TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

日下部千里

そう・・ですか

日下部千里

そんな理由で・・・

彰の見舞いにやってきた 満谷の口から河上恵の 犯行動機を聞かされる千里

満谷翼

あの・・・

満谷翼

彰はさんは
やはりまだ・・・

日下部千里

はい・・・

日下部千里

ずっと眠ったままです

満谷翼

そう・・ですか

日下部千里

見てくださいよ

日下部千里

こっちの気も
知りもしないで

日下部千里

こんな爽やかな顔して
眠ってるんですよ?

日下部千里

彰ったら・・・

日下部彰

・・・・・

眠る彰の頭を 優しくさする千里の目には うっすらと涙が浮かぶ

満谷翼

でも──

満谷が言いかけた時 無線から事件発生を告げる 本庁からの入電が鳴り響く

満谷翼

あっ・・・

日下部千里

満谷さん

日下部千里

私たちの事は心配
しないで行ってください

日下部千里

事件なんですよね?

満谷翼

すいません・・・

日下部千里

いえいえ、今日は
来ていただいて

日下部千里

ありがとうございます

日下部千里

彰も喜んでると
思います

満谷翼

では、失礼します

病室の引き戸を開き 外へ出ようとする満谷が 振り返る

満谷翼

千里さん!

日下部千里

はい?

満谷翼

彰さんは・・・

満谷翼

きっと目を覚まします!

日下部千里

満谷さん・・・

満谷翼

だから千里さん──

満谷翼

希望を捨てちゃダメです!

日下部千里

ありがとうございます

満谷翼

すいませんね

満谷翼

出過ぎた真似を

日下部千里

何言ってるんですか

日下部千里

そんな事思ってませんよ

日下部千里

彰も同じ気持ちですよ

満谷翼

ありがとうございます

日下部彰

・・・・・

日下部千里

彰・・・

日下部千里

私たちの周りには
良い人が多いね?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

ホント人間関係に
恵まれてるよね

日下部千里

これってやっぱり
彰に人が集まって
来てるのかな?

日下部千里

ホラ!彰が
良い人だからさ!

日下部彰

・・・・・

日下部千里

彰・・・

日下部千里

黙ってないで・・

日下部千里

なんか言ってよ・・・

日下部彰

・・・・・

日下部千里

ねぇ・・彰・・・

それから4ヶ月の月日が流れた

すでにDクラブ騒動の事など 世間の記憶から忘れ去られており

皆は政治家の度重なる 脱税問題に躍起になっていた

そんな中、肝心の彰の容態はというと 一向に回復の兆しを見せる事はなく

依然として眠り続けたままだった

あれからいろんな人々が 見舞いに来てくれた

助けてくれた御手洗を始め 職場の先輩後輩、満谷や馬場

話を聞ききつけた 大学時代の友人も来てくれた

冴子や千里の両親も わざわざ飛行機を乗り 駆けつけてくれたりもした

そんな人々に泣き顔を 見せる事なく丁寧に対応する千里に みな感心すると同時に 不安な眼差しをむけていた

後輩A

御手洗さん?

御手洗淳弥

ん?どうした?

後輩A

昨日も日下部の
見舞いに行ってきたん
ですよね?

御手洗淳弥

あ、ああ・・・

後輩B

なんか元気ないっスね?

後輩B

何かあったんスか?

御手洗淳弥

いやぁ、日下部は
ずっと眠ったままだろ?

後輩A

そうっスね・・・

後輩A

もう4ヶ月ですもんね

御手洗淳弥

日下部の事は勿論
心配なんだぜ?

御手洗淳弥

けどよ・・俺・・
奥さんの方が心配だよ

後輩B

奥さん?

御手洗淳弥

だってよ、いっつも
病室に居るんだぜ?

御手洗淳弥

いつ寝てんだよ!って
感じでよ・・・

御手洗淳弥

しかもみるみるウチに
痩せていってるしよ

御手洗淳弥

もう見ただけで
心身ともに疲れてる
ってのが分かるんだよ

後輩A

まじっスか・・・

御手洗淳弥

しかも俺が見舞いに行くと

御手洗淳弥

笑顔で「わざわざ
ありがとうございます」

御手洗淳弥

って言ってきてよ・・

御手洗淳弥

見てて辛いったらねーよ

後輩B

大丈夫っスかね・・・

後輩B

日下部の奥さん・・・

御手洗淳弥

しかも子供も
居ねーだろ?

御手洗淳弥

逃げ出したいくらいに
孤独だろうに・・・

御手洗淳弥

すげー強い人だよ
あの奥さん・・・

そんな千里は 病室のベッドで眠る彰に ひたすら世間話をしていた

日下部千里

また御手洗さんが
きてくれたよ?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

日下部の帰りを
待ってます!だって

日下部彰

・・・・・

日下部千里

良い上司だね・・・

日下部千里

御手洗さんって・・・

日下部彰

・・・・・

日下部千里

そういえばさ?

