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◻︎我が息子・聖(ひじり)
大体の構想が決まったところで、義弟家族は帰って行った。
お義母さんは悪い人じゃないことは、わかっている。
自分の息子が母親よりも嫁を優先することが寂しいから、時々嫁に向かって毒を吐いてると思ってる。
息子っていくつになっても可愛いらしいから。
______母親より嫁かぁ…
我が息子の聖もそうなるのかと考えてみた。
でも、それが当然だとも思える。
_____そもそも、聖は結婚する?
友達…それも同性から告白されて、聖もまんざらでもなくて。
そういえばあれからどうなったんだろう?
「とりあえず、内定が決まったところで働いてみるよ」
そう言っていた。
「企業ってね、採用する側もたくさんの費用と時間を使ってるの。だからちゃんと考えて決めなさいよ」
そう私が言ったからかもしれないけど。
義弟家族に出したお茶を片付けていたら、噂(?)の息子が帰ってきた。
「ただいま、あれ?誰か来てたの?」
「おかえり、おじいちゃん達だよ、同居する家のことで相談にきてた。晩ご飯は?」
「あー、軽くなんかある?」
「うどんでいいなら」
「うん、食べるわ」
冷凍うどんと、油揚げ、ネギに蒲鉾できつねうどんを作った。
「あの、さ、柚月君、だったっけ?自分探ししたいって言ってた…どうしてるの?」
「んー、なんかしばらくバイト掛け持ちして金貯めて、外国を周るとか言ってる」
ずるずるとうどんをすすりながら、話してくれる。
「で?聖は、内定したところで働くの?柚月君とはどうするの?」
男だけど好き、みたいなボーイズラブ的なことをカミングアウトされたけど、そのあとどうなったか聞いてない。
「柚月は、俺のこと好きって言ってくれたけどそれは一過性のものだったかも?俺もアイツのことは好きだけど、じゃあ結婚したいくらい好きか?と聞かれたら、そうじゃないんだよね」
「ふんふん」
「いい友達だよ、アイツは。アイツのやりたいことを応援したい気持ちはあるけど、一緒に行きたいか?って考えたら、別に行きたくないんだよ、俺」
「ふーん、なんか切ない初恋みたいな話だね」
「初恋ねぇ…そういえばこの前、同じゼミの子に告られた」
「え?女の子?」
「そう、返事待ってもらってたんだった」
「どうするの?」
「嫌いじゃないし、いい子だと思うけど付き合うってよくわからないんだよね」
「じゃあ、友達から始めればいいんじゃない?」
「今でも友達なのに?」
「あれ?」
なんか、今どきの子の感覚がわからない。
私の感覚が古いのかな?
「ともかく、一緒に映画見たり遊園地行ったりしてさ、お互いをもっと知ってみたら?若いうちは色んな人を知っておくべきだよ」
「まぁ、うん、わかったよ」
とりあえず、聖は女の子とも仲良くできそうでよかった。
そのうち、嫁姑問題も起こるかもしれないけど、それはそれでその時楽しむことにした。