユウタ

いやあ、ナツミがあんなスタイルいいだなんて…予想外だった

ナツミ

もー、まだそれ言うの?

ナツミ

私、スポーツは大好きだし、勉強だけじゃないんだからね!

ユウタ

そうだよな、ナツミは優等生だよ

ユウタ

僕ももっと頑張らなきゃって思うよ

ナツミ

ユウタは頑張ってるよ

ナツミ

いつも頑張ってないって言ってるけど、ちゃんと頑張ってる

ユウタ

いやいや、頑張ってないって

ナツミ

ううん、そんなことない

ナツミ

…ちゃんと、見てるから

ユウタ

ナツミ…

ユウタ

(な、何か良い雰囲気だぞ僕!)

ユウタ

(告白するなら今じゃないか?)

ユウタ

(さあ、今言わなきゃいつ言うんだ!勇気を振り絞れ!)

ユウタ

あのさ

ナツミ

ユウタ、危ない!!

キキーッ!ドンッ!!

ユウタ

(え…?)

最後に目に飛び込んだのはコンクリート、全身に感じるのは火傷しそうなアスファルトの熱

悲鳴、鉄くさい赤い何かの匂い、救急車のサイレン、蝉の声

僕の頭は、何が起きたかを理解するのに時間が掛かった

これはきっと悪い夢で、目を閉じれば僕はいつものベッドの中

そうに決まってる、そうじゃなきゃいけない

こんなバカみたいな話が現実のわけ、ないだろう?

大好きな、世界で一番大切な女の子に告白しようとしたら、居眠り運転の車がまっしぐらに突っ込んできた

ドキドキして、周りに目が行ってなくて

バカな僕は守りたい女の子に守られて、そして…

ナツミの両足は、ひざから下が無くなっていた

あの夏をもう一度

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コメント

29

ユーザー

えぇ、、、、

ユーザー

嘘…

ユーザー

やば

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