日下部千里

初めて遊園地でデート
した時の事覚えてる?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

あの時さ、私が
慣れないハイヒールを
履いてきたせいで

日下部千里

靴擦れしちゃってさ

日下部千里

彰がサンダル
買ってきてくれたよね

日下部彰

・・・・・

日下部千里

あの時の彰さ──

日下部千里

めっちゃ可愛かったよね

日下部彰

・・・・・

日下部千里

お洒落してくれてるのに
サンダルなんて
不釣り合いですよねって

日下部彰

・・・・・

日下部千里

けど、ドリンクを全種類
買ってきた時は

日下部千里

ちょっと引いちゃった

日下部彰

・・・・・

日下部千里

嘘!嘘!冗談だよ!

日下部彰

・・・・・

日下部千里

そうだ!彰!

日下部千里

彰ってさ私にプロポーズ
してくれた時の事覚えてる?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

私がオッケーしたらさ

日下部千里

彰ったらさ
指輪持ったまま

日下部千里

バンザイ
しちゃうんだもん

日下部彰

・・・・・

日下部千里

そしたら指輪がどっかに
飛んでいっちゃってさ

日下部彰

・・・・・

日下部千里

一緒になって
指輪探したよね

日下部彰

・・・・・

日下部千里

あの時たまたま
見つかったから
良かったけどさ

日下部千里

もし見つからなかったら
どうするつもりだったの?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

まぁ、そんなに
喜んでもらえるのは
嬉しいんだけどね

日下部千里

そう言えば私たちってさ

日下部千里

大学で知り合って
付き合ったじゃない?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

彰が学食でいきなり
連絡先教えてください
って声かけてくれてさ

日下部千里

私ね、あの時
彰が声かけてくれて

日下部千里

本当に嬉しかったんだ

日下部彰

・・・・・

日下部千里

今だから言えるけどね

日下部千里

実は私ね、前々から
彰の事好きだったの

日下部彰

・・・・・

日下部千里

学食で見かける彰は
いっつも楽しそうに
笑ってて・・・

日下部千里

それにいつも
いろんな人が

日下部千里

彰の周りには
集まってた

日下部彰

・・・・・

日下部千里

大学の頃の私は
うまくまわりに
馴染めてなくて

日下部千里

独りでいる事が
多かったから

日下部千里

そんな彰が
輝いて見えたの

日下部彰

・・・・・

日下部千里

心のどこかで私ね──

日下部千里

この人と付き合えたら
あんな笑顔で
笑えるのかな?

日下部千里

って思ってたんだ

日下部彰

・・・・・

日下部千里

そんな彰から
付き合ってください
って言われた時は

日下部千里

ホント嬉しかったの

日下部彰

・・・・・

日下部千里

・・・・・

日下部千里

ねぇ・・彰?

日下部千里

ずっと寝てばっかで
そろそろ
飽きたんじゃない?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

お外こんなに
晴れてるよ?

日下部千里

こんな日に
寝てるだけなんて
もったいないよ?

日下部彰

・・・・・

日下部千里

ねぇ・・彰

日下部千里

なんか言ってよ・・・

日下部彰

・・・・・

日下部千里

いつもみたいに
愛してるって・・

日下部千里

そう・・言ってよ・・

看護師B

ねぇ?知ってる?

看護師A

なにが?

看護師B

そこに入院してる
日下部さん・・・

看護師A

ああ・・日下部さんね

看護師B

もう4ヶ月になるよね

看護師A

ずっと目を
覚さないんでしょ?

看護師B

そうなのよ・・・

看護師B

それに千里さんも
毎日面会ギリギリまで
病室に居るんだよ?

看護師B

毎日毎日旦那さんに
話しかけててさ

看護師B

見てて辛いわ・・・

看護師A

いつ目覚めるんだろ?

看護師B

どうなのかな・・・

看護師A

早く目覚めて
くれるといいけどね

看護師B

そうよね・・・

看護師A

確か2人には
子供は居ないのよね?

看護師B

確か千里さんが
不妊だったはず

看護師A

だったら
余計に孤独よね

看護師B

確かに・・・

看護師B

心の拠り所が無いわよね

看護師B

私だったら
耐えれないかも

看護師A

千里さんって
本当凄い人よね

看護師が立ち話をしていると 千里が歩いてやってくる

看護師A

ああ!千里さん!

日下部千里

あ、どうも・・・

看護師A

今日はもう
お帰りですか?

日下部千里

あ、いえ、彰の
替えの着替えを取りに

看護師A

ああ!そうでしたか!

看護師B

でもあまり無理
しないでくださいね?

日下部千里

はい・・・

日下部千里

ありがとうございます

看護師A

・・・・・

看護師A

千里さん・・・

看護師A

痩せたね・・・

看護師B

旦那さんが
あんな状態だしね

看護師B

ご飯だって喉を
通らないわよ

看護師A

私たちも看護師
って立場上

看護師A

少しは食べてください

看護師A

少しは休んでください
って言うけどさ・・・

看護師B

まぁ、ね・・・

看護師A

早く意識が戻って
くれると良いんだけど

その日の深夜

日下部彰

・・・・・・

日下部彰

・・・・・

日下部彰

・・・

日下部彰

う・・・

彰は薄らぐ意識の中 懸命に体を動かそうとする

日下部彰

うー・・・ん

彰はゆっくりと瞼を開けた

日下部彰

はぁ・・はぁ・・

日下部彰

ここ・・どこだ?

この作品はいかがでしたか?

35

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