眞琴杏樹
和久井龍也
和久井龍也
和久井龍也
鮎原透
和久井龍也
眞琴と鮎原って
珍しい苗字はあったけど
和久井龍也
だったんだな!
眞琴杏樹
和久井さんって
眞琴杏樹
やってるって言ってましたね
眞琴杏樹
偶然があるなんて
和久井龍也
虹山愛莉
愛莉が杏樹の背中に 覆い被さる
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
集まる訳??
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
和久井龍也
眞琴杏樹
なに言ってるのよ!
眞琴杏樹
そういう人じゃないから!
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
眞琴杏樹
通う前に
眞琴杏樹
虹山愛莉
眞琴杏樹
眞琴杏樹
この和久井さんなの!
虹山愛莉
和久井龍也
和久井龍也
虹山愛莉
眞琴杏樹
彼女さん居るし
虹山愛莉
虹山愛莉
鮎原透
ねーんだよな?
和久井龍也
虹山愛莉
虹山愛莉
スキースクールに来た
意味ないじゃん
眞琴杏樹
目的だったんだね
虹山愛莉
虹山愛莉
ひと目見たくなるでしょ?
眞琴杏樹
虹山愛莉
和久井龍也
虹山愛莉
可愛いですか?私より?
和久井龍也
眞琴杏樹
知ってる人だよ
虹山愛莉
虹山愛莉
彼女さんとか
知らないよ?
杏樹は愛莉に そっと耳打ちする
眞琴杏樹
美咲さんだよ♫
虹山愛莉
虹山愛莉
眞琴杏樹
ダメなヤツでした?
和久井龍也
隠してる訳じゃ
ねーからな
虹山愛莉
虹山愛莉
付き合ってる
イケメンな彼氏って
虹山愛莉
和久井龍也
虹山愛莉
私は到底敵わないなぁ
眞琴杏樹
美咲さんは元気ですか?
和久井龍也
元気だよ
鮎原透
和久井龍也
和久井龍也
ばあちゃんの家に
世話になってっけどな
眞琴杏樹
鮎原透
軽井沢だったよな?
和久井龍也
眞琴杏樹
和久井龍也
お試しオープン期間中だろ?
和久井龍也
長野になるからよ
和久井龍也
厄介になってんだよ
和久井龍也
馬鹿になんねーしな
鮎原透
一緒に来てるって訳か
和久井龍也
良いって言ったんだけどさ
和久井龍也
我慢できないから
和久井龍也
って言うもんだからな
眞琴杏樹
今長野に居るんですか?
和久井龍也
ばあちゃん家に居るよ
虹山愛莉
今美咲さんが近くに?
和久井龍也
虹山愛莉
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
愛莉は杏樹の手を引っ張る
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
虹山愛莉
知り合いなんだよね?
眞琴杏樹
虹山愛莉
彼女さんが
虹山愛莉
知ってたって事は
虹山愛莉
美咲さんとも面識
あったりするの?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
って訳じゃないけど
虹山愛莉
くれなかったのよ!
眞琴杏樹
話したとしても
眞琴杏樹
って思ったから・・
虹山愛莉
愛莉は両手を合わせて 杏樹に頭を下げる
虹山愛莉
会わせてくれない?
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
憧れの人なのっ!
虹山愛莉
一回でいいから
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
会わせて!お願い!
眞琴杏樹
参加するのが愛莉ちゃんの
一生のお願いじゃなかったかな?
虹山愛莉
眞琴杏樹
眞琴杏樹
話してみるね♫
虹山愛莉
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
眞琴杏樹
期待しないでよ
眞琴杏樹
虹山愛莉
眞琴杏樹
眞琴杏樹
和久井龍也
眞琴杏樹
愛莉ちゃんって
言うんですけど・・
虹山愛莉
はじめまして・・
虹山愛莉
和久井龍也
和久井龍也
どうかしたのか?
眞琴杏樹
大ファンらしくて
和久井龍也
眞琴杏樹
軽井沢の和久井さんの
おばあちゃん家に
居るんですよね?
和久井龍也
オープン期間中はな!
眞琴杏樹
眞琴杏樹
お願いなんですけど
和久井龍也
合わせたいって話か?
虹山愛莉
虹山愛莉
憧れの人なんです!
