俺
あーあ、着いちゃった。
俺
夜の学校の女子トイレ
の三番目…
の三番目…
俺
まるっきり花子さん
じゃん…
じゃん…
俺
でも警備会社務めだから
仕方ない。
仕方ない。
俺
物盗りや不審者の可能性
あるから
あるから
俺
調べない訳にも
いかないし…
いかないし…
俺
…俺は意を決して
俺
トイレのドアを開けた。
俺
…!?
俺
すると
俺
和式便所の水が
ゴボゴボと泡だち
ゴボゴボと泡だち
俺
中から爪のない真白な
女性の手が…
女性の手が…
俺
ギャーーーース!!
俺
やっぱり花子さ…
俺
………
俺
じゃないなコレ。
俺
まず大人だ。
俺
白ワンピだ。
俺
黒髪の長髪で顔が
良く見えない…って
良く見えない…って
俺
俺は彼女にいちおう
確認してみた。
確認してみた。
俺
貞子さんですよね?
貞子さん
そうですけど。
俺
いやいや、
俺
テレビっしょ?
俺
ここトイレっすよ?
貞子さん
あの、
貞子さん
テレビより感覚的に
井戸に近かったもの
ですから
井戸に近かったもの
ですから
貞子さん
つい…
俺
正直ガッカリっす。
俺
値打ち下がったと
言うか…
言うか…
俺
自分若手芸人っすか?
俺
出たくて出たくて
必死っすか?
必死っすか?
貞子さん
ああ、
貞子さん
別にそんなつもりは…
俺
そこは空気
読みましょうよ。
読みましょうよ。
俺
ここは花子さんが
出て来て
出て来て
俺
ギャースってとこじゃ
ないすか?
ないすか?
貞子さん
ああ、
貞子さん
すみません。
俺
彼女が生返事のように
謝ったので
謝ったので
俺
俺は更に続けた。
俺
絶対ダメっすよ、
トイレから出て来ちゃ!
トイレから出て来ちゃ!
俺
画面からズルズル
這い出してくるから
怖いのに
這い出してくるから
怖いのに
俺
縦方向によっこいせ
って出てきたら
って出てきたら
俺
「あ、こんちはー」
俺
って感じじゃないすか?
俺
あと
俺
せっかくのずぶ濡れ感も
俺
何だか汚らしく
なっちゃうし…
なっちゃうし…
貞子さん
あ、
貞子さん
あの!
貞子さん
けっして汚くは
ないです!
ないです!
貞子さん
見てください!
貞子さん
ほら、
貞子さん
白ワンピも
貞子さん
ねっ、ねっ?
貞子さん
何なら臭ってみて
ください!
ください!
俺
ああもうわかりました。
俺
わかりましたから…
俺
そこは必死になるんだ…
俺
…反省してますか?
貞子さん
はい!
貞子さん
もう二度と致しません。
俺
わかってもらえりや
べつにいいっす。
べつにいいっす。
俺
俺もあなたが憎くて
言ってる訳じゃなくて…
言ってる訳じゃなくて…
貞子さん
はい、
貞子さん
ありがとうございました
俺
……
俺
じゃ、俺行きますわ。
俺
さよなら。
俺
俺は軽く手を振って
女子トイレを出た。
女子トイレを出た。
俺
その途端
俺
ふいに
♪RRRR…
俺
携帯が鳴った。
俺
俺はハッとして
俺
今出たばかりの
女子トイレのほうを
振り向いた。
女子トイレのほうを
振り向いた。
俺
ドアの向こうから
俺
彼女の声が
聞こえてきた。
聞こえてきた。
貞子さん
今度は
貞子さん
一週間後
貞子さん
きちんとテレビから
出てきますね。
出てきますね。






