それから月日は流れ 朝日と若葉の結婚式当日となった
式場となっているホテル メルパルコ東京のロビーでは
式場スタッフと式の 打ち合わせをする朝日の姿があった
式場スタッフ
段取りで
潤間朝日
潤間朝日
七星響樹
潤間朝日
敷島さん!
潤間朝日
ありがとうな
敷島雅
決まってるじゃん
潤間朝日
七星響樹
潤間朝日
潤間朝日
終わるんじゃないかな?
朝日たちが会話をしていると スタッフが小走りで近づいてくる
式場スタッフ
式場スタッフ
無事に整いましたので
式場スタッフ
潤間朝日
潤間朝日
敷島雅
していいんですか?
式場スタッフ
式場スタッフ
式場スタッフ
皆はスタッフに促され 控室へ入っていく
控室室にはすでに ウエディングドレスを着た若葉が ドレッサーの前に座っていた
桃山飛鳥
灰島ひかり
七星響樹
ひかりちゃん!
七星響樹
潤間朝日
くらい来てくれたんだ
桃山飛鳥
ほら!朝日さん
桃山飛鳥
上げてくださいよ
灰島ひかり
ひかりが朝日の背中を押す
潤間朝日
潤間朝日
桃山飛鳥
灰島ひかり
見せてあげな?
二人の言葉に若葉は 黙ってうなずいて椅子から 立ち上がりゆっくりと振り返る
潤間若葉
潤間若葉
若葉は頬を赤く染めて 朝日に問いかける
潤間朝日
潤間朝日
潤間若葉
若葉は安心した様に微笑む
式場スタッフ
式場スタッフ
なりますので
式場スタッフ
潤間朝日
潤間朝日
準備があるから
潤間朝日
七星響樹
それから朝日と若葉は 挙式のために控室を出ていく
それから皆は挙式までの時間 ロビーで談笑していた
桃山飛鳥
教頭見たんですけど
桃山飛鳥
悪かったんですよね
桃山飛鳥
七星響樹
響樹は薄ら笑いを浮かべる
灰島ひかり
七星響樹
どうしてもって言われて
七星響樹
歩くんだってさ
桃山飛鳥
敷島雅
頼み込んだって話よ
灰島ひかり
数ヶ月前
暁月富士男
潤間若葉
潤間若葉
一緒に歩きたいんです
暁月麗
暁月麗
暁月富士男
歩いた事ないしなぁ
暁月富士男
暁月麗
暁月麗
出てくるんだから!
暁月富士男
暁月麗
歩きたいって
言ってくれてるんだから
暁月麗
潤間若葉
潤間若葉
お父さんだって
思ってるので
潤間若葉
潤間若葉
若葉は目を潤ませる
暁月富士男
暁月富士男
暁月富士男
暁月富士男
潤間若葉
暁月富士男
暁月富士男
歩きたいって
暁月富士男
ないかって
暁月富士男
居たんだよな
潤間若葉
暁月富士男
プレッシャーに
なるかもしれないから
暁月富士男
暁月麗
渋ったのよ
暁月富士男
言われたら何か
テンパってなぁ
暁月富士男
暁月麗
暁月富士男
潤間若葉
くれるんですか?
暁月富士男
暁月富士男
もあるよ・・・
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
若葉は富士男に抱きつく
暁月富士男
初めてをもらった
潤間若葉
暁月富士男
暁月富士男
そう呼んでもらえた
暁月富士男
バージンロードだ
暁月富士男
叶わなかった事だ
暁月富士男
富士男は若葉の頭を優しく撫でる
灰島ひかり
桃山飛鳥
してるんだろ?
七星響樹
暁月麗
してきたそうよ
そこに麗がやって来る
七星響樹
七星響樹
敷島雅
暁月麗
良かったわ
八雲賢斗
七星響樹
久しぶり〜♬
八雲賢斗
八雲賢斗
七星響樹
八雲賢斗
椿茉莉奈
いじられキャラが
似合ってるわね
桃山飛鳥
明日香は茉莉奈に抱きつく
八雲賢斗
似た様なモンでしょ
椿茉莉奈
八雲賢斗
八雲賢斗
敷島雅
椿茉莉奈
ある人が良いわね
灰島ひかり
八雲賢斗
人気なんだけどな・・
七星響樹
キャラとしてだろ
八雲賢斗
こと言わない!