虹山愛莉
生の美咲さんに
会ってみたいんです!
虹山愛莉
和久井龍也
虹山愛莉
和久井龍也
ファンの人と交流
したいって言ってますから
和久井龍也
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
愛莉は何度も 龍也に頭を下げる
眞琴杏樹
眞琴杏樹
好きなんだなぁ、愛莉ちゃん)
和久井龍也
世間話が長くなりましたが
和久井龍也
スキースクール体験を
始めさせていただきます
虹山愛莉
眞琴杏樹
和久井龍也
龍也は小慣れた手つきで タブレット端末を操作しながら
和久井龍也
伺っていましたが
和久井龍也
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
そこには、先程まで 居たはずの 絵里香の姿がなかった
眞琴杏樹
居たよね?絵里香ちゃん
鮎原透
和久井龍也
姿がないようですね
虹山愛莉
絵里香ったら・・
眞琴杏樹
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
もらえますか?
和久井龍也
虹山愛莉
愛莉は申し訳なさそうに 腰を引くしながら 更衣室へ向かう
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
愛莉はロッカーを開け スマホを取り出して 絵里香に電話をかける
虹山愛莉
着信音が聞こえない)
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
どこに居るわけ?
虹山愛莉
始まるよ?
虹山愛莉
葛城絵里香
葛城絵里香
電話があってさ
葛城絵里香
ダメになった
虹山愛莉
葛城絵里香
虹山愛莉
仕方ないけどさ
虹山愛莉
ちゃんと言ってから
行きなさいよね?
虹山愛莉
って心配するじゃん
葛城絵里香
虹山愛莉
葛城絵里香
虹山愛莉
葛城絵里香
虹山愛莉
自分勝手なんだから
虹山愛莉
言えっつーの!!
虹山愛莉
虹山愛莉
勝手に帰るなんて・・
虹山愛莉
連絡だったのかな・・
虹山愛莉
考えないどこ!
虹山愛莉
行かなきゃ!
愛莉はロッカーにスマホをしまうと 小走りでスキー場へ向かう
眞琴杏樹
眞琴杏樹
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
バイトに行かなきゃ
なんなくなったらしくて
虹山愛莉
眞琴杏樹
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
眞琴杏樹
仕方ないよね
虹山愛莉
虹山愛莉
帰りなさいよね!
虹山愛莉
眞琴杏樹
和久井龍也
帰られた!という事は
和久井龍也
和久井龍也
それから虹山さん
和久井龍也
よろしいでしょうか?
眞琴杏樹
虹山愛莉
和久井龍也
鮎原透
されんのって
鮎原透
和久井龍也
和久井龍也
和久井龍也
鮎原透
和久井龍也
和久井龍也
スキースクール体験を
始めさせていただきます
眞琴杏樹
こうして絵里香不在のまま 約2時間のスキースクール体験が 幕を開けた
虹山愛莉
虹山愛莉
眞琴杏樹
和久井龍也
何よりだよ♫
虹山愛莉
噂では聞いてたけど
虹山愛莉
和久井龍也
虹山愛莉
ハマっちゃったよ♫
眞琴杏樹
虹山愛莉
スキーしないなんて
虹山愛莉
虹山愛莉
通っちゃおうかな♫
和久井龍也
鮎原透
和久井龍也
鮎原透
入ってねーんだよな?
和久井龍也
お前らで最後だよ
鮎原透
帰るのか?
和久井龍也
事務作業が残ってっけど
和久井龍也
帰るつもりだよ
和久井龍也
かかんねーと思う
虹山愛莉
虹山愛莉
美咲に会えるぅぅ!!
虹山愛莉
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
美咲さんは知り合いだから
虹山愛莉
虹山愛莉
いつも観てる憧れの
YouTuberなんだよ?
虹山愛莉
無理があるっしょ?
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
準備しとかなきゃ!
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
美咲さんと面識
あるんですから
眞琴杏樹
いいじゃないですか!
鮎原透
和久井龍也
お前もこいよ!
和久井龍也
蒸し返すつもりなんて
さらさらねーからさ
和久井龍也
鮎原透
鮎原透
虹山愛莉
虹山愛莉
あったんですか?
和久井龍也
こっちの話なんで
和久井龍也
虹山愛莉
和久井龍也
待っててくれるか?
