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唐突だが

俺は未来を見ることができる

といっても別になんでもかんでもみることはできない

朝起きたときに断片的な未来の俺の記憶?が 流れ込んでくるというものだ

初めてこれを体験したのが6才のとき

朝、夢から覚め、ぼやけている頭に 突然何かの記憶をぶちこまれたのだ

その日は知恵熱?みたいな高熱がでて 母親が慌てて病院に連れてったのを覚えている

それから月日がたち、だんだんと俺もこの予知について 理解していった

注意すべきことは三つ

一つは予知は朝、というか俺が起きた瞬間に流れ込んでくるということ

二つは宝くじの当選番号等の予知はできないこと

三つ、これが一番重要なのだが、予知で見たことは 避けられないこと

そう、避けられないのだ

どれだけ、回避しようとしても 予知で見た出来事は絶対に起こる

例を出すと俺が、『頭に野球ボールをぶつける』という予知を見たとする

すると、たとえ俺が家に籠っても過程はどうであれ 『頭に野球ボールをぶつける』のだ

というか実際起きた

家の窓を割ってボールが入ってきた時は本当にびっくりした

さて、ここまでの中で重要なのは、予知は強制的に見させられ

なおかつ、その予知は絶対に当たること

はっきり言って最悪だ

これで俺が死ぬ予知等を見たら確実に俺が死ぬ

そういう『もしも』を杞憂して俺は生活を送っているのだ

そして今日その『もしも』が起きた

朝、予知が頭に流れ込んでくる

その予知を知り絶望する

う、ああ、最悪だ

なんてことだ

今日の予知は俺が死ぬという内容だった

視界はお腹から流れている血を映し出しており、 そばには包丁が落ちていた。

周りの人達がスマホで通報したりと、騒いでいた。

だんだんと視界が上をむいて空を見た。

むかつく程、青かった。

そうして視界は暗くなった。

これは、俺は殺されたのか?

一体誰に

杞憂で終わるかもという淡い期待は潰えた

結局のところ

杞憂は杞憂で終わらなかった

今日も1日を終えると思っていた

もう、来るべき明日はこない

嫌だ...

死にたくなんて、ない

どうしたら

自分が死ぬという未来を見たのなら確定で俺は死ぬ

いつもの様にしていた『もしも』が

現実となって襲いかかった

そういえば...

今日はやけに鮮明に見えたな...

普通は死ぬだけの予知のはずだし...

もしかしたらいつもの予知とは違う?

あり得ない話だと分かっている

それでも、僅かな可能性でも、あるのなら

まずは情報を整理しよう

ええと、キーワードは

『お腹を刺された』『包丁』『周りが騒がしかった』

それで、今日の予定を見比べよう

一番怪しいのは学校だな

今日の時間割は・・・

○月○日木曜日 1時間目     数学 2時間目     国語 3時間目     社会 4時間目    家庭科 5時間目     理科 6時間目     英語

ふむ

家庭科が怪しいな

家庭科は調理実習のはず・・・

なら家庭科の授業にでなければ

助かる?

希望が見えてきた

何もしなかったらどうせ死ぬだけだ

それなら、必死に足掻いてやる!

学校へ休みを入れるのは、無理だろうな

お母さんが阻止するだろうから

それなら、学校で4時間目だけ休む?

確率としてはそっちの方が高そうだし

まぁ、やってみるか

学校へ着き教室へと足を運ぶ

おはよう

優人

おはよう陸

瑛太

おはよう!

俺が「おはよう」と言うと返事をした二人

この二人が俺の数少ない友人である

今日も1日頑張ろうか

優人

ああ、そうだな

瑛太

しっかし、今日調理実習あるけど自信の程は?

ないな

優人

右に同じく

瑛太

だよなぁ!

瑛太

どうせ、作って食べるなら
女子の作ったパンケーキが食べたいな

無理だろうな

優人

幻想を見るのはよせ

瑛太

辛辣だね!?

あ、ホームルームが始まった

3時間目終了後

(さて、一応休めるか聞いてみるか)

すいません、先生

先生

どうした?

あの、少し具合が悪くて

保健室を使いたいんですけど

先生

大丈夫か?とりあえずそこで待っててくれ

分かりました

先生は電話で何か話している

先生

もしもし、2年の赤坂 陸君の体調が
優れないようなので保健室を・・・

先生

え?

先生

満員?はい、はい。

どうしたんですか?

