そこには………
片足を引きずって首が曲がっている
髪の長い女がいた
しかも何かをずっと呟いている
早乙女 桜
その声に反応したのか
そいつ…いや、それは速度を上げた
ずるる、ずるっ、ずるっ…
僕
小声で彼女に言う
早乙女 桜
どんどん近づいてくる音がする
やばい…隠れなければ
ずるるっ、ずるっ
早乙女 桜
時間が無い…どうするか
そこに入るしかない…!
僕
早乙女 桜
ガチャ…バタン
ロッカーがあって良かった
大きめのロッカーに彼女を引き連れて入った
隙間から教室が伺える
ずるっずるるるる
扉の向こうで音がする
ピタッと音が止む
冷や汗が出ているのに悪寒が走る
彼女は震えている
僕は彼女を無意識に引き寄せる
ガラッ
教室の扉が開く
ずる、ずるるる
こっちに近づいてくる
その姿はとてもおぞましい
それはあのノートが置いてあった机の前に立つ
じっと見つめている
そして入ってきた扉から出ていった
ずる…ずるる…ずるる
音が遠のいていく
僕
少し安心した その途端に
ふわっとしたいい香りを感じた
早乙女 桜
彼女は顔が赤くなっていた
顔の近さが尋常じゃない
僕
早乙女 桜
早乙女 桜
優しい笑顔だった 促されながらロッカーを出る
そうだ 変な奴がいる 逃げなければ
僕
早乙女 桜
僕
彼女は扉を触るがビクともしない
早乙女 桜
僕らはまた地窓を使って教室を出た
急いで階段まで行く
僕
僕
ずるっずるっ
それは階段を降りている
それは4階に行った
僕
彼女の手をひく
早乙女 桜
急いでカバンのある教室に戻る
僕
早乙女 桜
言われてみたら誰にもすれ違っていない
まるでそれと僕達しかいないようだ
僕
荷物を持って出ようとした途端
ずる…ずる…
あの音がする
早乙女 桜
僕
早乙女 桜
ロッカーには掃除用具が詰まっている
どかせば入れるがその時間は無い
僕
僕達は教卓の中に隠れた
ずるる…ずるっ
あの不気味な音が近づいてくる
僕達は息を殺す
幸い入ってきても後ろからだ
やり過ごそう…と思ってたら
ガラッ
……To be continued