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僕は、小さい頃、よくいじめられていた。主犯格は、アキラくん。
どうしていじめられるようになったのかは分からない。でも、気づいたらいつの間にか荷物持ちをさせられるようになり、いつの間にか、意味もなく殴られるようになった。
中学で転校することになり、ほっと安心したのを覚えている。
もう、彼に合わなくて済むんだ。。。。
でも、現実は、酷いもので高校に上がると彼は、僕の前に再び顔をあらわした。
目の前が真っ暗だった。
また、いじめられるかもしれない。
そんな恐怖と共に僕は、毎日学校に通っている。
唯一の救いは、僕と彼が別のクラスということだけだ。
イツキ
イツキ
乱れた教室。机や椅子は、何かになぎ倒されたかのように散らばっていた。
窓は割れ、夜空に月が浮かぶ。
イツキ
不審者が、出たというのは聞いた。でも、その後の記憶がぽっかり穴が空いたように思い出せない。
静まり返った周りを見渡しても人っ子ひとり見当たらない。何がどうなったんだろう?
ふらふらと僕は立ち上がると廊下を歩き始めた。
イツキ
返事など返ってこない。まぁ、当たり前か。こんな時間に誰かいるわけない。
すると廊下の端に人影が見えた。
イツキ
イツキ
声をかけようと足を走らせようと思った瞬間。何かが違うと、直感的に感じた。
その人影は、ふらふらと揺れ動き、一歩、二歩とゆっくり歩く。丸まった背は猫背というよりは、明らかにかがめている用にも見える。
イツキ
急いで近くの教室に入り、武器になりそうなものを探す。とりあえず、掃除用具の中からT字の箒を持った。
教室の端から不審者の動きを見据えた。
それは、放送室の扉を無秩序に叩いていた。ガンガンと音を響かせ、まるで、中に入れろと言っているようだった。
イツキ
夜露の冷たい空気を肺へしっかりと送り込む。神経を集中させ、僕は、その不審者に向かって忍び足で近づいていく。
小学校を卒業後、僕は剣道を始めた。理由は、簡単だ。
弱い自分と決別するため。
ありがたいことに顧問や仲間に恵まれ、僕はメキメキと成果を上げることが出来た。高校に入り、現在4段を目指して修行の日々である。
イツキ
距離は、約30m。薄暗いけど、相手の動きははっきり見えてる。
折れ曲がった身体が薄気味悪い。
でも、今は僕しかいないのだから。僕がやらないといけないんだ!!
箒の柄をしっかり握り直す。呼吸を止め、腹部に力を込め、床を蹴った。
イツキ
不審者の背中目掛けて箒を振り下ろした。胴着意外で人を打ちおろすのは始めてだった。鈍い感覚が箒を通して感じる。
不審者の身体は、床へと叩きつけられた。しかし、まだ、意識はある。気絶してくれ!と願いながら僕は、2度、3度と叩きのめす。それは、気持ちのいいものではとても無かった。
不審者
奇妙な声を上げている。早く!早く!気絶してくれ!そう願った時、手元が狂った。
脳天を打ってしまったのだ。
しまった!!と思った時、不審者は、動かなくなった。打ち所が、悪いかもしれない。脳しんとうを起こしたかも。
再び静まり返ったその場に僕は、ただたたずむことしかできなかった。
その時、放送室の扉がゆっくりと開いた。
リツ
人が、いたんだ。
イツキ
リツ
アオイ
イツキ
僕は、女子生徒に言われるがまま放送室に無理やり入れられた。
イツキ
アオイ
イツキ
リツ
イツキ
不審者は、一人では無かったのか。
放送室には、女子生徒が二人だけだった。ネクタイの色がえんじ色からして3年生。僕は2年なので深緑。ちなみに1年は、紺色になる。
電気もつけず、月明かりの中、二人は部屋の隅にうずくまった。放送室の機材は、特に荒らされた様子もなく、普段となんら変わらない状況だ。
イツキ
アオイ
イツキ
アオイ
イツキ
アオイ
イツキ
リツ
リツ
アオイ
リツは、静かにアオイの腕の中で泣いていた。現実の温度差についていけない。
イツキ
アオイ
イツキ
せい………と???
アオイ
イツキ
彼女の言う通り、僕の上着は所々、赤く染まっていた。こんな服、着ていられるわけが無い。急いで上着だけ脱いだ。下は、流石に無理なのでそのままだが。
アオイ
イツキ
アオイ
イツキ
イツキ
アオイ
リツ
イツキ
アオイ
イツキ
アオイ
リツ
イツキ
そういうわけで、僕は二人の護衛になった。アオイさんが、廊下に備え付けられた刺股(さつまた)を持っていたため、箒よりは、マシになった。
静まり返る廊下、昇降口と思ったよりもスムーズに出ることが出来た。
校門までは、真っ直ぐだ。
靴に履き替え、僕は、周りに警戒しながら進む。校門までは、確かに真っ直ぐだが隠れるところが無いため、見つかったら最後だ。
イツキ
アオイ
リツも静かに頷いた。
イツキ
イツキ
イツキ
イツキ
イツキ
二人が走り出した。
校門までは、100mはある。とにかく、走って、ゾンビが出たら僕がなぎ払う。実にシンプルな作戦。
80m
60m
50m
あと少し!
左から黒い影が見えた。
ゾンビだ!!
僕は、迷わずそっちへ向かって走った。赤く染まった制服を刺股でなぎ払う。ゾンビは、宙を舞って校舎へと叩きつけられた。
リツ
イツキ
彼女の方に向かって新たなゾンビが向かってきていた。すぐに、身体をひねり、リツさんへと向かう。身体が羽根のように軽い。なんだか、自分の身体では、無いみたいだ。
再びなぎ払う。ゾンビは2.3m吹っ飛んだ。
アオイ
リツ
イツキ
校門まで30m
20m
アオイさんが、校門を抜けた!
パーーーン
乾いた音共にアオイが、倒れた。
イツキ
リツ
リツもアオイ同様、校門を抜け、リツの倒れた身体を抱き上げた。
パーーーン
同じ乾いた音が、リツの脳天を貫いた。
イツキ
倒れる二人を見ながら、僕はその場に足を止めた。
何が起きたのか分からなかった。ただ、二人が倒れた事しか認識出来なかった。
すると、目の前に軍服を着て、ガスマスクを装着したら人たちが、二人の横たわった身体を引きずり端へと寄せていく。
イツキ
軍人
イツキ
軍人
イツキ
軍人
そう言って、軍人は、部下から鏡を受け取ると僕へ向かって投げた。
ライトが少し照らされ、眩しいと思いながら僕は、鏡を覗き込んだ。
イツキ
そこには、血の気の引いた真っ青な肌に青白い瞳の僕がいた。
人間というよりは、完全に化け物だ。
イツキ
軍人
軍人
イツキ
イツキ
軍人
校門前で、3度目の乾いた空薬莢(からやっきょう)の音が響いた。
頭に何かが突き刺さるのを感じる。
目の前が暗く
な
る。
あぁ、ベニさんに告白すれば良かったな………。
第3話に続く