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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

本格的な冬がやってきた。

最近は吹雪く日も多く、なかなかあそこへ行けていない。

 

久しぶりにカラッと晴れて、まだ少し暖かさを感じるある日、私は久しぶりにあの木の下へ行った。

すると防寒着を身に纏った彼が座っていた。

何ヶ月ぶりに彼を見たのだろう。

私はすぐに彼の元へ駆け寄って、

こはる

久しぶり、元気にしてた?

とあ

うん、久しぶり

マスクをしている彼は少し話しにくそうにしていた。

とあ

ごめんね、マスクしてて…

とあ

なんか感染症がどうのこうのーって言われて、してなきゃいけないんだ、ごめんね

こはる

確かに冬って色んな感染症流行るもんね

そして今日も黙々と本を読み続けた。

日が真上に来た頃、彼が呟いた。

とあ

あと2ヶ月か…

こはる

とあ

あ、ごめんね、

こはる

そして数分の沈黙が続いた後、先に口を開いたのは彼だった。

とあ

ねぇ、こはるさん

こはる

どうしたの?とあくん。

とあ

この桜の木、春になると綺麗なんでしょ?

こはる

う、うん、すごく綺麗だよ。

とあ

もし春まで僕がいたら、見せてくれない?

こはる

…もちろん!一緒に見よう!

彼と指切りをした。

そしてまた昼過ぎに彼は帰っていった。

私も夕暮れが来る前に帰った。

家に帰り、手を洗っているとお母さんが話しかけてきた。

小春の母

小春、久しぶりに学校行ってみない?

小春の母

ほら、担任の先生も心配してるだろうし、顔だけでも見せにいかない?

小春の母

あと数週間で2学期も終わるんだし。

小春の母

保健室でいいから。

こはる

…わかった。

小春の母

さっそく来週行ってみましょ!

小春の母

お母さん送ってくから。

こはる

そして約束の日になった。

朝起きて用意をして数ヶ月ぶりに制服に袖を通す。

姿見を見て身だしなみをチェックする。

こはる

…よし。

そう呟いた後、学校へ向かった。

いざ校門を目の前にすると少し足がすくんだ。

でもなんとか一歩踏み出した。

昇降口まで行くと、クラスの子たちと目が合った。

すかさずその子たちは

モブ

…こはるちゃんだ

モブ

久しぶりに見たよね

モブ

変わってないね

モブ

根暗なまんまだ

 

モブ

目障りなんだよ

モブ

こっちみるな

モブ

きっしょ

モブ

まだしんでなかったのかよ

モブ

さっさと消えろ

笑い声が聞こえる

私は急いでその場を離れた。

必死に走った

走って走って

気がついたら保健室前に来ていた。

でもまだあの笑い声が耳に張り付いて離れなかった。

ノックをして、入った。

すると保健室の先生が出迎えてくれた。

そしてふと目をやると、担任の先生もいた。

保健室の先生

初めまして、小春さん

担任

久しぶり、よく来たな。

そして窓側に一つ置かれた席に案内された。

そして2時間ほど勉強した後、私は帰った。

それから何日も過ぎていった。

私はまた学校へ行けなくなった。

吹雪く日も多くてあそこへも行くことも少なくなった。

彼ともあれ以降会えていない。

でも冬だと感染症が流行りやすいのも事実だし、会えないのも仕方ないと思う。

でも、ふとした時に彼の優しい笑顔が思い浮かぶ。

こはる

…元気にしてるかな?

そう呟いた後、暖かい部屋の中で眠りについた…

『死にたがりの私が余命3ヶ月の君に恋した話。』

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