暁月麗
暁月麗
向かいましょうか
七星響樹
式場の祭壇の前にはすでに 朝日が待機していた
潤間朝日
すると式場内に ウエディングマーチが鳴り響く
式場スタッフ
式場スタッフ
お父様とご一緒に
式場スタッフ
式場スタッフ
新婦様をお迎えしましょう
式場スタッフの アナウンスに合わせて 皆が拍手喝采で 若葉と富士男を迎える
潤間若葉
暁月富士男
バージンロードを 歩く若葉と富士男
しかし富士男は緊張しているのか 産まれて初めの 歩行なのかと言わんばかりに ぎこちない歩き方をしている
暁月麗
暁月麗
七星響樹
緊張してんじゃん
敷島雅
桃山飛鳥
灰島ひかり
神父は二人が揃うと 誓いの言葉を読み上げる
神父
神父
神父
富める時も貧しき時も
神父
健やかなる時も
神父
神父
死が二人を
分かつまで愛を誓い
神父
妻のみに添うことを
神父
契約のもとに誓いますか?
潤間朝日
神父は誓いの言葉を 読み上げていく
神父
夫のみに添うことを
神父
契約のもとに誓いますか?
潤間若葉
そして挙式は順調に進行していき 指輪交換を終えて 誓いのキスへと進む
神父
神父
神父
潤間朝日
潤間若葉
朝日と若葉は向かい合い 朝日はベールを優しくあげ 誓いのキスをする
すると響樹が立ち上がる
七星響樹
七星響樹
逃したからよ
七星響樹
潤間朝日
敷島雅
敷島雅
敷島雅
潤間若葉
潤間若葉
若葉は目を瞑る
潤間朝日
神父
神父は予想外の事態に 呆気に取られた様な顔をしている
潤間朝日
すげー顔してるな)
神父
潤間朝日
あいつが──
神父
誓いのキスを!
潤間朝日
神父
誓いのキスを!
潤間朝日
潤間朝日
朝日は再び誓いのキスをする
七星響樹
七星響樹
また逃したぁ
潤間朝日
二人のやり取りに 式場が笑いに包まれる
七星響樹
七星響樹
いっぱいキス出来て
内心嬉しいだろ?
潤間朝日
七星響樹
見てみろよ
七星響樹
潤間若葉
若葉は目を閉じて 朝日のキスを待つ
潤間朝日
怒ってないかな?)
朝日は恐る恐る 神父の方に視線を移す
神父
神父
神父
神父は笑いを堪えている
潤間朝日
この人は)
潤間若葉
潤間朝日
朝日はみたび誓いのキスをする
式場スタッフ
式場スタッフ
勤めて参りましたが
式場スタッフ
3回あった挙式は
初めてです
進行役のスタッフの言葉で 再び式場が笑いに包まれる
それから誓いのキスが 三度行われるという 異例の挙式は終わりを迎え
結婚式は披露宴の時間となった
披露宴は雅とひかりの 乾杯の挨拶と共にスタートし
皆は新郎新婦と楽しげに談笑しながら コース料理に舌鼓を打つ
潤間朝日
潤間朝日
辞めろよな
七星響樹
潤間朝日
潤間朝日
七星響樹
七星響樹
嬉しかっただろ?
潤間朝日
ないんだよ!
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
ヒヤヒヤもんだったわ
敷島雅
桃山飛鳥
あるらしいですよ
桃山飛鳥
桃山飛鳥
潤間若葉
七星響樹
七星響樹
取り入れたかったんだよ
七星響樹
敷島雅
雅は響樹の頭を叩く
灰島ひかり
笑ってましたよね
潤間朝日
潤間朝日
笑い堪えてたからな
潤間朝日
言って(笑)
桃山飛鳥
思い出には
なりましたよね
七星響樹
七星響樹
忘れられない思い出を
提供した訳だ!うんうん
敷島雅
敷島雅
コイツ調子に乗るからね
潤間朝日
結婚するときは
潤間朝日
七星響樹
敷島雅
それから披露宴はケーキ入刀 ファーストバイト キャンドルサービスと続いていき
若葉はお色直しのために一旦退出し 再び披露宴会場に入場して来る
披露宴が中盤を過ぎた頃 式場スタッフがマイクを持ち喋り出す
式場スタッフ
差し掛かりました
式場スタッフ
潤間若葉様より
式場スタッフ
式場スタッフ
お手紙の朗読が行われます
式場スタッフ
そして温かい目で
式場スタッフ
お願い致します
式場スタッフのアナウンスで 皆が静まりかえる
式場スタッフ
式場スタッフ
潤間若葉
若葉はスタッフに促されて マイクの前に立つ
潤間若葉
潤間若葉
若葉は深呼吸をする
暁月富士男
暁月麗
富士男と麗はそんな若葉を 温かな眼差しで見つめる
BGMがフェードアウトし 会場は静寂に包まれる
そして若葉の手紙の朗読が始まる
潤間若葉
潤間若葉
家族はいません
暁月富士男
潤間若葉
病気で亡くなり
潤間若葉
過労で亡くなり
潤間若葉
刑務所に入りました
暁月麗
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
