先程まで騒がしく、賑わっていた廊下が、
突然、音を消す。
庵
庵は異変に気がつき、そのまま数分そこで待機する。
庵
庵
空き教室の時計に目をやり、「1-A」の教室の方へ走っていった。
庵
教室に入り、ある人物を確認して、庵は言った。
だが、応答は無い。
庵
一瞬不安な顔をするが、
庵
痺れを切らしたように言う。
庵
庵
珀
珀は目を開け、「やれやれ」といったように大袈裟に呆れる。
庵
珀
庵
庵
庵
庵
庵
珀
庵
もう何度目か分からない溜息を吐いた。
庵
珀
庵
珀
珀
珀
珀
庵
庵
珀
珀
庵
庵
珀
キッパリと珀は断言する。
庵
珀
珀
入口の方へ目を向ける。
釣られて、庵もその方向を見る。
──無数のドッペルゲンガーが、珀達を睨んでいた。
珀
珀
キラキラと輝く目で俺を見つめる。
庵
庵
遥斗
熱気と活気の立ちこめる体育館。
遥斗は影に身を潜めている。
遥斗
遥斗
冬華宮高等学校では、学科ごとにジャージの色が違う。
今、部活をやっているある生徒のジャージの色は、「青」
遥斗
確か、クラスごとに「○-○○」という刺繍があるはずだ。
遥斗
遥斗
「1-C」。
遥斗のクラスだった。
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗に似た赤髪を探すと……───。
大勢の生徒に囲まれて、困った顔をしているのは…。
遥斗のドッペルゲンガー
遥斗のドッペルゲンガー
周囲から、笑いが聞こえた。
遥斗
遥斗
「いじめ」の基準は分からない。
だが、これは間違いなく「嫌がらせ」だと直感する。
俺は、後先考えず飛び出す。
遥斗
遥斗
遥斗
そのまま、ドッペルゲンガーの元へ近付こうとした時。
ガンッ
バシャッ……
──ポタ
ポタ……
初めに感じたのは、激しい衝撃。
次に感じたのは、
冷たい、流れる、感覚だ。
遥斗
遥斗
奥から、大勢の笑い声が聞こえる。
その中には、
遥斗のドッペルゲンガーも居た。
遥斗
遥斗のドッペルゲンガー
遥斗のドッペルゲンガー
遥斗のドッペルゲンガー
遥斗
遥斗
遥か上の通路に、
彼は居た。
遥斗
遥斗のドッペルゲンガー
遥斗
それは、諦めか、呆れか。
遥斗
遥斗VS遥斗のドッペルゲンガー
「1-B」教室前
優
優
優
考えるだけで、身震いしてしまった。
その時、何やら大勢の足音がした。
優
幸い、教室の中には誰も居ない。
優は教室のドア付近に身を潜める。
優
優
生徒のドッペルゲンガーは一斉に隣の「1-A」の教室に向かっていく。
優
優
優
優
優
優
優
おそるおそる、ドアから顔を出すと───。
遠慮なしにドッペルゲンガーを「壊して」いる、
珀と庵が居た。
優
優
その時。
ヒュッ
優
ガンッ
音と共に来ると思われる衝撃に身を縮めるが、
何時まで経っても、その時は来ない。
優
恐怖で閉じられた目を開ける。
庵
優
優に向かって来た凶器を、庵が間一髪で受け止めていた。
庵
優
優
庵
庵
庵
優
優が、庵が見た方向に顔を向けると、
大勢のドッペルゲンガーの前に1人、
「緑髪の少年」が立っている。
優
優
─────次の瞬間。
庵
優
先輩が僕の方へ吹っ飛ばされて来た。
優
優
庵
庵
いつの間に体勢を立て直した先輩が言う。
優
優
庵
後方にいる、珀に向かって叫んだ。
庵
珀
優
優のドッペルゲンガー
優
優
優のドッペルゲンガー
優のドッペルゲンガー
優
優
珀、庵、優 VS優のドッペルゲンガー達
鮎
走る。
鮎
後ろを見れば、大勢の生徒が、私を追ってきていた。
鮎
───あの時。
鏡に引きずりこまれて、
周りの人間達はガラッと変わってしまったのかと思ったが、
鮎
鮎
行き着いた先は、「美術室」。
ガラッ
願わくばここに隠れようと、
すがる思いでドアを開けたが……。
鮎
中には、もう、人が居た。
削る何かを持って。
キャンバスを持って。
椅子を持って。
私は……ここで終わりなのかしら。
鮎
諦めの空気が漂う中だった。
穏やかな、優しい声がする。
鮎
鮎
直感する。
「この人は本物だ」と。
海月
海月
鮎
鮎
鮎
そう、私は逃げながらも寧々を探していたのだ。
海月
海月
鮎
海月
鮎
海月
海月
海月はそう言うと、美術準備室の方を指差す。
鮎
海月
鮎
そして、部屋に入り、鍵をかける。
海月
海月
海月
海月
海月
海月VSドッペルゲンガー
───私はずっと、独りだった。
…いつも、涙を流していた。
その度に、鏡を見る。
幸せな「私」が、映っていたからだ。
家族の作ってくれた、暖かいご飯を食べて、
勉強で分からないことがあったら気軽に質問できて。
そんな、「私」を見ていると、
私も、幸せな夢を見れると思ったんだ。
…でも。
足りない、足りなかったの。
愛が。
友が。
だから───。
…最低だ。
何かは分からない。
ただ、不意に明るくなった視界に驚き、
私は、思わず目を開けた。
「ここは─────」
……いつもの、教室だ。
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