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出来上がった魔法陣を前にドヤ顔エルフが手をかざす。
「まあ、私が唯一喚びだせる子なんだけど、怖くないからビックリしないでね?」
そう勿体つけてからエルフさんは言葉を紡ぐ。
「照らす陽光は汝がしもべ
その声は平和の讃歌
猛き双翼は空の覇者なりて
世に君臨せしもの
風よ、走れ、はしれ
──」
「あ、あのエルフさん。……もう出てます」
「え⁉︎」
顔をあげたエルフさんの額をコツっと嘴でつつく大鷲。
見つめ合うエルフと巨鳥。
「そんなキョトンとしてどうし……あっ」
固まったエルフさんに声をかけると、エルフさんは顔を真っ赤にしてほっぺた膨らましてプルプルした挙句に俯いてしゃがみ込んでしまったっす。何このエルフさん、ドジカワイイっす。
「あ、あの……なんで出ちゃったんすかねー? 詠唱まだ終わって無いのに。というか呟き始めた頃にはもう出てたんっすけど」
フォローしようと思って、フォローするのに無理がある気がして、私には震えるエルフさんを救うことは出来そうにないっす。
「分かってるわよぉ。魔法陣描いた時点で召喚に必要なものなんてそこに詰め込まれてるんだからぁ。ちょっと何かアレンジしたいなぁって、冒険譚のやつみたいなのに憧れて思いつきで最近考えてみてただけだしいっ! 魔法陣に私の魔力をちょちょいって引っかけてやれば終わるのに、カッコいい感じ出したかっただけで結局どんな事言えばいいのか分からなくて、最初に魔力をお漏らししちゃったかなーなんて思いながら、でも言い始めたから最後までどうにかそれっぽく繋げようとして、なんかいるなーって気はしたけど前は見ないようにして──ぐすっ」
そんな魔力をおしっこみたいに……とうとうべそかいちゃったっすエルフさん。可愛いっす。
「まあ、気持ちは分かるっすよー。私にも覚えがありますから。それに召喚出来るなんてすごいっすねー」
両手で顔を隠すエルフさんの震えが止まっている。正解だったんすかね。あともう少し……。
「……私すんごい?」
「はいっ、すんごいっす。」
「……私カッコいい?」
「はい、カッコいいっす!」
エルフさんは立ち上がり、袖で目のあたりを拭って
「でしょ! これが私の召喚術よ! どう? この凛々しいお顔! 私のかわいいピヨピヨちゃん!」
うわー、なにこのエルフチョロい。チョロエルフ。チョロフ。チョロ可愛いっすー。
「てか名前ピヨピヨなんすね……」
「まあ、名付け親は私じゃないんだけどね」
ピヨピヨも嬉しそうで、チョロフも嬉しそうで、私も珍しいものが見れて嬉しい。みんな幸せっす。