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それから月日は流れ 朝日と若葉の結婚式当日となった

式場となっているホテル メルパルコ東京のロビーでは

式場スタッフと式の 打ち合わせをする朝日の姿があった

式場スタッフ

では今のような
段取りで

潤間朝日

はい

潤間朝日

お願いします

七星響樹

よう!朝日!

潤間朝日

おお!響樹に
敷島さん!

潤間朝日

今日は来てくれて
ありがとうな

敷島雅

バッチリ
決まってるじゃん

潤間朝日

あはは、ありがとう

七星響樹

てか若葉ちゃんは?

潤間朝日

今はドレスの着付けだよ

潤間朝日

多分もうそろそろ
終わるんじゃないかな?

朝日たちが会話をしていると スタッフが小走りで近づいてくる

式場スタッフ

新郎様

式場スタッフ

新婦様のドレスが
無事に整いましたので

式場スタッフ

どうぞ控室へ

潤間朝日

ありがとうございます

潤間朝日

終わったってさ

敷島雅

私たちもご一緒
していいんですか?

式場スタッフ

はい、もちろんです

式場スタッフ

ご案内いたします

式場スタッフ

こちらへどうぞ

皆はスタッフに促され 控室へ入っていく

控室室にはすでに ウエディングドレスを着た若葉が ドレッサーの前に座っていた

桃山飛鳥

あ!朝日さん!

灰島ひかり

来ましたね!

七星響樹

あ、飛鳥ちゃんに
ひかりちゃん!

七星響樹

もう来てたのか

潤間朝日

二人が来る一時間前
くらい来てくれたんだ

桃山飛鳥

そんな事より
ほら!朝日さん

桃山飛鳥

若葉何か言って
上げてくださいよ

灰島ひかり

ほらほら

ひかりが朝日の背中を押す

潤間朝日

あ、ああ・・・

潤間朝日

そうだな・・・

桃山飛鳥

ほら若葉!

灰島ひかり

朝日さんに
見せてあげな?

二人の言葉に若葉は 黙ってうなずいて椅子から 立ち上がりゆっくりと振り返る

潤間若葉

ど、どうかな?

潤間若葉

に、似合ってる?

若葉は頬を赤く染めて 朝日に問いかける

潤間朝日

す、凄く似合ってるよ!

潤間朝日

綺麗だよ・・若葉

潤間若葉

えへへ・・よかった

若葉は安心した様に微笑む

式場スタッフ

では新郎様、新婦様

式場スタッフ

そろそろお時間と
なりますので

式場スタッフ

こちらへ

潤間朝日

はい

潤間朝日

なら俺たちは
準備があるから

潤間朝日

先に行ってるわ

七星響樹

おう!

それから朝日と若葉は 挙式のために控室を出ていく

それから皆は挙式までの時間 ロビーで談笑していた

桃山飛鳥

というかさっき
教頭見たんですけど

桃山飛鳥

かなり顔色
悪かったんですよね

桃山飛鳥

何かあったのかな?

七星響樹

ああ・・それね

響樹は薄ら笑いを浮かべる

灰島ひかり

ん?どうしたんです?

七星響樹

なんでも若葉ちゃんから
どうしてもって言われて

七星響樹

バージンロード
歩くんだってさ

桃山飛鳥

ああ、それでか

敷島雅

若葉ちゃんが相当
頼み込んだって話よ

灰島ひかり

え?そうなんですか?

数ヶ月前

暁月富士男

バ、バージンロード!?

潤間若葉

はい・・・

潤間若葉

富士男さんと
一緒に歩きたいんです

暁月麗

あらまぁ

暁月麗

ありがたいじゃない

暁月富士男

い、いやぁ、その
歩いた事ないしなぁ

暁月富士男

どうすればいいか・・

暁月麗

そんな調べなさいよ

暁月麗

今は調べたら何でも
出てくるんだから!