先生

いや、どうやら保健室のベッドが満員らしくてね

先生

それで、教室に一人で休ませるわけにもいかないから

先生

家庭科室で、休んでもらいたいんだけど

先生

大丈夫?

やはり、逃げられないらしい

だったら

ええ、大丈夫です

先生

そうか、すまないが許してくれ

いえ、気にしないでください

具合も良くなってきた気がしますし

調理実習も参加します

先生

分かった

では俺は先に家庭科室に行ってきます

そう言って家庭科室に向かう

家庭科室

結局、逃げられなかったな

こうなればもう、やるしかない

先生

はい!では調理実習を始めたいと思います!

先生

材料や調理器具は班ごとに配ってあります

先生

今回作るのはハンバーグです

先生

わからないところは周りの人や先生に聞いてください

ちなみに、俺の班は友人の二人との三人班だ

さて

優人

どうするか

瑛太

誰も料理得意じゃないしな

まぁ、作り方見ながらやるか

優人

おっけ

瑛太

始めよー

調理中

よし!ハンバーグはできたぞ

優人

形がちょっと崩れてるな

瑛太

まぁ食べれればいいからな

あとはソースか

瑛太

ソース?

優人

もうケチャップで良くない?

え?

瑛太

ケチャップかぁ

まぁ、いいんじゃないかな

優人

よし!ならば俺がっ、

そう優人が言ったとき

足を滑らせたのかケチャップを持ったままこっちに倒れてくる

瑛太

ちょ!?

うわっ!?

優人に押され俺も後ろ向きで倒れる

その勢いで俺は頭を打ってしまった

瑛太

大丈夫か!?

瑛太

おいおい、包丁とかまな板が地面に落ちたぞ!

瑛太

危ないからうごくなよ!

先生

どうした!?

瑛太

あ!先生!

頭を打ったせいなのか、意識が朦朧とする

もしかして、これが

保健室

う、ここは?

瑛太

お!起きたか!

優人

ごめんな陸、お前の頭もそうだけど
エプロンをケチャップで汚しちまって

ケチャップ...

やっぱり!今回の予知は俺が死ぬなんてものじゃなかった!

俺の勘違いだったんだ!

う、うぅ

優人

ど、どうした!?

優人

もしかしてどこか痛むのか?

い、いや違う。嬉しくて

瑛太

お前Mだったのか...?

おい!

瑛太

ごめん、ごめん

まったく

優人

あ、もう学校の授業は
お前が寝てる間に終わったし

瑛太

一緒に帰ろうぜ!

お前ら...

おう!

本当に良かった

なんで、まだ青空なんだ?

優人

そういう天気なんだよ

瑛太

そうだぞ!

そういうもんか?

2人と談笑しながら帰り道を歩く

いや~、しかし幸せだな

優人

急になんだよ?

いや~別に

瑛太

なんなんだ?

幸せだなぁ

明日を迎えられるのがこんなに嬉しいなんて

そんな時遠くから悲鳴が聞こえた

何かあったのか?

優人

おい!なんかあそこに刃物持ってる奴がいるぞ!?

瑛太

こっちにむかってくるぞ!?

その刃物を持った男と思われる者は

俺の腹を

包丁で刺した

あ、ぁあ、ぁ

予知は外れない

そんなこと、分かってたのに

男は包丁を抜いて、逃げていく

その時に包丁を男は落とす

ぁがあ、ぅあ、ぁぅがぁ

痛いなんてもんじゃない

痛覚が悲鳴をあげているかの様にも感じられる激痛

それが体を、心を、脳を、蹂躙していく

視界はお腹から流れている血を映し出しており、 そばには包丁が落ちている。

周りの人達がスマホで通報したりと、騒いでいる。

だんだんと視界を上にむけて空を見る。

むかつく程、青い空。

そうして視界は暗くなる。

OUSER様主催 言の葉コンテスト 『杞憂に終わる』で参加させて頂きました

この作品はいかがでしたか?

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コメント

4

ユーザー

コートさん! コンテストへのご参加ありがとうございます🙇🏻‍♂️ ごめんなさい🙏🏻 コメントが遅くなってしまいました…😭 予知から生まれた杞憂に終わる…! とても面白かったです! 一度は杞憂に終わってほっとしましたが、やっぱり終わらなかった…🙄 家庭科の授業で包丁が出てきた時に、予知と場面が重なってなるほど…!と思ったけれど、まだ上がありましたね…笑 ホラーとしては本当に美味しい…!

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