ふぅ……
仕事が終わって、やっと帰れるって時。
相変わらず人通りの多い街に嫌気がさして、逃げるように路地裏に入り込んだ。
やっと静かな所に来れた…
そこで少しだけ休んでいこうとしたその時、
急に、身体に力が入らなくなった
え_
どうすることもできずに、そのまま地面に倒れ込みそうになったんだ。
?
!?危ないっ!
誰かの叫ぶ声が聞こえて、やばい、と思った
それから地面が目の前まで迫ってきて、ぎゅっと目を瞑った。
っあ、れ…?
倒れたはずなのに衝撃を感じなくて、驚いて目を開けたら
?
ふぅ…ギリギリセーフ、かな?
俺は知らない人に支えられていた
あ、ごめん、なさいっ、!
慌てて顔を上げようとした時、その人は俺の頭を押さえた
んっ、!?
?
大丈夫ですから、そのまま居てください。
?
きっと疲労が溜まってるんです。今はゆっくり休んでください
ぇ、でも、
?
俺は大丈夫ですから。
あ、じゃあ、お言葉に甘えて、
?
はい。
?
……今は、鍛えてないんだねぇ、
え、?
?
…ふはっ。いえ、こちらの話です
?
気にしないで、今は休んでて?
?
……岩本、照さん
え、名前…
?
おやすみなさい。
あ、え、
どういう、………
その人が「おやすみなさい」と告げた瞬間、急に眠気が襲ってきて
俺の意識はそこで途切れた。
今まで、疲れてても眠いとか思うことはなかったのに。
そして、次の日の朝、目が覚めた時には自分の家にいた。
昨日のあれは夢だったんじゃないかとか、寝ぼけてただけなんじゃないかとか色々考えたけど、
枕元にあった「どうかお元気で。」というメモと一輪の花を見て、やっぱり夢じゃないんだって気づいた。
眠る前、俺が最後に見たのは、
哀しそうな顔で静かに涙を流す、
その人の姿だった。
?
……大丈夫、絶対に俺が助けるからね
?
君の、君達の苦しみは、俺が全部取り払ってあげる
?
例え何に変えても、みんなだけは……
ああ、そっかぁ、
そうだったね……
俺達って、ほんと馬鹿だなぁ……っ
アイツはずっと苦しんでるのに
結局いつも気づいてやれなかった……っ
なんでだろうね、
なんでだと思う?
ねぇ、『__』……っ
?
え、?
?
なになに、急にどうしちゃったのぉ?笑
?
死ぬの怖いー?
怖くなんかないよ、笑
むしろ、嬉しいまであるかも、
?
まじで?今まで相当苦しかったんだね…可哀想に
はは、可哀想、か、
その言葉を送るべきは、俺じゃないよ
?
えー?じゃ誰?
…それは、俺からは言えない
思い出すまで、待ってみな
?
なーんでよ、ケチ!
俺のことはなんとでも言ってろ笑
……あーでも、最後に謝りたかったなぁ。
?
遺言なら聞くよ?
ははっ。いいよ、自分で言う
?
え?どういう…
ほら、早く殺りな?俺を殺らないとお前が殺られるんでしょ?
ねぇ、『佐久間』……
にゃは、覚えてたんだぁ
それじゃ、遠慮なく殺っちゃうね!
さよなら、岩本さん♪
グサ……ッ
っ……ごめんね、ありがとう
みんな……