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~ある日の夜~
「サイコロ。急だけど、ちょっと来てもらえるかな?」
サイコロの部屋にロビンが入ってきてこう言った。
「何?今夜中の1時だよ?」
「緊急なんだ。所長が君を連れて来いって。」
「所長さんが?分かったよ。」
サイコロは瞼を擦りながら、ロビンと共に所長室へと向かった。
~所長室の前~
「ロビンです。No.3156を連れてきました。」
「入りなさい。」
2人が入ると、そこには所長と、ベッドで寝ているレイがいた。
だが、レイの様子がおかしい。
身体中から汗が吹き出し、アー、アー、とうめき声をあげている。その様子を見たサイコロは、レイのもとに駆け寄った。
「レイくん!?大丈夫!?一体何があったんだ!?」
所長がこう返す。
「大したことじゃないがね。サイコロくん。君が必要なのさ。」
所長がポケットから銃を取り出す。そしてサイコロに銃を向けた。動揺するサイコロはこう返す。
「所長さん?これはどういう…」
「君の臓器や血液をレイに移植するのさ。君たちの体は似ているからな。君は生命を維持できなくなるだろうが仕方がない。それじゃあ、No.3156。さようなら。」
この光景を見ていたロビンが叫ぶ。
「こんなの聞いてない!所長、銃を下ろしてください!」
しかし、ロビンの静止も虚しく、”パァーン!”と所長室内に銃声が響いた。そしてロビンの前で、サイコロは仰向けに倒れていった。
倒れたサイコロを見て、ロビンは震える声で所長に尋ねる。
「殺したのですか?サイコロを…」
「まだ死んではないよ。麻酔をかけただけだ。」
所長はこう続ける。
「数時間前にレイの容体が悪くなってね。検査をしたところ、内臓や血に異常が見受けられた。君も知っての通りNo.3156の体の構造はレイとほぼ一緒だ。つまり… そういうことだよ。」
「他に解決策はないのです?」
「時間があれば治療ができるかもしれないが、いつレイの体に限界が来るかも分からない。ならば、確実な方法でレイの治療を行うべきだろう。ムーンを呼んでいる。30分後に手術開始だ。」
準備を始めようとする所長の手を遮り、ロビンが尋ねる。
「サイコロはどうなってもいいと?」
「君はレイより失敗作の命を気にするのかね?」
所長の心無い発言に耐えつつ、ロビンはこう言った。
「前に僕がレイくんの体を診た時に作った万能薬があります。完全な治療とまではいかなくとも、レイくんの容態を安定させることはできるはず。その薬を投与しましょう。」
ロビンの発言に対し、所長がこう返す。
「ほう、その薬は何処にある?」
「僕の研究室にあります。すぐに取ってきます。」
所長が「急ぎたまえ。」と返すと、ロビンは走って所長室を飛び出していった。