「瑞希ちゃん、もうやめておこうよ。ね?」
焦ったように告げる店長の声を聞き流し、私は手の平にすっぽり収まるサイズのグラスを持ち上げて、ぐい、と傾けた。
日本酒のさらりと強いアルコールが確実に思考を奪っていく。
奪っていってほしい。
何も考えなくてすむように。
「……駄目な大人」
いつもそう。
辛いことがあったら、悲しいことがあったら、考えたくないことがあったら、どうにかして酒に逃げる。
「どうしたの、何かあっ――」
「ああもうっ!」
驚いた顔で私を見つめる店長の視線から逃れるように、ぐしゃぐしゃと髪を搔き乱す。
「……店長、私って馬鹿なのかな……?」
堪え切れずに呟くと、
「今日の荒れ方はまた一段とひどいね」
と、店長が言った。
「荒れてるって言わないで……」
自覚ならしてる。
でも、行き場がないの。
ずるずるとカウン**************
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