和久井龍也
眞琴杏樹
虹山愛莉
虹山愛莉
虹山愛莉
美咲に会えたのに
眞琴杏樹
その後、駅前にて合流した一同は
龍也の母、和久井友恵の実家である 軽井沢の祖母宅へ向かう
和久井龍也
姫川美咲
龍也が部屋に入ると 美咲が笑顔で近づいて来る
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
美咲は予想外の訪問者に 驚きを隠せない
眞琴杏樹
鮎原透
姫川美咲
鮎原さんが!?
和久井龍也
最後の予約が
和久井龍也
和久井龍也
連れてきたんだよ
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
眞琴杏樹
眞琴杏樹
動画も観てますよ♫
姫川美咲
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
紹介してよ
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
姫川美咲
眞琴杏樹
虹山愛莉
愛莉が恥ずかしそうに 杏樹の背中から顔を覗かせる
姫川美咲
眞琴杏樹
眞琴杏樹
子なんですけど
虹山愛莉
虹山愛莉
愛莉は緊張のあまりに ガチガチに硬直した体を 必死に動かして会釈をする
姫川美咲
眞琴杏樹
大ファンらしくて・・
姫川美咲
虹山愛莉
姫川美咲
和久井龍也
会いたいって言うからさ
和久井龍也
連れてきたんだよ
和久井龍也
交流したいって
言ってたろ?
虹山愛莉
私の憧れの人なんです
姫川美咲
姫川美咲
虹山愛莉
虹山愛莉
私の方で・・・
姫川美咲
なんか、ちょっと
照れちゃうね
眞琴杏樹
虹山愛莉
姫川美咲
姫川美咲
美咲は笑顔で 愛莉に両手を差し出す
虹山愛莉
お畏れ多いですけど・・
愛莉は恐る恐る右手を差し出し その手を美咲は 両手で優しく包み込む
姫川美咲
虹山愛莉
美咲さんと握手してる!
虹山愛莉
姫川美咲
虹山愛莉
虹山愛莉
思い出ができました!
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
虹山愛莉
愛梨ちゃんって
言ってもらえたぁ!
絹枝
賑やかね〜
皆がしばらく談笑していると 龍也の祖母 絹枝(きぬえ)が帰ってきた
和久井龍也
おかえり
絹枝
絹枝
絹枝
眞琴杏樹
絹枝
絹枝
和久井龍也
友達みてーなヤツでさ
絹枝
絹枝
眞琴杏樹
その後、しばらく 談笑した一同
眞琴杏樹
姫川美咲
帰っちゃうの?
虹山愛莉
話してたいなぁ
眞琴杏樹
眞琴杏樹
迷惑だろうし・・
絹枝
思わないわよ
絹枝
絹枝
食べていきなさいよ
眞琴杏樹
絹枝
お友達が来てくれたんだもの
絹枝
ご馳走させてよ♫
和久井龍也
料理上手だからよ!
和久井龍也
鮎原透
言ってくれてんだから
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
悪いですよね
絹枝
絹枝
張り切っちゃうわよ♫
絹枝は意気揚々と 割烹着を着用する
姫川美咲
私も手伝いますよ
絹枝
美咲ちゃん
姫川美咲
当然ですから!
絹枝
その時、透のスマホから 着信音が鳴り響く
鮎原透
透はズボンのポケットから スマホを取り出して画面を確認する
鮎原透
眞琴杏樹
したんですか?
鮎原透
電話みたいでさ
眞琴杏樹
和久井龍也
されたままなんだよな?
鮎原透
鮎原透
透は居間から一旦退出し 電話に出る
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原拓郎
社長室に来てくれないか?
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原拓郎
とりあえず来てくれ
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原透
鮎原拓郎
電話を終えた透は しばらくの間、頭を悩ませていた
鮎原透
鮎原透
鮎原透
鮎原透
鮎原透
理由をハッキリ言うのに
鮎原透
鮎原透
考えてても埒があかねー
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
だったんですか?
