TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

宮野 栄利香

…た、助けて頂いて、あ、ありがとう…ございます

水嚢 零捺

…朝の時のお礼みたいなもんだし、気にしないで

水嚢 零捺

…それじゃ

そう言うと水嚢さんは立ち去ろうとした、が。

ぽとっと音を立て、何かを落とした。

宮野 栄利香

あ、待って!
これ、落としました…

宮野 栄利香

…って……

──水嚢さんが落としたもの。

宮野 栄利香

え…、これ…って……

水嚢 零捺

……!!それは…っ

それは私がよく知っている、幸せになる白い"粉状タイプ"のモノだった。

宮野 栄利香

”精神超安定剤“…?

水嚢 零捺

っ…!

水嚢 零捺

ごめ、ありがとう

そう言って、精神超安定剤を私の手から取って、走って行った。

宮野 栄利香

…あれって、私のと似てるやつ、だよね

宮野 栄利香

……なんで、水嚢さんも持ってたんだろう

宮野 栄利香

って、そんなこと考えててもだからね。早く守琉の中学に行かなきゃ

私は、少し具合が悪いながらも走って 守琉のいる中学校へ向かった。

宮野 栄利香

うっ…頭が、

宮野 栄利香

でも…はあっ、ついた…

私は辺りを見渡して、守琉の居場所を探す。

宮野 栄利香

うーん、どこかな…

フラフラと覚束無い足で一部の部活を見て回った。

宮野 栄利香

まーもるー

シーン──

宮野 栄利香

……まあ、校門前で待っとくか

そう考え直し、踵を返して 校門前に行く。

宮野 栄利香

ふぅ…ここなら大丈夫

それから数分後、ガヤガヤと校内が ザワついてくる。

宮野 栄利香

おー…守琉いるかな

携帯を触っていると突然、守琉の名前があがる。

守琉の友達たち

守琉ー、今日お前の家で遊ぼーぜ!

宮野 栄利香

まもる…?

宮野 守琉

いや…それは無理

守琉の友達たち

えー!なんでだよ笑笑

携帯から目を離し、まもると呼ぶ方向へ目を向けると、そこには私の弟の守琉がいた。

宮野 守琉

なんでって…別にいいだろ

守琉の友達たち

なに〜?はっ、!まさか…コレ…?

守琉の友達が、ニヤついた顔で小指だけにして言う。

宮野 守琉

はあっ…!?ちげーよ!

守琉の友達たち

ははっ、冗談だよ

守琉の友達たち

で?なんで無理なんだ?

宮野 守琉

……

宮野 栄利香

(もしかして、思春期の男の子だから姉に友達と仲良くしてるの見られるの恥ずかしいとか?)

宮野 栄利香

(そういうことなら私は、先に帰ろうかな)

そう思って私は背を向けて、歩き出そうとした。

その瞬間─

宮野 守琉

……あれ、姉ちゃん!?

私に気付いてしまったであろう 守琉の声が私の耳に届いた。

宮野 栄利香

…あちゃ

宮野 守琉

…なんでいるの?

宮野 栄利香

(明らかに機嫌悪そうー…)

宮野 栄利香

えっと、たまには一緒に帰りたいなって…?

宮野 守琉

なんだそれ…友達いるのに言う?

宮野 栄利香

だっ、だよね!?ご──

私が守琉に謝って帰ろうと思った瞬間、 守琉の友達の一人が声を出す。

守琉の友達たち

え、まじ?その人守琉のお姉さん?

宮野 守琉

…ちっ

守琉の友達たち

ちょー美人さんじゃん

守琉の友達たち

オレ結構タイプ〜

宮野 栄利香

えっ?

宮野 守琉

おい、友達の姉にそんなこと言うな。複雑だろ

守琉の友達たち

…まぁ〜、な

そして守琉は、私の手を引いて その場から早足で退く。

宮野 栄利香

まっ、守琉?どうしたの

宮野 栄利香

そんなに私に迎えに来られるのが嫌だった?

私の言葉に動きを止め、私の方へ向いた。

宮野 守琉

違う。別にそんなんじゃない

宮野 栄利香

…じゃあ、なんで

宮野 守琉

……俺は、別に姉ちゃんがモテても嫌じゃないけど

宮野 守琉

ただ、そのさ…タイプとか言われてるの見てたら嫌だよ

宮野 栄利香

…ん?