言ってくれて
潤間若葉
大好きなお兄ちゃん
潤間朝日
潤間若葉
七星響樹
敷島雅
潤間若葉
寄り添ってくれた親友
桃山飛鳥
灰島ひかり
潤間若葉
救ってくれた恩師
椿茉莉奈
八雲賢斗
潤間若葉
潤間若葉
本当の息子娘の様に
潤間若葉
富士男さんと麗さん
暁月富士男
暁月麗
潤間若葉
支えてくれた
人たちが居るから
潤間若葉
潤間若葉
迎える事ができました
潤間若葉
潤間若葉
とっても幸せです
潤間朝日
潤間朝日
潤間若葉
今まで以上の
困難や苦悩が
潤間若葉
かもしれません
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
暁月富士男
暁月麗
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
見守って下さい
暁月富士男
暁月麗
暁月麗
暁月麗
感動と涙に包まれた披露宴は こうして幕を下ろした
それから3年が経過し
朝日と若葉の間には 待望の一人娘が誕生していた
さくらと名付けられた娘は 朝日、若葉、富士男、麗から 愛情を注がれ すくすくと成長していた
潤間さくら
潤間さくら
暁月麗
暁月麗
会いたかったわよ
暁月富士男
潤間朝日
暁月富士男
暁月麗
お墓参りなのよね?
潤間朝日
潤間朝日
命日ですからね
潤間若葉
さくらを見せて
あげたいですから
暁月富士男
きっと喜ぶよ
それから朝日と若葉は 芙蓉が眠る墓地へとやって来た
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
大きくなったよ
潤間さくら
潤間朝日
潤間若葉
潤間朝日
ホント大変なんだな
潤間朝日
てんやわんやでさ
潤間朝日
母さんの偉大さを痛感した
潤間若葉
潤間若葉
お母さん出来てるかな?
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
偉大なお母さんを
目指すから
潤間若葉
見守っててね
潤間さくら
潤間朝日
潤間さくら
おはなししてるの?
潤間朝日
潤間若葉
潤間若葉
眠ってるんだよ
潤間さくら
潤間さくら
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
ばあばが居たんだよ
潤間さくら
潤間朝日
死んじゃったんだ
潤間さくら
潤間さくら
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
育ててくれたんだ
潤間さくら
潤間さくら
会いたかったなぁ
潤間若葉
潤間さくら
潤間朝日
潤間さくら
居たんなら
潤間さくら
居たの?
潤間朝日
潤間若葉
潤間さくら
会って観たいなぁ
潤間さくら
潤間朝日
潤間若葉
潤間若葉
潤間朝日
するとそこに
潤間大和
潤間朝日
潤間若葉
大和がやって来る
潤間朝日
潤間大和
潤間大和
命日だからな・・・
そう言う大和の手には トルコキキョウの 花束が握られていた
潤間朝日
潤間さくら
潤間さくら
潤間朝日
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
潤間朝日
潤間大和
大和の目から大量の 涙が溢れ出る
潤間さくら
さくらは満面の笑みで 大和に近づいていく
潤間さくら
潤間大和
大和はどう受け答え するのが最適なのか 答えを導き出せずに その場から立ち去ろうとする
潤間朝日
潤間朝日
潤間大和
潤間朝日
潤間朝日
この場にいたら
潤間朝日
したと思うからさ
潤間大和
潤間さくら
さくらは大和の足に抱きつく
潤間大和
大和は涙を流し 時折嗚咽まじりに号泣しながら さくらを力強く抱きしめる
潤間大和
抱きしめるなんて
潤間大和
潤間朝日
潤間若葉
潤間大和
資格は無いと
潤間大和
潤間大和
潤間さくら
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
完璧には許せない
潤間朝日
潤間朝日
潤間大和
潤間若葉
潤間大和
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
潤間さくら
潤間さくら
潤間若葉
潤間若葉
潤間大和
大和は若葉に手を引かれ歩き出す
芙蓉が眠る墓石では
心なしか微笑んでいる様に見える 女性の影がゆらゆらと動いていた
END







