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待って待って待ってめちゃくちゃ好き🫶🫶 最初の方から「私」にしか見えないってことは幽霊で最後は幽霊の子は消えちゃうのかな?って思ったけど、まさかまさかの展開すぎて発狂しそうになった!!! 結婚って言ったり生涯独身を貫く宣言したり、急すぎんだろ!!って考えがポンポン出てきて「私」の愛の強さが伝わってきた🤭🤭 何十年後になるか分からないけど、2人には幸せになって欲しいな!!
どうやら、私には
他の人には見えない子が見えるらしい
水色の髪に、オレンジ色の瞳
2次元に存在するかのような美しさの
……少年である
いや、まだ警察には捕まりたくない
未遂である
というか、普通にフル無視されてる
しかも、私にしか見えないらしく
他の子は私を気味悪がって逃げていった
ふん、根性のないヤツめ
知らん人間よりこの子を見てる方がよっぽど目の保養だ
むしろ退け
と、いうことで
今日も今日とて、私はその子に話しかけた
「ねー!今日の数学も訳分からなかった!」
「何がどう狂ったら将来苦手な図形を使う仕事に着くんだよ無理だろ……」
「ね?そう思うよね?」
……無言
だけど、それでいいのだ
「……やっぱり、私と話すの嫌?」
そう聞くと、驚いた目でこちらを見つめる
「……ふふ、なんてね」
「冗談だよ」
そう言って、笑う
つまらないと思っていた、高校生活に
美しすぎる華が出来たのだ
私はそれに、心の底から満足していた
さて、明日は何を話そうか
そう思って、今日も家に帰った
……ふむ
はて、困った困った
目の前のこいつが、邪魔だ
今日も私は私だけの華を見に行くんだそこを退け
なーんて、思っても無駄だ
どうやら目の前の男は
ミステリアスな私が好きらしい
随分な物好きだ
うん、まず誰だ君は
私は愛しの華に逢いに行くんだそこを退け轢き殺すぞおい
なーんて、思っても口にしない
したら、終わりだ
どうやって撒こうかな…
そう思っていると
ふと、背筋にひんやりとした感覚を覚えた
しかし、それは不快感なんてなくて
むしろ、安心感を得た気分だった
それを感じた瞬間、目の前の男の顔が真っ青になる
そして、逃げるように校舎に入っていった
ぷぷぷ、滑稽
さて、後ろを振り返りお礼を言わないと
恩を仇で返すなんて、そんなことしてはならない
と、思っていたのだけど
「……屋上で待ってる」
それだけ言うと、消えていく感覚
対する私は、こりゃビックリ
どタイプの声である
心の底に響くような、だけど決して不快感などはなく
むしろ、一生聞いていたいような感覚
って、だめだめ!!
私には愛しの華がいるの!
……でも、今日はもう授業なんて気分じゃないし
屋上でも行って、お礼を言いに行こう
がちゃ、と扉を開けて
強風に襲われる
うーん、やっぱり外の空気が好きだな
そう思って、辺りを見渡す
そこには、いつもの私の華が居た
「ねぇ、ここに誰か人来なかった?」
「私、その人にお礼言いたいんだ」
そう言うと、珍しく視線を合わせてくる
……ふむ、困った
顔面もタイプだこりゃ
結婚するか、うん
なんて思ってにやけてると
不機嫌な顔で、びっくりすることをした
「その人なら、俺で合ってる」
……え?
聞きたいと願っていた声
つまり……
「朝、私が絡まれてたの助けてくれたの、君?」
「そうだよ、君は俺のだから」
告白ありがとうございまーす!!
なんて、思っていられるかよ!!
え、なに?
好き
声良し、顔よし、どタイプの少年を前に
冷静で居られるとでも?
いや無理ですけど!?
「……というか君、喋れたんだ」
「いつも無視してるからてっきり嫌われてるかと……」
「……そんな訳、ない」
「俺、昔ここの生徒でさ」
「この目と髪のせいで、いじめられてさ」
「耐えられなくて、ここから飛び降りた」
「それから、幽霊になってここを彷徨ってる」
「誰も俺のことみてくれないんだ」
「そう思ってたのにさ」
「君が俺のこと見つけて」
「綺麗な髪と目だね、なんて褒めてくれるから」
「……まぁ、その」
「………一目惚れ、ってやつです、ハイ」
「それに、俺のこと見えるの君しか居なかったし」
……えっ、何この子
可愛い、好き、結婚したい
ま、まぁそれはそれとして
とりあえずお礼くらい言わないと
「それはそれとして」
「今日の朝はありがとうね、助かった」
「あと、私は君の声もタイプだよ」
君を掴もうとして、すり抜けた
「……だめ、俺は触れないの」
そう言って笑う顔が、もう可愛くて
「……君と結婚するために飛び降りたい」
なんて、正直に口にしてみた
「えっ、け、結婚…?」
「うん、結婚」
「人生の中で1番タイプ」
「大好きなんだよね、君のこと」
「……それでも、だめ」
「俺は君に、ここからちゃんと卒業して欲しい」
「えっ、嘘」
悔しい、結婚出来ないの!?
「……まぁ、それならそれでいいよ」
うん、それならそれでいい
たった今生涯独身を貫くと決めた
そして、この時間を大切にするから
…仕方ないから、それで満足する
「じゃあ、今の時間を大切にしないとね」
そう言って笑うも、相手は笑ってくれない
しばらく黙った後、君は言った
「…もし、誰とも結婚しないでこっちに来てくれたら」
「……その時は、考えてあげる」
はい言質取りました
私の勝ちだ
「……言ったね?私は君と結婚するよ」
そう言って、不敵に笑う
多分、今後の人生で君以上に好きになる人なんていない
私は何故か、そう思った
「そういえば君、名前は?」
いずれ結婚する人の名前だ
覚えておかねば
そして、愛情込めて呼んであげたい
「……冷夏」
「冷夏、ね」
「かっこいい名前だね」
「……そ、ありがと」
そう言って、2人で空を眺めた
その日は、夏にしては涼しく
空気がいつもより、澄んでいた気がした
あぁ、心が苦しい
幸せすぎて、このまま消えたいな
そう思って、隣を見つめる
大好きな、人
いずれ行ってあげるから
それまで少し、待っていてね
君以上に好きになる人間なんて
この世に存在するわけない
私には、その確信がある
あーあ
君が私だけに見えてよかった