※遥が正直に答えてしまう理由。
①日下部への脅しが常にあるから
–「言わなきゃ日下部にやるぞ」という加害者のルール。
– 嘘をついても「嘘だ」と暴かれたら日下部に被害が及ぶ。
– だから苦しくても正直に吐き出してしまう。
②嘘をつく余力がない
– 長期的な虐待・いじめで、抵抗する気力を削がれている。
– 頭が回らず、質問されるとただ「本当のこと」を言ってしまう。
– 自分を守る発想が湧かない。
③“本当を話す=罰から逃れられる”という条件づけ
– 過去に家でも学校でも「正直に言えば楽になる」と叩き込まれてきた。
– 実際は楽にならないが、身体が条件反射のように「本当を答えなきゃ」と従ってしまう。
④自己否定が強すぎる
– 遥自身が「自分は隠す価値もない、恥を晒して当然」と思い込んでいる。
– だから羞恥よりも「拒否したら日下部が傷つく」恐怖が勝っている。
⑤“誠実さ”が最後に残った抵抗でもある
– 皮肉だが、加害者の前でさえ正直でいることが、遥の最後の「自分らしさ」。
– そこを利用されている形。
つまり、嘘をつかないのは「強さ」じゃなくて「追い詰められすぎた結果」。
日下部のために、そして自分の条件反射的な弱さゆえに、嘘で逃げるという選択肢を失っている。
●遥の「壊された正直さ」
幼少期から「本当を言え」と強要され、そのたびに罰と羞恥を重ねてきた。
嘘をついても暴かれてさらに酷くされる ――その経験の積み重ねで「嘘は余計な罰を招く」と刷り込まれている。
今の加害構造では “日下部を守る” という条件が強烈に絡め取られている。
→ 「嘘を言えば、代わりに日下部が狙われる」
→ 遥の中では「自分が正直に晒され続ける」ことが唯一できる防御。
●悲惨さのポイント
1.加害者に「便利な道具」として扱われる
遥が嘘をつかないことを前提に、次々と残酷な質問を重ねる。
「こいつは何でも吐くから楽しい」という玩具扱い。
2.自己否定を深めるループ
正直に話すたび、加害者は喜ぶ →それが「加害の娯楽」になる。
遥は「自分は笑い者になるためだけに存在している」と確信していく。
3.日下部との対比で強調
日下部なら嘘を突き通したり、殴られても口を割らない可能性がある。
だから余計に「俺は弱い。日下部みたいに守る側になれない」と苦悩が強まる。