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低いが急斜な山道を下った馬の尻が、私の腰を僅かに浮かせた。
手綱を操ったまま空気を含ませるように膝を浮かせれば、また小気味のいい足並みで馬が走る。
砂利の音と、山の暗さ、木々の匂いが、嫌でも現実を突きつけてくる。
私は真っすぐにアドニス国へ向かっているのだと。
何度目かの認識に疲労感が増したらしい、私は無意識に吐息をついた。
思えば地獄のような定例会議から数日、息をつく間もなくアドニス国へ向かう準備を始めることとなった。
我が国のイヴ・ローガン陛下が、アドニス国の王子であるサイラス・バークレイを愛妾に迎えると宣言したのはつい先週のこと。
それを伝える書状はすぐに送った。
あとは直接出向き、陛下の意向を伝えるのが今回の目的だ。
私は頭の中でそう整理して、ひ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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