まゆみ
聞いて聞いて!
ユキ
寝てたのに……)
ユキ
まゆみ
ユキ
まゆみ
学校で人気のクールな
まゆみ
ユキ
ユキ
まゆみ
まゆみ
まゆみ
そういうまゆみの顔はにっこり笑ってほっぺは紅く染まっていた。
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
まゆみ
ユキ
バシッ!
まゆみ
まゆみ
まゆみ
ユキ
ずっとずっとずっと、走った 疲れて草に倒れ込む
ユキ
僕とまゆみはひょんなことで 出会った。
捨てられている僕を拾い上げ、
家でお風呂に入れ、
ここまで育ててくれた。
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
草に赤色が染みつく。
飼い猫特有の柔らかい肉球が破け、 じわじわと出血している。
流れるそれを舐めとりながら
まゆみのコトを考えた。
ユキ
ポツポツと降ってきた雨は
だんだんと強くなってゆく。
ユキ
痛む脚を引きずりながら
雨をしのげるところに逃げ込む。
ユキ
ぴちゃん………
ユキ
ユキ
マリー
マリー
マリー
ユキ
ユキ
マリー
ユキ
マリー
マリー
ユキ
マリー
マリー
ユキ
ユキ
マリー
ユキ
ユキ
マリー
マリー
マリー
ユキ
マリー
マリー
マリー
ユキ
ユキ
ユキ
マリー
マリー
ユキ
ユキ
ユキ
マリー
駆け出していた。
口に彼女の好きな、
コスモスをくわえて。
脚は痛まない。
むしろ、軽いくらいだ。
さぁ、行こう
大切な飼い主のところに。
まゆみ
ユキ
ユキ
まゆみ
まゆみ
僕の黒毛は雨粒でつやつやテカテカになっていたけど、
僕の肉球がぼろぼろで 大量の出血をしていたけど、
マリーがなんで、
「飼い主」と言ったヒトを
「彼女」と、「女性」とわかったか、
名乗ってもないのに
「ユキ」という僕の名前を知っていたのか、
それを僕が知るのは
まだまだ先の話です。