金星
金星
神妙な面持ちで俺はドアノブにゆっくりと手を掛ける。
ガッ...(ドアノブを回す音)
金星
ギィィ...(ドアが開く音)
木製の軋みが奏でるギィイという古びた音が部屋中に鳴り響いた。
ドアの先に見えたものは...
全てがコンクリートで出来た通路だった。
金星
金星
道が右、左、前方と3本向に延びていた。
金星
天井には規則的に一定の感覚で電灯が設置されていた。
金星
金星
まずは右から探索を始めることにした。
コツコツコツコツ...(歩く音)
靴裏とコンクリートが接触することで奏でられる無機質な音が通路全体に響き渡った。
俺はこういう音がどことなく好きだ
金星
しばらく歩いた後...
金星
通路が右、左、前方の3本向に延びている場にまた着いた。
金星
俺は右の通路に進んだ。
金星
しばらく歩いた後...
通路が右、左、前方の3本向に延びている場にまた着いてしまった。
ここまで歩いている途中、この通路に対して、少しの疑いが生まれていたが。
今、疑いが確信に変わった。
金星
ピンクの部屋で手に入れた紙を急遽取り出し...
金星
金星
大迷宮の地図を作ろうとしたが失敗に終わった。
金星
金星
親指を顎につけて、俺は思考した。
そしてある1つの考えに至った。
金星
ペタッ
自身の右側の壁に手を密着させる。
金星
時間は掛かるけど、いつかはゴールにたどり着ける
コツコツコツコツ...
迷路というものはとんでもなく酷なものだと今、思った。
ずっと変わらない音、変わらない景色、変わらない明度、変わらない感情の起伏...
変化が全く起こらない場というのはとんでもなく退屈でクソだ。
金星
金星
開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったような...
そんな絶望感が俺を包み込んだ。
金星
金星
金星
金星
金星
金星
脳みその一部がああ!?!
お月様とお星様に飛んでぇってたぞ~?
ワカメ~?
アあ...視界がぁ...!
グンニャりグニャりとぉ...
歪んデぇ~?
歪みマくっテ裏返シてぇ?
合わサって散っteぇ?
色ga!混ザりぃhi!あうyoおおおo!!
茂haやそれハも右~?
近所のタピオカパァン!
狂い金星
イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!
通路内に俺の奇声がこだまする。
狂い金星
狂い金星
ゴツンッ!
あ''っ?!!
ドスッ!!
ベチャァ...
壁にぶち当たり、後ろに勢いよく倒れ込んだ。
Now loading...
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脳のバグが修正されました。
金星
覚束無い視界で、前方にある壁を確認する。
金星
手を地面から離し、自身のおでこを触る。
金星
金星
手を顔の前に持ってきた瞬間に...ツンと鼻を刺すような匂いがしたんだ。
金星
金星
今になって視界がはっきりとして分かる。
血がベットリと手に付着していた。
金星
金星
腕全体をおでこに擦りつけ、頭から血が出ているか確認した。
ゴシゴシ...
金星
ゴシゴシ...
金星
金星
じゃあ...
ザワザワと心が締め付けられる。
クルリと...振り返ったんだ。
死体
金星
ズズズッ!!
俺は通路の角にセッセと移動して三角座りをして顔を伏せた。
死体。俺は殺っていない。死体だ。血が出てる。死ぬ。狂ってる。上げれない。分からない。何で死んでるんだ。怖い。おかしい。違う。こんなの聞いていない。知らない。逃げたい。忘れたい。逃げろ。
ゆっくりと立ち上がる...
死体
金星
体の震えが止まらない。直視できない。
血の匂いなんかどうでもいい。俺の顔が赤く染まってもいい。
金星
金星
死体
金星
金星
金星
背中を壁に向けて、ゆっくりと死体から遠退く。
背中を壁に密着しないでは動けない。
背後に誰かがいるような感覚がさっきから異常なまでにするからだ。
探索は大事
脳裏に過るあの言葉。
金星
金星
金星
...できるわけ...ないだろ
金星
ドクッドクッドクッ
金星
とりあえず...
とにかく今は...時間が必要だ。
金星
渦巻いていた邪魔な物は取っ払った。
金星
金星
死体
視点は天井。死体はなるべく見ない。
視線をゆっくりと下げ、壁を見た。
酸味男はヤバい。ヤツは自在に時間を操れる。ヤツに喧嘩を売るな。アイツに殺さ
壁には血でそう書かれていた。
金星
推測だが、この女の子がこれを書いている途中で力尽きたのだろう。
いわゆるダイイングメッセージってヤツだ。
金星
金星
金星
金星
金星
金星
金星
笑みは消えた。
金星