暁月富士男

まぁ、そうだけど

暁月麗

若葉ちゃんか一緒に
歩きたいって
言ってくれてるんだから

暁月麗

ね?若葉ちゃん

潤間若葉

はい

潤間若葉

富士男さんは私の
お父さんだって
思ってるので

潤間若葉

一緒に歩きたいんです

潤間若葉

ダ、ダメですか?

若葉は目を潤ませる

暁月富士男

だぁー分かった!

暁月富士男

分かったから!

暁月富士男

一緒に歩くよ!

暁月富士男

バージンロード!

潤間若葉

え?いいんですか!?

暁月富士男

まぁ、本音を言うとな

暁月富士男

若葉だったら一緒に
歩きたいって

暁月富士男

言ってくれるんじゃ
ないかって

暁月富士男

期待してる自分も
居たんだよな

潤間若葉

富士男さん・・・

暁月富士男

けど俺から言うと
プレッシャーに
なるかもしれないから

暁月富士男

言い出せなかったんだよ

暁月麗

ならなんでさっき
渋ったのよ

暁月富士男

い、いやぁ、実際に
言われたら何か
テンパってなぁ

暁月富士男

あはは・・・

暁月麗

かぁ〜面倒くさっ

暁月富士男

面倒くさいとか言うな

潤間若葉

なら一緒に歩いて
くれるんですか?

暁月富士男

ああ・・・

暁月富士男

喜んで歩かせて
もあるよ・・・

潤間若葉

やったー♬

潤間若葉

ありがとう♬

潤間若葉

お父さん♬

若葉は富士男に抱きつく

暁月富士男

君ら兄妹には様々な
初めてをもらった

潤間若葉

初めて?

暁月富士男

君らのような子供が出来て

暁月富士男

お父さん、お母さんと
そう呼んでもらえた

暁月富士男

そして次は
バージンロードだ

暁月富士男

俺たち夫婦じゃ
叶わなかった事だ

暁月富士男

ありがとうな若葉

富士男は若葉の頭を優しく撫でる

灰島ひかり

なるほど

桃山飛鳥

でも何で具合悪そうに
してるんだろ?

七星響樹

さぁ・・何でだろうな

暁月麗

直前になって緊張
してきたそうよ

そこに麗がやって来る

七星響樹

あ、奥さん

七星響樹

ご無沙汰っス

敷島雅

お久しぶりです

暁月麗

みんな元気そうで
良かったわ

八雲賢斗

俺たちも居るからな

七星響樹

お!グモッチじゃん
久しぶり〜♬

八雲賢斗

言っとくけどな?

八雲賢斗

一応年上なんだけど?

七星響樹

あれ?そうだっけ?

八雲賢斗

おい!

椿茉莉奈

ホント八雲先生は
いじられキャラが
似合ってるわね

桃山飛鳥

あ!茉莉ちゃーん❤︎

明日香は茉莉奈に抱きつく

八雲賢斗

椿先輩だって
似た様なモンでしょ

椿茉莉奈

なんですって?

八雲賢斗

何でもありませんです

八雲賢斗

はい・・・

敷島雅

なんな夫婦みたい

椿茉莉奈

私はもっと頼り甲斐が
ある人が良いわね

灰島ひかり

言われてますよ

八雲賢斗

これでも生徒からは
人気なんだけどな・・

七星響樹

そりゃいじられ
キャラとしてだろ

八雲賢斗

そこ!余計な
こと言わない!

