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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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まゆみ

ユキ!
聞いて聞いて!

ユキ

(なんだよもううるさいな
寝てたのに……)

ユキ

にゃーん

まゆみ

私ね、彼氏が出来たっ!

ユキ

(は?)

まゆみ

しかもねっ!
学校で人気のクールな

まゆみ

ともやくんだよ!!

ユキ

(え、ちょっと置いてかないでよ、まゆみ)

ユキ

にゃーーーーーーっ!!

まゆみ

わっ、ご、ごめん

まゆみ

つい………

まゆみ

嬉しくてっ………

そういうまゆみの顔はにっこり笑ってほっぺは紅く染まっていた。

ユキ

(トモヤってだれだヨ)

ユキ

(ぼくのほうが)

ユキ

(まゆみと)

ユキ

(長くいたのに)

ユキ

(なんだよ……)

まゆみ

え?ユキ……?

ユキ

にゃあっ!!

バシッ!

まゆみ

痛っ……!?

まゆみ

って、ユキ!?

まゆみ

待って!!!!

ユキ

(もう嫌だ!!)

ずっとずっとずっと、走った 疲れて草に倒れ込む

ユキ

(まゆみ………)

僕とまゆみはひょんなことで 出会った。

捨てられている僕を拾い上げ、

家でお風呂に入れ、

ここまで育ててくれた。

ユキ

(今思えば、この僕のキレイな黒毛も、

ユキ

まゆみがキレイにしてくれた。)

ユキ

(僕はイマも逃げ出して、

ユキ

迷惑をかけてばっかじゃないか………)

草に赤色が染みつく。

飼い猫特有の柔らかい肉球が破け、 じわじわと出血している。

流れるそれを舐めとりながら

まゆみのコトを考えた。

ユキ

(あ、雨)

ポツポツと降ってきた雨は

だんだんと強くなってゆく。

ユキ

(ヤバッ避難しないとっ…)

痛む脚を引きずりながら

雨をしのげるところに逃げ込む。

ユキ

(まゆみ、大丈夫かな)

ぴちゃん………

ユキ

!!!!!!

ユキ

誰!?

マリー

あらっ、ごめんなさい。

マリー

先客がいたのね。

マリー

気が付かなくて、ごめんなさいねぇ、

ユキ

ああ、野良猫か

ユキ

……メスか

マリー

あらァ、ワタクシに触らないほうが良くてよ。

ユキ

???

マリー

彼が怒るわ

マリー

めんどくさいのよ〜

ユキ

????

マリー

まぁ、いいわ

マリー

……あなた、悩み事があるわね。

ユキ

!!

ユキ

あ、ああ

マリー

話してみて下さいまし。

ユキ

……飼い主、に大切なヒトが出来るんだ。それで、なんか、もやもやして………

ユキ

逃げて来ちゃったんだ……

マリー

マリー

………そう

マリー

じゃあ、謝りましょ。

ユキ

へ?

マリー

何かを送ればいいのよ。

マリー

そうすれば

マリー

彼女は笑顔になるわ。

ユキ

……っ!

ユキ

そうか……

ユキ

ありがとう、え〜っと、

マリー

マリーよ。

マリー

ユキくん。

ユキ

あ、ああ!

ユキ

ありがとう、マリー。

ユキ

僕、行かなきゃぁ!

マリー

ふふっ、じゃあ、またね

駆け出していた。

口に彼女の好きな、

コスモスをくわえて。

脚は痛まない。

むしろ、軽いくらいだ。

さぁ、行こう

大切な飼い主のところに。

まゆみ

ユキー!どこー?

ユキ

(まゆみ!!!)

ユキ

にぁあああんっ!!!

まゆみ

ユキ!!

まゆみ

居たっ!

僕の黒毛は雨粒でつやつやテカテカになっていたけど、

僕の肉球がぼろぼろで 大量の出血をしていたけど、

マリーがなんで、

「飼い主」と言ったヒトを

「彼女」と、「女性」とわかったか、

名乗ってもないのに

「ユキ」という僕の名前を知っていたのか、

それを僕が知るのは

まだまだ先の話です。

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