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いっちゃんとたっくん

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いっちゃんとたっくん

31 - いっちゃんとたっくん31

♥

67

2020年04月03日

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12月24日

目が覚めると

まだいっちゃんもたっくんも眠っていた

あれから少しずつ夜泣きの回数が減っていき

昨日は怖い夢も見なかった

眠っている二人を起こさないように

そっとベッドから降りて

廊下を抜け居間へ

三人で飾り付けをしたツリーは

見ているだけで幸せな気持ちになる

一人になると不安で

いっちゃんがトイレに行くだけでも泣いていたのに

この日は一人でいても泣くことはなかった

寝室に行けば二人がいる

それがわかっていたからかもしれない

郁美

え!?

郁美

美結!?

郁美

美結がいないよたっくん!!

拓郎

えぇ!?

二人は慌てた様子で居間まで来て

ツリーの前に座っている私を見つけて

拓郎

びっくりした……

郁美

凄いね~一人でおっきできたんだね~

拓郎

心臓が止まるかと思ったよ……

あの家を出てからここに来るまでの間

母の元には一度も帰ることはなく

私の下着や洋服なども全て置いたまま

いっちゃんがイ○ンで下着や洋服を買ってくれて

今はずっとそれを着ている

母と一緒にいた頃は

下着も洋服も全部母が選んでいて

それが当たり前だと思っていたけれど

いっちゃんは私に好きなものを選ばせてくれて

この日も自分で選んだお気に入りの洋服着て

三人で出かこることになっていた

たっくんは私のために仕事を休んでくれて

三人でゆっくりと朝食を食べる

いつもよりもゆったりと流れる時間

郁美

美結、サンタさんのプレゼントは決まった?

美結

ううん……

拓郎

何か欲しいものは?

拓郎

サンタさんにお願いしたらきっと……

本当はもう決まっていたけど

それを口には出せなかった

私の願いはたったひとつ

このままずっとここにいたい

いっちゃんとたっくんと三人で

ずっとずっと一緒にいたい

それだけだった

お気に入りの洋服に着替えて

郁美

美結、こっち来て~

美結

うん!

郁美

何色にしようかな~

美結

ぴんく!

拓郎

美結はピンクが好きなんだね

美結

うん!

髪にはかわいいリボンを着けてもらって

ウキウキした気分で玄関へ

郁美

忘れ物ないよね?

拓郎

大丈夫だよ

郁美

よし、じゃあ行こうか!

いつものようにたっくんの運転で

私は後ろのチャイルドシート

その隣にいっちゃんが座って

私の左手をぎゅっと握ってくれた

郁美

楽しみだね~

美結

うん!

郁美

今日は元気いっぱいだね~

そう言っていっちゃんが笑う

私も釣られて笑顔になる

どこに行くのかは知らなかった

でも三人でお出掛けする

それだけでワクワクドキドキして

言葉にはしなかったけれど

本当に嬉しかった

いっちゃんとたっくん

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