暁月麗

さぁ!そろそろ時間よ

暁月麗

私たちも式場に
向かいましょうか

七星響樹

そうっスね

式場の祭壇の前にはすでに 朝日が待機していた

潤間朝日

・・・・・

すると式場内に ウエディングマーチが鳴り響く

式場スタッフ

それでは皆様

式場スタッフ

新婦、潤間若葉様が
お父様とご一緒に

式場スタッフ

バージンロードを進みます

式場スタッフ

盛大なる拍手で
新婦様をお迎えしましょう

式場スタッフの アナウンスに合わせて 皆が拍手喝采で 若葉と富士男を迎える

潤間若葉

・・・・・

暁月富士男

・・・・・

バージンロードを 歩く若葉と富士男

しかし富士男は緊張しているのか 産まれて初めの 歩行なのかと言わんばかりに ぎこちない歩き方をしている

暁月麗

はぁ〜・・・

暁月麗

あの人ったら・・・

七星響樹

めっちゃ
緊張してんじゃん

敷島雅

ふふふ

桃山飛鳥

若葉!綺麗だよ!

灰島ひかり

素敵だよ!若葉!

神父は二人が揃うと 誓いの言葉を読み上げる

神父

汝、潤間朝日は──

神父

潤間若葉を妻とし

神父

良き時も悪き時も
富める時も貧しき時も

神父

辞める時も
健やかなる時も

神父

共に歩き

神父

他の者に依らず
死が二人を
分かつまで愛を誓い

神父

妻を想い
妻のみに添うことを

神父

神聖なる婚姻の
契約のもとに誓いますか?

潤間朝日

はい!誓います!

神父は誓いの言葉を 読み上げていく

神父

夫を想い
夫のみに添うことを

神父

神聖なる婚姻の
契約のもとに誓いますか?

潤間若葉

はい!誓います!

そして挙式は順調に進行していき 指輪交換を終えて 誓いのキスへと進む

神父

では──

神父

ベールをあげてください

神父

誓いの口付けを

潤間朝日

はい!

潤間若葉

はい!

朝日と若葉は向かい合い 朝日はベールを優しくあげ 誓いのキスをする

すると響樹が立ち上がる

七星響樹

ごめーん朝日

七星響樹

シャッターチャンス
逃したからよ

七星響樹

もう一回誓いのキス頼むわ

潤間朝日

なっ、お前っ!

敷島雅

こんな神聖な場で

敷島雅

あんた何言ってんのよ

敷島雅

バカじゃないの

潤間若葉

朝日・・もう一回だって

潤間若葉

はい!

若葉は目を瞑る

潤間朝日

若葉・・・

神父

・・・・・

神父は予想外の事態に 呆気に取られた様な顔をしている

潤間朝日

(神父さん・・・
すげー顔してるな)

神父

コ、コホン──

潤間朝日

あ、すいません
あいつが──

神父

もう一度
誓いのキスを!

潤間朝日

え?

神父

もう一度
誓いのキスを!

潤間朝日

は、はい・・・

潤間朝日

わかりました・・・

朝日は再び誓いのキスをする

七星響樹

あーしまったー

七星響樹

シャッターチャンス
また逃したぁ

潤間朝日

もういいわ!

二人のやり取りに 式場が笑いに包まれる

七星響樹

いいじゃねーかよ

七星響樹

お前も若葉ちゃんと
いっぱいキス出来て
内心嬉しいだろ?

潤間朝日

あのなぁ・・

七星響樹

ほら!若葉ちゃんを
見てみろよ

七星響樹

朝日のキス待ってるぞ

潤間若葉

・・・・

若葉は目を閉じて 朝日のキスを待つ

潤間朝日

(神父さん
怒ってないかな?)

朝日は恐る恐る 神父の方に視線を移す

神父

も、もう一度・・

神父

ぷっ、誓いのキスを

神父

フンゴッ・・

神父は笑いを堪えている

潤間朝日

(何を笑ってんだよ
この人は)

潤間若葉

早く・・来てよ

潤間朝日

わ、わかったよ・・・

朝日はみたび誓いのキスをする

式場スタッフ

コ、コホン

式場スタッフ

私も長年この式場で
勤めて参りましたが

式場スタッフ

誓いのキスが
3回あった挙式は
初めてです

進行役のスタッフの言葉で 再び式場が笑いに包まれる

それから誓いのキスが 三度行われるという 異例の挙式は終わりを迎え

結婚式は披露宴の時間となった

披露宴は雅とひかりの 乾杯の挨拶と共にスタートし

皆は新郎新婦と楽しげに談笑しながら コース料理に舌鼓を打つ

潤間朝日

あのなぁ響樹

潤間朝日

ああいうノリ
辞めろよな

七星響樹

何がだよ?

