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「本当にありがとうございます。こんなにたくさん、それにとっても綺麗です」
「いいのよ〜!これから頑張ってね!」
私の肩を叩いて応援してくれる明美さん。その隣で息子さん達が痛そうだよ、となだめている。
リフォームが終わり、施設が完成した今、すぐにフリースクールを開きたいところだけどそうはいかない。月謝を考えないといけないし、 ここにフリースクールがあることを知ってもらいたい。
「まずは学校に行かないと…」
「今日はお時間空けていただきありがとうございます。校長先生」
「いえいえ、それでフリースクールの話でしたな」
「はい」
私が考えているフリースクールは、学校と連携して、フリースクールに通えば授業日数としてカウントしてもらえるというものだ。
校長先生の了承がなければできないが、これをしておくだけで生徒の親御さんは不安のひとつが減り、生徒さんは「学校に行かなければ」という責任感が軽くなる。
「なので、中学校と連携した形を取りたいのですが…」
「フリースクールは授業のように時間割があるんですね」
「はい。9時半から登校し、15時に下校します」
「勉強は生徒に教科書を持ってきてもらうと書いてありますが、教えられる人はいるのですかな?」
「私が教員免許を取っているのである程度は教えられます」
「それだとあなたはオーバーワークなのでは?」
オーバーワークという言葉を聞き、自分の表情が固くなったのがわかった。
ある日を境に、私はやりすぎるということが癖になった。倒れるまでやり、限界まで一人で何とかしようと考えるようになった。人任せにするよりはいいことだが、やりすぎは自分を捨てようとしているも同然の行為なのだ。
「大丈夫です。私はそれも含め公認心理師だと思っていますから」
「…そうですか。ちなみにフリースクールの施設内の写真はありますかな?」
「こちらです」
校長先生が写真を手に取り、長々と見つめる。その時間に緊張の空気が流れたのがわかった。
「なるほど、設備は整っているようですね。まぁ公認心理師のあなたがいるなら大丈夫でしょう。よろしくお願いします」
「ありがとうございます!」
後日、私は夏休みに入る前に不登校の生徒さん一人一人に話をした。
「2週間お試し期間として通ってみて、合わなかったらそれでいいし、通いたいと思ったら来てくれて構わないよ 」
「公認心理師のしおり先生がいるなら安心して任せられます。でも…この子継続力がなくて、毎日通えるかどうか…」
母親の言葉に生徒さんが俯いたのがわかった。少しの会話で、生徒さんの心は大きく揺らぎ、傷つく。でもそれを表に出すことはしない。できないからだ。
「毎日通う必要はありません。水曜日はお休みにしてあるので、そこでゆっくりお家で休憩するということもできます。本人のペースで良いんですよ」
「そうですか…」
「お母さん。私、試してみたい」
生徒さんの言葉を聞き、思わず頬が緩む。
「ぜひ。まずは通いやすい夏休みから。朝が苦手だったら昼からでも構いませんよ」
計8人に話をし、全員ではないけれど前向きな姿勢を見せてくれた。
私の夢がスタートしようとしている