翔
健さん
雅人
翔
翔
健さん
葵
健さん
翔
春樹
今だ!
野次馬と一緒に紛れていた鳳来の下っ端の首根っこを掴んで自分にひきよせて、拳を振り上げる
莉子
莉乃ほど上手くは行かないけど、凡人とは違うスピード
的確に狙ったところに当てに行く拳
下っ端くらいならこじけづかせることのできる殺気
野次馬は息をのみ女子たちは小さく悲鳴を上げた
莉子
なんて言われようといい、強く見せたくてさっきからうるさい心臓の音を隠したくて
さすがに目は合わせられなかったけど幹部の奴らを睨みつけた
けどもちろん口元には笑みを浮かべるよ?
下っ端を離すとその人は私から慌てて離れる
健さん
健さん
莉子
そして私達は中庭に向かった歩き出す
動揺して動けないでいる鳳来のよこを通り過ぎて健さんたちがたこ焼きの取り合いをしていると
翔は振り返って野次馬たちに向かって口を開いた
翔
翔
そういい私を引っ張って健さんたちの元へ向かった
実は鳳来の横を通る時、心臓は不規則にならず足も震えたりしなかった
でも翔に手を引かれる時、心臓はドキドキっていつもと違って心地いい音を鳴らしていた
透流side
もう俺の知ってるりっちゃんと莉乃ちゃんはいなかった。
無垢な瞳でどんなときも笑うりっちゃんはもういなかった。
こっちの世界に来てもどんな色にも染まらず真っ白だったりっちゃん
でもその人は今俺たちの前で不敵に笑いながらこっちを睨んでいる
それの直前にみたのははじめてのりっちゃんだった
流れるような早さで下っ端を引き寄せそこから素早く拳を振り上げ顔の目の前で止める
そして滲み出るような殺気
いつの間にこんなことが出来るようになっていたのか
少なくとも裏切る前辺りからやってなければ計算が合わない
それにあの無垢な目ではなく1人で自立したような強い意志の目
わからない。 あの時、りっちゃんや莉乃ちゃんと話した時とはまた違ったものがあった
さっきまで泣いていたのに、足元なんて震えていたのに
翔ってやつと紫蘭の幹部が来たことで安心しきったように泣きじゃくっていた
あんな彼女を俺は知らない。 俺が知ってるのはいつもニコニコしていると、ゆーちゃんをいじめていた裏の顔しか…
紫蘭と前から関わっていた? 俺たちと出会う前から…
でもなんのために。
わからない。 りっちゃんがわからない
いろんなりっちゃんを知っているけどどれが本物のりっちゃんなのか
俺らの横を通る時のあのうん!って感じがすごく懐かしく感じた
それでも困惑しているのはみんなも同じみたいで、あの後の倉庫に集まった時も重苦しい空気が漂っていた
やっぱり、間違っていたのか
俺らはゆーちゃんを信じてりっちゃんを切り捨てた
確かに大好きなゆーちゃんの言っていることをなんの疑いもせず信じて、りっちゃんを恨み続けた
そしてこの前真実を聞こうとした時のあの反応…何かを諦めたような
莉乃ちゃんは苦しそうに本気で俺たちを憎んどるような口ぶりだった
ゆーちゃんの言うとうりだったら莉乃ちゃんがそんなことをする意味がわからない
だって莉乃ちゃんの性格上ざまーみろとか言ってもおかしくない
けど、もしりっちゃん…莉子が言っていたことが本当なら莉乃の行動、言動の全てがつながる
それと同時に最近りっちゃんと一緒にいたあの男…翔とか言うやつの言葉が頭の中で繰り返される
崩れかけているのも全部お前ら
ゆーちゃんのことを疑っちゃいけないのに…
真実がわからない。 でも真実を知ったら後悔するかもしれない
…まてよ。 もしりっちゃんが言っていたことが本当だったらこの前認めたのは俺らを守るため?
真実をしったら俺らが傷ついてしまうから。
俺らは少しずつ真実に近づくにつれて何かが崩れているような感じがした
春樹side
俺にはあいつがわからない。
中三のときあいつは俺らの学校に転校してきた
この学校で俺らを知らずに俺らに興味を示さなかったやつはいなかった
だから莉子はすごく俺らにとって新しい存在で気になってよく俺らが関わるようになっていた
そして少しづつ心を開いてくれて莉乃や過去の話もしてくれたんだ
莉子の過去は俺らが想像してた以上に辛いもので俺らの過去よりも全然酷かった
そんな辛いことがあっても誰のなんの色にも染まらない。 どんな事があっても真っ白なキャンバスを持ってる。
それが莉子だった
あの頃、目には光を宿さずに辛いことがあっても心の中で押し殺してそれでも笑い続ける莉子を心の底から笑わせて
時間がかかってもあの真っ暗な目に光を宿してやりたい。
そういう思いで莉子を鳳来の姫にした
仲間にしたはずだったんだ……
だけどあの状況は一体なんだったんだ?
俺達には見せたことないように安心しきって泣いていると思ったら
今度は俺らを睨みたがらニヤリと笑っていたり
全てが俺の知らない莉子だった
あんな小さくて弱いりこなんて見た事ないし、俺らを本気で敵対視するようなりこも見た事なかった
俺らが関わるより前から紫蘭と関わりがあったのか?
それでわざと俺らに近づいたってか? 優月をいじめて俺らをかき乱すって作戦か?
はっ、なんか笑えてきた
前までは莉子に真実を聞いていたがそんなのどうでも良くなって
莉子に対してのイライラが溜まっていった。
でも、それは所詮俺の想像に過ぎなかったんだ
けどそんなの1度思い込んでしまったらそれから抜け出せなくなった
俺の中にある莉子は全て想像の莉子へと変わってしまったんだ
そうすれば全ての行動に理由がつく
あのタイミングで認めたのも俺らを混乱させるためだけ
そして俺はどうしても莉子に聞かなきゃいけない事があった
この前莉子か莉乃かは分からないが
放課後に叫んでいた言葉
いじめれていたのか知らないが体育倉庫の方から怒りに満ちた声が聞こえてきた
莉乃
仲間?
あいつには他に仲間がいたのか? それが誰なのかをずっと聞きたくて、最近莉子といるあの男かと思っていたがそれは友達だと言っていた
じゃあ一体誰のことを指しているのか……
もう1つは1日目の劇の時
下っ端役が本気で莉子を殴ろうとしたときその直前の時と目の色が変わり
冷静に相手の動きを読み取って静かに倒していた
流れるような無駄のない動き
まるで喧嘩慣れしているようなやつの動きだ
一体いつ? いつ覚えたんだ?
最近覚えたってことは無いはずだ。 …もし最近覚えたんだったら物凄く運動神経よくて才能があるってことになる
けど、莉子はあまり運動は得意じゃないと言っていた気がする
とりあえずその2つを聞きたくて莉子に目線を合わせていたが、合わせてくれないさもし合ったら俺が聞く前に目をそらす
でも、もうそんな必要なかったんだな
だってあの時その答えが出ていた。 俺の目の前で
紫蘭と手を組んで俺らを潰すまでに近づいた。 そんであの演技に俺らは騙されたってこと
でも、あの時…俺らが莉子を切り捨てた時あいつは本当に悲しそうな辛そうに見えていたんだ
ちゃんと話を聞いてやればよかったと後悔してきていたさなか、こんなことになって
あれは全てが嘘だったのか?
…そうだろ。そうとしか考えられない。あいつは最初から全てが演技だった
そう思っているはずなのに何か頭の中ではもやもやしていた。