潤間朝日

しらばっくれんなよ

潤間朝日

誓いのキスの事だよ

七星響樹

ああ・・あれね

七星響樹

でもいっぱいキス出来て
嬉しかっただろ?

潤間朝日

そういう問題じゃ
ないんだよ!

潤間朝日

神父さんが

潤間朝日

「神への冒涜だ」

潤間朝日

とか言って怒らないか
ヒヤヒヤもんだったわ

敷島雅

ほんとそれ!

桃山飛鳥

でも海外とかでは
あるらしいですよ

桃山飛鳥

Encoreeとか

桃山飛鳥

one moreとか言って

潤間若葉

あ、そうなんだ

七星響樹

そうそう

七星響樹

俺は欧米式を
取り入れたかったんだよ

七星響樹

うんうん

敷島雅

たまたまでしょ!

雅は響樹の頭を叩く

灰島ひかり

でも神父さん確実に
笑ってましたよね

潤間朝日

そうなんだよ!

潤間朝日

怒るどころか
笑い堪えてたからな

潤間朝日

フンゴッとか
言って(笑)

桃山飛鳥

まぁ、でも良い
思い出には
なりましたよね

七星響樹

だろ?そう思うよな?

七星響樹

俺ら二人に
忘れられない思い出を
提供した訳だ!うんうん

敷島雅

ひかりちゃん?

敷島雅

あまんまり言うと
コイツ調子に乗るからね

潤間朝日

響樹と敷島さんが
結婚するときは

潤間朝日

4回させてやるからな

七星響樹

是非是非♬喜んで♬

敷島雅

バカ!

それから披露宴はケーキ入刀 ファーストバイト キャンドルサービスと続いていき

若葉はお色直しのために一旦退出し 再び披露宴会場に入場して来る

披露宴が中盤を過ぎた頃 式場スタッフがマイクを持ち喋り出す

式場スタッフ

さて、披露宴も終盤に
差し掛かりました

式場スタッフ

ここで新婦
潤間若葉様より

式場スタッフ

参列されている方々へ

式場スタッフ

感謝の気持ちを込めた
お手紙の朗読が行われます

式場スタッフ

皆様、どうかお静かに
そして温かい目で

式場スタッフ

お見守りくださいますよう
お願い致します

式場スタッフのアナウンスで 皆が静まりかえる

式場スタッフ

では、新婦様

式場スタッフ

こちらへどうぞ

潤間若葉

は、はい・・・

若葉はスタッフに促されて マイクの前に立つ

潤間若葉

すぅー・・・

潤間若葉

ふぅー・・・

若葉は深呼吸をする

暁月富士男

(若葉・・・)

暁月麗

(若葉ちゃん・・・)

