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comi
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#恋愛
ばたっちゅ
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チタコロ
239
ガタゴトと規則正しい振動が響く車内
ストーブの上で沸騰する薬缶が、白い湯気を上げている
エマは床に座り、特製の低い机に向かって必死に足の指を動かしていた
足の指の間に太い木炭を挟み、紙に直線を引こうとしているのだが、線は無残に歪み、木炭が指からすり抜けて転がっていく
エマ
ケイシー
ケイシー
すぐそこにあるソファーに腰掛けるケイシーが、穏やかな笑みを浮かべた
エマ
エマ
エマが焦燥感に駆られて再び木炭を足で拾おうとした、その時
車両の扉が勢いよく開き、冷たい風と共に、華やかな紫色の衣装を纏った少女が歩み入ってきた
一座の看板娘、ヴァイオレット・オードリーだった
しかし、彼女の歩く姿はどこか奇妙だった
膝が人間のそれとは逆に、後ろ向きに深くしなる
鳥類を連想させる、奇怪で優雅な歩調
ヴァイオレット
ヴァイオレットはツンと顎を尖らせ、エマの歪んだデッサンを見下ろした
エマ
ヴァイオレット
ヴァイオレット
ヴァイオレット
棘のある言葉に、エマは小さく肩をすくめる
実の母親に言われ続けた「化け物」「お荷物」という言葉が脳裏を過り、胸がキュッと痛んだ
ケイシー
ヴァイオレット
ヴァイオレット
ケイシー
エマ
ヴァイオレット
ケイシー
ヴァイオレット
ヴァイオレットが楽屋から逃げ出そうとしたその時
エマ
エマの真っ直ぐな声が、車両に響き渡った
ヴァイオレットは動きを止め、驚いたような表情でエマを見る
エマ
エマ
エマ
エマ
エマは、純粋な憧れに満ちたエメラルドのような瞳で、ヴァイオレットを真っ直ぐに見つめていた
ヴァイオレット
ヴァイオレットの真っ白だった顔が、今度は耳の裏まで真っ赤に染まっていく
あまりの恥ずかしさと調子の狂わされ方に、彼女はフンッと激しくそっぽを向いた
ヴァイオレット
ヴァイオレット
ヴァイオレット
ヴァイオレットはドレスの裾を翻し、エマの横に腰掛けた
口では文句を言いながらも、彼女はエマの背中にそっと手を当て、正しい姿勢の保ち方を教え始める
その手は、地下室の冷たさを忘れさせるほど、温かかった
ケイシー
ヴァイオレット
夕食の時間、車内にはジョルジーナが作った温かいシチューの香りが満ちていた
腕だけで地面を歩きながら、サイラスがエマたちのテーブルへと近づいてくる
サイラス
サイラス
サイラスは100点満点の爽やかな笑顔で、エマの頭をくしゃくしゃと撫でた
エマ
サイラス
サイラス
ヴァイオレット
ヴァイオレット
ヴァイオレットはボッと顔を赤くし、シチューの皿に顔をうずめる勢いでスプーンを動かした
サイラスは不思議そうに首を傾げる
サイラス
サイラス
ヴァイオレット
ヴァイオレットはついに限界を迎え、顔を真っ赤にしたまま自分の車両へと走り去っていった
それを見送るサイラスは、完全にきょとんとしている
サイラス
アーノルド
サイラス
エマ
サイラス
アーノルド
アーノルドは呆れ顔でため息を吐く
その様子を、カウンターの奥で温かいハーブティーを淹れていたケイシーが、クスクスと静かに笑いながら見守っていた
ケイシー
ケイシー
ケイシーはエマの前にハーブティーを置き、その優しい手でエマの肩を包み込んだ
ケイシー
エマ
列車の窓の外では、大恐慌の寒々しい荒野が広がっている
しかし、黒い貨物列車の内側――『outer rail』という名の聖域には、傷ついた者たちが寄り添い合う、確かな温もりが満ちていた
コメント
1件
うわあ、第3話もめちゃくちゃ良かったです…!ヴァイオレットのツンデレ具合が最高で、ブランケットの話で「やっぱりそうだったか!」ってなりました。エマの「お姉様の脚は世界で一番綺麗」はストレートすぎて、思わず声出して笑っちゃいました。照れるヴァイオレットも、最後のケイシーの言葉も沁みます。貨物列車の中の温かさが本当に素敵な世界です。