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───理解した。
だから、知らない声に思えたんだ。
…自分の声を、録音した事はあるだろうか。
カラオケなど、興味本位で録音した自分の声が、
驚く程に、気色の悪いものだと感じた事はないだろうか。
…今、そういう状況だ。
目の前には、私がいる。
私の知らない私の声で、喋っている。
全てが私そのままではない。
前髪の分け目も違う。
性格も……。
何もかもが、「反転」していた。
寧々
寧々
仮に、珀先輩の言う事が事実だとしたら、
私は、今、鏡を6分間見つめたことになる。
そして、「入れ替わり」が1週間で起こるとすると、
「私」はもう、本当の私ではなくなってしまう。
でも、知らない、知らないということは……
「例外」ということだ。
鏡から身を乗り出している「寧々」は、
困惑と、恐怖に支配され何も出来ない「寧々」を心配の目で見る。
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々
回転が鈍くなった頭で言葉を理解した時には、もう遅い。
彼女は鏡の中からゆっくりと、「現実世界」に出てきてしまった。
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
「珀先輩」
何をしても動じなさそうな彼女はそう言った。
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々のドッペルゲンガー
そう鋭く、即答する。
今まで人が良さそうな、朗らかな雰囲気だった彼女からとは思えない程、
重圧がかかっている。
寧々は理解する。
「この場の主導権は、貴女なんだ」と……。
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
そう言って、彼女は部室とは反対へ歩き出す。
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々
バリ…
バリ…
珀
珀
寧々
珀
優
珀
遥斗
珀は真剣な顔で、物事を整理している。
そう、顔だけ見れば。
遥斗
珀
遥斗
耐えかねて遥斗は指摘した。
────ポテトチップスの袋に忍ばせた手を。
珀
寧々
庵
寧々
庵
寧々のドッペルゲンガー
庵
寧々のドッペルゲンガー
そう言って、これまでの経緯を話し出した。
……まず、私は「異世界研究部」に所属しています。
鏡合わせさんも、そうですよね?
…どうやら、彼女を見るに、
見た目や、性格、学校の部屋の位置、待遇などは反転していても、
「運命」は共通するみたいなんです。
突然ですが、皆さんには「鏡向こう側」が見えますか?
……。
ですよね、変なこと聞いて申し訳ないです。
でも、そんな変なことが私には出来るみたいで、
何歳かな…12歳くらいの時?から、
急に、向こうの世界が見えるようになりました。
でも、私の世界ではそんな人あまりいらっしゃらないんです。
そ、そうですね…何人かはいます。
友人ですか?
えーっと、確か……、
……美術部の、部長?
わっ、ビックリした……そんな大声出さないでください…!
……そうなんです、先輩も見えるらしくて。
こちらにも、部長さんはいらっしゃいますか?
…えっ、海月先輩?
海月先輩、部長なんですか?
……鏡合わせさんがおっしゃるなら…そうなんですかね?
おかしいですねー、運命が変わらないのなら、先輩も部長なのに…。
あ、勘違い?
かもしれませんね、申し訳ないです。
そういえば、何でこちらに来たのかでしたよね。
えっと、まぁ私は鏡の向こう側が見えるんですが、
ある日興味本位で、鏡に触れてみたんですよ。
そうしたら、指が簡単に入っちゃって!
…その時に、鏡合わせさんは正面にいたか、ですか?
いや、いらっしゃらなかったです
夜中だったかな。
その時は怖くて、指を引っ込めてしまいました。
それから暫く経って、ふと、学校の水道にある鏡を見たんですけど、
鏡合わせさんがちょうど目の前にいてですね。
それまでは鏡越しに貴女を見ていたんですけど、
そういえば、間近で見たことがないなと思って、
顔を覗き込んだんです。
そうしたら、物凄く辛そうなお顔をしていて……。
何だか只事ではないと思ったので、
声をかけてしまいました。
……何で、あんなに動揺していたんですか?
…紙?
いや、知らないですね。
少なくとも、私は書いていません。
ちなみにどんな事が?
……。
…。
!!
何これ…怖いですね。
いつからあったんですか?
……気づいたら?
うーん…分からないですね。
え、今は私のことを話せ?
すっ、すみません…お力になれたらと思って……。
でも、今ここで話せることは全て話した気がします───────。
一通り、鏡合わせの寧々が話終えると、
部室内は難しい雰囲気に包まれる。
何故、無条件で出てこれたのか。
何故、鏡の向こう側が見えるのか。
美術部長との共通点は何か。
寧々のドッペルゲンガーに、悪意は無いのか。
そういった事を考えているのだろう。
珀
そんな重い空気を破り、珀が話し出す。
珀
寧々
遥斗
遥斗
遥斗
寧々のドッペルゲンガー
庵
寧々
「鏡合わせの寧々」は、「寧々」の手を掴み、
自分の首に、触れさせる。
寧々
寧々のドッペルゲンガー
珀
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々のドッペルゲンガー
優
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
素人が聞けば、用意してきた薄っぺらい言葉だった。
故に、誰も反応できなかった。
……たった、一人を除いて。
珀
珀
寧々
遥斗
優
庵
庵
庵
珀
珀
珀
寧々
寧々
珀
寧々
寧々
寧々
優
遥斗
寧々
寧々
寧々
そう言って溜め息を吐く。
再び開かれた目には、覚悟が宿っていた。
珀
珀
珀が周りを伺うと、皆は躊躇いながらも首を縦に振る。
珀
不意に、珀の声が大きくなる。
珀
庵
珀
珀
庵
庵
庵
庵
珀
珀
遥斗
庵
場に合わない空気が広がる。
でも、空気が広がることによって、緊張感も緩和されつつあった。
異世界研究部の部員たちは、何時になく真剣に計画を立て始めるのであった。