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おはぐろさんは私たちを見て睨んでいる。
真希
あやめ
真希
あやめ
真希
おはぐろさん
あやめ
私の体は急に動き出したかと思ったら、誰かの手に引っ張られ、そこから出た。
離れていく、おはぐろさん。
そう、引っ張ったのは真希の方だった。
廊下を走り抜け、女子トイレへと入る私たち。
私たちは目の前の物に絶望した。
真希
あやめ
真希
女子トイレにあった鏡はすべて黒い髪の毛によって包まれていた。
それに何やら蠢いている。
あやめ
真希
おはぐろさん
おはぐろさんはいつの間にか私たちの間に同じ目線で立っていた。
私たちは咄嗟に彼女から離れた。
しかしその勢いで私は腰が抜けてしまった。
しゃがみ込んだことはいいものの立つことができない。
真希
あやめ
真希
あやめ
真希
おはぐろさん
おはぐろさんの口元が笑っているかのように見える。
真希
真希は動き出したかと思ったら、私の前に立ってスマホを取り出した。
あやめ
真希
おはぐろさん
真希
私はその一言に自然と大きな涙がこぼれ出した。
まるで今まで何か貯めてたものを解放してしまったかのように。
真希
真希は後ろに手を差し伸べたかと思うと、私にそれを要求した。
真希
おはぐろさん
真希
真希は右手にライトを付けた自分のスマホを持ち、左手にある私のスマホに光を当てる。
そして私のスマホはおはぐろさんへと向けられていた。
そう、それは鏡を作り上げていた。
おはぐろさん
真希
あやめ
その言葉とともに、目の前のおはぐろさんの前髪が短くなり、顔が露わになった。
その姿は探していた母親そのものだった。
あやめ
真希
あやめ
記憶が再び戻された。
そう、あの後、SNSを通して真希に何度も何度も連絡して、お母さんとお父さんは二週間後に戻ってきたのだ。どうやら、夫婦喧嘩だったらしい。そして最後に二人で立ち寄った場所がこことも言っていた。
真希
おはぐろさん
真希
おはぐろさん
真希
あやめ
おはぐろさん
真希
あやめ
真希
おはぐろさん
真希
おはぐろさん
含み笑いと共におはぐろさんの顔にヒビが入ってきた。
そして過去に何が起きたのか、ゆっくり話し始めた。
それはそれは昔。
平安時代の頃の話。
おはぐろさんはいつものように身支度をしようと準備をしてた。
しかしその歯に塗るための黒い液体が入った壺がいつもの場所になかったらしい。
誰かに貸すということは出来ないみたい。
病になるから。
おはぐろさんは住んでいた屋敷を隅から隅へと探し回ったそう。
そして自分と仲良かった女友達に声をかけたらしいの。
「私のおはぐろはどこか知らない?」って感じで。
そしたらその女友達は「庭の井戸の縁に誰かが置いてたよ」って言ったらしいの。
もちろん、おはぐろさんは見に行ったわ。
しかしそこには何もなかったらしいの。
そして引き返そうと思ったおはぐろさんは回れ右をして後ろを振り返った時だった。
両肩をめがけて、誰かの伸びた両手にあたり、おはぐろさんは井戸の縁に強打してそのまま真っ逆さまに井戸へと落ちたらしいの。
幸いなことに彼女は頭から血を流してまでも冷たい水に体を浮かべて立つことは出来たみたい。
でも大きな衝撃と共におはぐろさんは亡くなっちゃったみたい。
彼女の頭にそれはそれは銀色に輝く、まるで鏡のような自分の姿を映す小さな物。
そう、彼女の頭の上に井戸の上から落とされた髪の毛を切るためのハサミが落とされてきたの。
ハサミを落としたのもおはぐろさんを突き落としたのも同じ人。
それはおはぐろさんの女友達、井戸にあると伝えてきた彼女だった。
だから仲良しは裏切るって言うために私たちの前に出てきたらしい。
これがおはぐろさんが言う、過去の真実だった。
おはぐろさんがすべてを話終えた時、彼女の顔のヒビは全て割れ、本物の顔が露わになった。
それは絶世の美女とも言えるほど美しかった。
おはぐろさん
真希
おはぐろさん
彼女の体に光が包み込まれる。
おはぐろさん
真希
おはぐろさん
まるでそのおはぐろさんの笑顔は暗い雨が降った雲から姿を現した太陽のように輝いていた。
そしておはぐろさんは消えてしまった。
つまり全て終わった。
真希
あやめ
真希
あやめ
真希
真希は私に手を差し伸べた。
それを取り、私も立ち上がる。
あやめ
真希
あやめ
私たちは女子トイレを出て、私が最初に夢から覚めた教室にいた。
あやめ
真希
あやめ
真希
あやめ
真希
真希の体がなぜか、おはぐろさんが消えた時のように光に包まれる。
あやめ
真希
あやめ
真希
体がポカポカしてきた。
頭がくらっとする。
ものすごい眠気に襲われる。
私は近くの机に座って体を前に倒した。
真希
あやめ
真希
もうダメだ。
暗い世界が続く。
開けよ、バカ。