鮎原透
鮎原透
呼び出しくらっちまった
眞琴杏樹
和久井龍也
鮎原透
ねーんだけどな
鮎原透
言われちまったからよ
鮎原透
帰らせてもらうわ
眞琴杏樹
仕方ないですね
鮎原透
おばさん
鮎原透
用意してもらったのに
絹枝
絹枝
いつでも大歓迎だから
絹枝
鮎原透
鮎原透
お邪魔させてもらいます
透は絹枝に 深々と頭を下げる
鮎原透
鮎原透
和久井龍也
心配いらねーよ
鮎原透
鮎原透
和久井龍也
見ねーうちに
礼儀正しくなったな
和久井龍也
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
透は軽く会釈をすると 小走りで絹枝宅を後にする
時間を少し遡る
透のスマホに 拓郎からの着信が入る数時間前
鮎屋 社長室
社員
よろしいでしょうか?
社員が拓郎に 神妙な面持ちで語りかける
鮎原拓郎
社員
サービスカウンターから
社員
という女性が来ていると
連絡があったのですが
鮎原拓郎
社員
取ってらっしゃらない
方のようなんですか・・
鮎原拓郎
社員
示談金を返したい!と
社員
しているらしいんです
鮎原拓郎
社員
社員
対応しているようなんですが
社員
鮎原拓郎
社員
珍しい名前の方らしいです
鮎原拓郎
鮎原拓郎
妊娠をさせた女子生徒の名前が)
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原拓郎
示談金の事か?)
鮎原拓郎
示談金の返金を?)
社員
鮎原拓郎
社員
鮎原拓郎
社員
鮎原拓郎
鮎原拓郎
社員
社員
サービスカウンターに
伝えてきます!
鮎原拓郎
社員は拓郎からの指示を受け 駆け足で社長室から出て行く
鮎原拓郎
しばらくして──
コンコン
ドアをノックする音が 社長室全体に響き渡る
社員
お連れしました
鮎原拓郎
拓郎の声と共にドアが開き 一人の女性が社長室に入って来る
女性
社長室に入ってきたのは 50代くらい女性だった
その風貌は、お世辞にも 健康だとは言い難いほどに 疲れ切っていた
鮎原拓郎
鮎原拓郎
女性
自らを楓咲と名乗るその女性は 小さくか細い声を出し 軽く会釈をした
鮎原拓郎
下がってくれていい
鮎原拓郎
二人にしてくれ
社員
社員
社員は拓郎に深々と頭を下げると 社長室から出て行った
鮎原拓郎
鮎原拓郎
させていただきたい
鮎原拓郎
鮎原拓郎
ありませんでした
拓郎は女性に頭を下げる
女性
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原拓郎
自殺未遂を──
鮎原拓郎
決して許される
事ではありません!
女性
女性
女性はテーブルの上に 分厚い茶封筒を置く
鮎原拓郎
女性
頂いた示談金──
女性
女性
鮎原拓郎
鮎原拓郎
償いのお金で──
女性
女性
女性
鮎原拓郎
女性
楓咲とは呼ばないでください
鮎原拓郎
女性
女性
鮎原拓郎
女性
鮎原拓郎
女性
楓咲ではありません
女性
名乗らなければ
女性
伝わらないと思い
女性
いただいたんです
鮎原拓郎
何故この示談金を
使わなかったんですか?
女性
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原拓郎
という事ですよね?
鮎原拓郎
鮎原拓郎
大変だったはずです
女性
鮎原拓郎
女性
使えなかったんです
女性
鮎原拓郎
申し訳ないと思う
必要があるんですか?
鮎原拓郎
鮎原拓郎
言葉を使うのは
私の方で──
女性
女性
女性
せいではないんです!
女性の口から発せられた言葉に 拓郎は驚きを隠せない
鮎原拓郎
女性
女性
女性
いたんです・・・
女性
前夫だというのに・・・
女性
利用したんです・・・
女性の瞳から 大粒の涙が溢れだす
鮎原拓郎
女性
女性
鮎原拓郎
女性
女性
鮎原拓郎
女性
女性
鮎原拓郎
女性
女性はその場で 涙を流しながら土下座をする
何度も何度も額を 床に叩きつけながら土下座をする
鮎原拓郎
女性
女性
女性
女性
鮎原拓郎
鮎原拓郎
女性
鮎原拓郎
聞かせてください
女性
女性
落ち着きを取り戻した女性は おもむろに口を開く
女性の口か告げられた真実は
杏樹と透の運命を 大きく変える事となる