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「これは、俺の個人的な考えだし、奈美の答えになってないかもしれないが、人それぞれなんじゃないか? 女は、好きって気持ちでエッチするけど、好きでもない男と寝るヤツもいるし、男は身体、というよりも本能でセックスするって言えばいいのかな。心と身体は別物っていう部分があるんだよな……」
恋愛経験値が、ほぼゼロの奈美は、ただ彼の話を黙って聞くしかできない。
「男でも、好きな女しか抱かないってヤツもいる。俺は奈美と出会ってなければ……恐らく相当な女たらしに……なってたかもしれないな」
「はあ……そういうものなんですか…………う〜ん……」
間抜けな返事をしながら思うのは、奈美には未知の世界、という事だ。
ある程度、男の人と付き合ってきたのなら、少しは分かるのかもしれないけど……。
「…………ひょっとして、奈美は俺がセックスしたいって言ってるのは、身体だけが目的なんじゃないかって疑ってるだろ」
豪に痛い所を突かれて、奈美は狼狽えた。
「まぁ出会い方がアレだったから、そう思われても仕方ねぇか」
彼はこめかみに触れながら、指先で軽く掻く。
「俺は奈美の心の準備が整うまで待つ。強引にセックスして、トラウマになったら俺も嫌だし……って、無理矢理だったら、それは強姦になっちゃうか。それだけは絶対ダメだな」
彼は頷きながら奈美を更に抱き寄せ、額に唇を落とした後、真面目な面差しで黒い瞳を見つめた。
「でも、これだけ言っておく。俺が君を抱きたいと思うのは、奈美の事が好きだからだ。それだけは覚えていて欲しい」
「わかりました」
豪が、いい子だ、と独りごちながら、奈美の髪を撫でた。
公園で一休みした後、駅周辺へ近付くと、ちょっとした商業施設を見つけ、豪と奈美は入っていく。
「ちょっとCD見たいんだけど、いいか?」
「いいですよ」
比較的大型店舗のCDショップへ、二人は足を踏み出した。
「俺はあっちにいるけど、奈美は?」
豪が、洋楽やR&Bのジャンルの売り場を指している。
「私は適当に店内を回ってますね」
「わかった」
彼が目的の売り場へ向かうと、奈美は、クラッシックやイージーリスニング、ニューエイジ系のジャンルのコーナーへ足を運んだ。