富士男と麗はそんな若葉を 温かな眼差しで見つめる

BGMがフェードアウトし 会場は静寂に包まれる

そして若葉の手紙の朗読が始まる

潤間若葉

今ここに──

潤間若葉

私の血の繋がった
家族はいません

暁月富士男

・・・・・

潤間若葉

産みの母は
病気で亡くなり

潤間若葉

二人目の母も
過労で亡くなり

潤間若葉

父は警察に逮捕され
刑務所に入りました

暁月麗

・・・・・

潤間若葉

ですが私は幸せです

潤間若葉

血の繋がりは無くても

潤間若葉

私を好きだと
言ってくれて

潤間若葉

ずっと支えて来てくれた
大好きなお兄ちゃん

潤間朝日

・・・・・

潤間若葉

そんなお兄ちゃんの友達

七星響樹

・・・・・

敷島雅

・・・・・

潤間若葉

私の全てを知っても
寄り添ってくれた親友

桃山飛鳥

・・・・・

灰島ひかり

・・・・・

潤間若葉

私たち兄妹を
救ってくれた恩師

椿茉莉奈

・・・・・

八雲賢斗

・・・・・

潤間若葉

そして──

潤間若葉

他人である私たちを
本当の息子娘の様に

潤間若葉

愛して育ててくれた
富士男さんと麗さん

暁月富士男

ぐすっ・・・

暁月麗

ぐすっ・・・

潤間若葉

無償の愛で私たちを
支えてくれた
人たちが居るから

潤間若葉

今の私たちがあり

潤間若葉

こうして結婚式を
迎える事ができました

潤間若葉

だから・・ぐすっ

潤間若葉

私は今・・・
とっても幸せです

潤間朝日

若葉・・・

潤間朝日

ぐすっ・・・

潤間若葉

私たちにはこれから
今まで以上の
困難や苦悩が

潤間若葉

待ち構えている
かもしれません

潤間若葉

ですが──

潤間若葉

私たちなら乗り越えられる

潤間若葉

心からそう信じています

潤間若葉

そして──

潤間若葉

お父さん、お母さん

暁月富士男

若葉・・・

暁月麗

ぐすっ・・・

潤間若葉

私たちを愛してくれて

潤間若葉

ありがとうございます

潤間若葉

これからも私たちを
見守って下さい

暁月富士男

ああ・・・

暁月麗

もちろんよ

暁月麗

若葉ちゃん

暁月麗

ぐすっ・・・

感動と涙に包まれた披露宴は こうして幕を下ろした

それから3年が経過し

朝日と若葉の間には 待望の一人娘が誕生していた

さくらと名付けられた娘は 朝日、若葉、富士男、麗から 愛情を注がれ すくすくと成長していた

潤間さくら

じいじ、ばあば

潤間さくら

会いに来たよ

暁月麗

いやぁ、さくらちゃん

暁月麗

おばあちゃんも
会いたかったわよ

暁月富士男

随分と大きくなったな

潤間朝日

もう3歳ですからね

暁月富士男

もう3歳かぁ

暁月麗

これから
お墓参りなのよね?

潤間朝日

はい

潤間朝日

もうじき
命日ですからね

潤間若葉

芙蓉さんにも
さくらを見せて
あげたいですから

暁月富士男

芙蓉さんも
きっと喜ぶよ

それから朝日と若葉は 芙蓉が眠る墓地へとやって来た

潤間朝日

久しぶりだな母さん

潤間朝日

見ろよ

潤間朝日

さくらもこんなに
大きくなったよ

潤間さくら

・・・・・

潤間朝日

もう3歳だよ

潤間若葉

・・・・・

潤間朝日

いやぁ、子育てって
ホント大変なんだな

潤間朝日

俺と若葉ふたりでも
てんやわんやでさ

潤間朝日

今さらながらに
母さんの偉大さを痛感した

潤間若葉

お母さん・・・

潤間若葉

私・・立派に
お母さん出来てるかな?

潤間若葉

あんま自信ないけど

潤間若葉

私もお母さんみたいに

潤間若葉

子供の為に頑張れる
偉大なお母さんを
目指すから

潤間若葉

温かく
見守っててね

潤間さくら

ね?パパ?ママ?

潤間朝日

ん?どうした?

潤間さくら

なんで石と
おはなししてるの?

潤間朝日

ちょ、石って(笑)

潤間若葉

ここにはね

潤間若葉

さくらのばあばが
眠ってるんだよ

潤間さくら

え?ばあば?

潤間さくら

麗ばあばが?

