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栄田鞠子(さかえだ まりこ)が
マッチングアプリで
中村翔貴(なかむら しょうき)と出会ったのは、
三ヶ月前のこと。
正直、栄田はマッチングアプリなんかで
理想の相手に出会えるなんて
思ってもいなかった。
中村と会ったのも
ただ単に誰かと一緒に
映画を観に行きたかったからだ。
だから、
中村に期待はしていなかった。
期待していなかったからこそ、
彼の完璧な振る舞いに
心惹かれてしまったのかもしれない。
栄田は会うたびに彼のことを
好きになっているのが、
自分でも手に取るようにわかっていた。
しかし、
好きになると同時に
不安も出てきた。
見た目も収入も
立ち居振る舞いも
申し分無い彼が
どうして
マッチングアプリなんてやっているのか。
悩みに悩んで
栄田は探偵に
身辺調査を頼むことにしたのだった。
結果は思いのほか早かった。
きっと何も無かったのだ。
そう思っていたのに───。
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星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
そう言ったのは
前回出迎えてくれた
笑顔の素敵な風都ではなく、
表情一つ変わらない
探偵─星崎だった。
しかも、
風都の姿は事務所に無く、
星崎と二人きり。
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
怒りを露わにする栄田に対して、
星崎は顔色一つ変えず
片手を上げて彼女の言葉を制した。
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
何か言い返してくるかと思ったが、
案外あっさり星崎は引き下がった。
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎のその言葉は
けして褒めているのではなく
皮肉であることを
栄田は感じ取っていた。
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
その言葉を聞いて、
栄田は少し複雑な表情を浮かべた。
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎は小さく首を傾げる。
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
虚を突かれたような言葉に
栄田は動揺を隠せなかった。
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎はどこまでも淡々と語る。
嘲笑うでも、
同情するでもなく。
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
その言葉で締めくくり、
報告書を差し出した。
栄田はそれを受け取り、
1枚1枚丁寧に捲っていく。
彼と関係を持っていた人物の名前は
黒く塗りつぶされていたが、
その横には行方不明の文字が並んでいた。
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
心の中を見透かされ、
栄田は驚いて顔を上げる。
目の前に座っている星崎は、
相変わらず無表情で
黒い瞳がじっとこちらを見つめていた。
その目に心の奥底まで
見透かされそうな気がして
栄田は視線をそらす。
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
星崎(ほしざき)
栄田(さかえだ)
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探偵事務所からの帰り道、
栄田の足取りは少し重かった。
何も無いと思っていたのに、
思わぬことが見つかってしまった。
栄田(さかえだ)
そんなことさえ思ってしまう。
栄田(さかえだ)
重いため息をこぼすと
スマホからポップな着信音が鳴った。
栄田(さかえだ)
栄田(さかえだ)
突然の誘い。
嬉しいはずなのに、
何故か、
背筋に冷たいものが走った。
栄田(さかえだ)
脳裏を過ったのは、
中村と楽しく鍋を囲む姿ではなく
行方不明
という無機質な文字。
栄田(さかえだ)
モヤモヤした気持ちを抱えながら、
栄田は冷たくなった指先で
返信のメッセージを送った。
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