宮野 守琉

シスコンって訳じゃないし、俺だってこの歳だし…

宮野 守琉

でも

宮野 守琉

やっぱり姉ちゃんは可愛すぎるんだよ

一瞬、守琉がなんでそんなことを言ってきたのか理解できなかった。

だって守琉は、思春期ってこともあるだろうけど、無関心っぽかったから…。

宮野 守琉

えっと、だから…

宮野 栄利香

ねえ、なんで友達、家に呼ばないの?

宮野 守琉

…え?

宮野 栄利香

私、あんた達のゲームしてるのとか、会話してるの邪魔しないから、呼んでもいいんだよ?

宮野 守琉

いや、そんな理由で呼ばないってことないし…

宮野 栄利香

じゃあどうして

宮野 栄利香

私はあの子たちとも仲良くなりたいんだよ?

宮野 守琉

……あいつら絶対

宮野 守琉

姉ちゃんのこと、好きになる

恥ずかしそうに耳まで真っ赤にしてそう答える。

宮野 栄利香

ん?なに、どういうこと?

宮野 守琉

…ばーか

宮野 栄利香

え、なに…?ちゃんと言ってよ!

宮野 守琉

べー…

無意識なのだろうけど、控えめに可愛くあっかんべーをしている。私は初めて、弟を可愛いと心底思った。

その後、守琉はボソボソとなにか呟いていたが、私には聞こえなかった。

宮野 栄利香

なーにー?

宮野 守琉

なんでもない

家に到着し、靴を脱いで靴箱に入れて リビングに行く。

宮野 栄利香

はあ…何か今日、疲れた一日だったな

“疲れた”その一言に食い付いて、私に聞く。

宮野 守琉

疲れた?何かあったのか?

心配の色が声から察した。 だから私は心配されないように、授業とかねと答えた。

宮野 守琉

…ふーん

宮野 守琉

あ、そうだ。昨日言ってたあれ買ってきた?

宮野 栄利香

あれね、買ってきてるよ。鞄の中にあるから、見て

宮野 守琉

昨日の言ってた"あれ"とは

なにやら可愛い小さいぬいぐるみを欲しがっていたので、それのことだ。

宮野 栄利香

まさか、あんたがそんな趣味あるとは知らなかったよー…姉なのに

宮野 守琉

は、!?

宮野 守琉

趣味とか違うから!

宮野 守琉

これ、欲しいって言われて…でもまだ中学生だし買えなくて

欲しいって言われた…となると。

宮野 栄利香

まさか彼女さん!?

私が興奮気味に聞くと。

宮野 守琉

なんでそうなるんだよ…

宮野 守琉

友達の妹な

宮野 栄利香

あ…そうなんだ

ついに私の弟に彼女がと期待していたのだけれど、違ってどよーんと気持ちが沈んだ。

宮野 守琉

姉ちゃんって、勘違い多いよね

宮野 栄利香

そんなことないけど

宮野 守琉

あるって

確信のように言われて そんなに…?と考えた。

そうしていると

宮野 守琉

……姉ちゃんさ、壊れないでね

突然、そんなことを言われた。 私が壊れることなんてありえないのにと不貞腐れた。

宮野 栄利香

壊れないよ…もう

宮野 守琉

だよな、ごめん

宮野 栄利香

…守琉って、案外私のこと心配してくれてるよね

宮野 守琉

心配か…もっと心配してくれる弟が良かったか?

宮野 守琉

可愛げもあるさ

その言葉に刺があるように感じられる。

宮野 栄利香

…いや、私はあんたが弟で良かったって思うよ

宮野 守琉

ほんと、?!

宮野 栄利香

まあでも…可愛げはもう少しあった方が良かったかな

宮野 守琉

ちっ、結局それかよ

宮野 栄利香

え?なに、ごめん

宮野 栄利香

気に触ること言ったなら謝るよ…本当にごめん

宮野 守琉

いいよ、別に

宮野 守琉

俺なんて可愛げの少ない弟だよ

宮野 守琉

ばーか

宮野 栄利香

ええ…?

そんなことを言われて 私の脳内はハテナだらけだった。

この作品はいかがでしたか?

101

コメント

6

ユーザー

あっ、可愛いっすね(語彙力消滅)

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