潤間朝日

いや、違うよ

潤間朝日

実はな──

潤間朝日

さくらにはもう一人
ばあばが居たんだよ

潤間さくら

えー!?そうなの!?

潤間朝日

パパとママが若い頃に
死んじゃったんだ

潤間さくら

そうだったんだ・・

潤間さくら

どんなばあばだったの?

潤間朝日

すっごく凄い人だったよ

潤間朝日

家族のために

潤間朝日

自分を犠牲にして

潤間朝日

パパとママを
育ててくれたんだ

潤間さくら

そうだったんだ・・

潤間さくら

さくらも
会いたかったなぁ

潤間若葉

ふふふ

潤間さくら

でもさ?

潤間朝日

ん?

潤間さくら

ばあばがもう一人
居たんなら

潤間さくら

じいじももう一人
居たの?

潤間朝日

そ、それは・・・

潤間若葉

・・・・・

潤間さくら

もう一人のじいじにも
会って観たいなぁ

潤間さくら

ね?パパ!ママ!

潤間朝日

・・・・・

潤間若葉

ふふふ、そうだね

潤間若葉

会ってみたいね

潤間朝日

(若葉・・・)

するとそこに

潤間大和

お前ら・・・

潤間朝日

あんた・・・

潤間若葉

え?嘘・・・

大和がやって来る

潤間朝日

何であんたが・・・

潤間大和

いや、その・・・

潤間大和

もうすぐ芙蓉さんの
命日だからな・・・

そう言う大和の手には トルコキキョウの 花束が握られていた

潤間朝日

そうか・・・

潤間さくら

ねぇ?パパ?ママ?

潤間さくら

この人だぁれ?

潤間朝日

えっと・・・

潤間若葉

・・・・・

潤間若葉

さくらの──

潤間若葉

もう一人のじいじだよ

潤間朝日

!!!!!!!

潤間大和

!!!!!!

大和の目から大量の 涙が溢れ出る

潤間さくら

え!?ホント!?

さくらは満面の笑みで 大和に近づいていく

潤間さくら

さくらのじいじなの?

潤間大和

いや、その・・・

大和はどう受け答え するのが最適なのか 答えを導き出せずに その場から立ち去ろうとする

潤間朝日

何やってんだよ

潤間朝日

じいじ

潤間大和

あ、朝日・・・

潤間朝日

まぁ、もういいよ

潤間朝日

母さんだって
この場にいたら

潤間朝日

俺たちと同じ事を
したと思うからさ

潤間大和

だ、たが・・俺は

潤間さくら

じいじ!

さくらは大和の足に抱きつく

潤間大和

さ、さくら・・・

大和は涙を流し 時折嗚咽まじりに号泣しながら さくらを力強く抱きしめる

潤間大和

さくらをこの手で
抱きしめるなんて

潤間大和

叶わないと思ってた

潤間朝日

・・・・・

潤間若葉

・・・・・

潤間大和

俺にはそんな
資格は無いと

潤間大和

諦めてた・・・

潤間大和

ぐずっ・・・

潤間さくら

じいじ・・痛いよ

潤間大和

ああ、ごめん

潤間大和

痛かったな、ごめん

潤間朝日

まぁ、あんたを
完璧には許せない

潤間朝日

けど・・・

潤間朝日

今この瞬間だけは許すよ

潤間大和

朝日・・・

潤間若葉

私も同じ

潤間大和

若葉・・ぐすっ

潤間大和

ありがとう

潤間大和

本当にありがとう

潤間朝日

まぁ、とりあえず

潤間朝日

飯でも食いに行こう

潤間朝日

家族4人で

潤間さくら

わぁーい♬

潤間さくら

やったぁー♬

潤間若葉

さあ!行こう!

潤間若葉

お父さん

潤間大和

ああ・・・

大和は若葉に手を引かれ歩き出す

芙蓉が眠る墓石では

心なしか微笑んでいる様に見える 女性の影がゆらゆらと動いていた

END

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